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小人たちの新しい家(メアリー・ノートン)

小人たちの新しい家小人たちの新しい家
(1983/01)
メアリー・ノートン

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ノートンの小人シリーズは4巻から21年後、1982年に第5巻が出た。その翌年にすぐ訳本が出ている。1~4巻の訳者だった林容吉さん(メアリー・ポピンズの訳者でもある)は亡くなり、5巻の訳者は猪熊葉子さん。サトクリフやゴッデン、ピアスほか、数々の作品を訳している人である。

4巻の最後で、アリエッティたちは、いったん帰り着いたポットさんの模型の村を出ることを決めていたのだった。父ポッドは「じぶんの足でちゃんと歩いてくってこと、やすらかな気持ちでいられるってことが、たいせつなんだ」と娘に言い聞かせた。

プラター夫婦につかまえられ、閉じ込められた屋根裏部屋から気球に乗って帰ってきた"わが家"ではあったけれど、そこには何かが足りなかった、とアリエッティはふりかえる。

▼…それにしても何かが足りませんでした──それはたぶんこの家があまりにもきちんとととのいすぎていて、そのためどこかとじこめられているような感じがするからでしょうか。何でも即席にやることが借り暮らしの小人たちにとっては生活の息吹きというものでした。ここでは努力する必要もありませんでした。すべてが「与えられて」いるのです。親切ではあるものの、趣味のちがう人によってととのえられていたのです。(pp.50-51)
ポッド、ホミリー、アリエッティは、川をくだってたどりついたときと同じく、スピラーの助けを得て、川からこの模型の村を離れた。それは、すんでのところでギリギリで、小人たちを見世物にしたらどれだけ儲かるかと欲をかいているあのプラターの夫婦がまた舟に乗ってやってきたのと同じ夜のことだった。

それからアリエッティたちは川をくだり、教会の隣の古い牧師館にたどりつく。申し分ないように思えたこの場所も、暮らしの荷物を運びこむことを考えると適当とはいえず、ポッドはここをあきらめようとする。

そんなとき、アリエッティが、この牧師館に長く住んでいたピーグリーンと出会う。足を少し引きずるピーグリーンは家族に取り残されて、ここで一人暮らしていたのだ。彼は、自分は近々、食料室に近いところに引っ越しをするので、「今までのぼくの家」をよければ使ってくださいと申し出る。ピーグリーンが案内してくれた家で、地下へ通じる穴の前に立ったとき、アリエッティは床下には戻りたくないと震えるほど思うのだ。自分は生まれたときから、「見られて」出ていく羽目になるまで、ずっと床下で暮らしていた。けれど…

▼…それは、今になって気づいたのですが、ほかの暮らしを知らなかったからにすぎなかったのです。でも自由を味わってしまった今、走ることの喜び、木のぼりの楽しさを、鳥や蝶や花を見、日光や雨や露などを経験してしまった今では…いいえ、いやです。もう床下の生活はごめんです!(p.177)

ほとんど話も忘れてしまっていたこの小人シリーズを久しぶりに読みはじめたとき、とりわけ1巻で描かれる、床下に暮らしていた時代の話を読んでいて、私はアンネ・フランクたちの隠れ家生活のようだと思った。この、床下暮らしはもう二度とイヤだというアリエッティの思いを読んでいると、ミープさんがアンネに赤い靴を見つけてきて贈ったという話を思い出すのだった。この靴をはいてアンネが自由に外の世界を駆けられる日をミープさんがどんなにか願ったという、あの話を。

この5巻では、アリエッティは父や母と、人間とは二度と口をきかないと約束するものの、牧師館の隣の教会にミス・メンチスが来ることを知って、自分たちが無事だと伝えたい思いに駆られる。一方で、この教会には、あのプラター夫婦もやってきて、あろうことか、アリエッティのイトコがこの夫婦に「見られ」、あやうく捕まりそうになったりもする。

21年後の5巻は訳者も違い、どんなんかな~と思ったけど、図書館で2時間半ほど読みつづけ、イッキ読みしてしまった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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