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コロボックル物語 (佐藤さとる 作、村上勉 絵)

だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1 豆つぶほどの小さないぬ―コロボックル物語 2 星からおちた小さな人―コロボックル物語 3 ふしぎな目をした男の子―コロボックル物語 4 小さな国のつづきの話―コロボックル物語 5 小さな人のむかしの話―コロボックル物語別巻

図書館で順に借りて、久しぶりに読むコロボックル物語。村上勉のさし絵がなつかしい。私は高校生の頃だったか大学に入ってだったか、うちにあった講談社文庫をせっせと読んだ。

物語の1巻『だれも知らない小さな国』が最初に出たのは1959年だという。私がうまれる10年前ではないか。それから断続的に書き継がれ、完結編の5巻『小さな国のつづきの話』は1983年、別巻の『小さな人のむかしの話』は1987年。全部読んでいたつもりだったが、5巻と別巻は記憶になくて、私は4巻までだけ読んでいたようだ。

1巻からの30年ほどの間に人間の社会はたぶん大きく変わり、コロボックルたちの社会もそれをうつしだすように変化があるなあと、読みとおして思った。
2巻の『豆つぶほどの小さないぬ』などは、はぁコロボックルの世界も「男は外、女は家内」ですかいな~と思った(むかし読んだときにはこんなことは考えなかった気がする)。

せいたかさんとおちび先生が結婚して、子どもがうまれ、そうすると、おちび先生の呼び名は「ママ先生」になる。しかし、せいたかさんが「パパさん」と呼ばれたりはしない。

おちび先生=ママ先生の、世話役のコロボックルも代替わりして、「クルミノヒメ」から「おチビ」になる。そのあたりで、女のコロボックルについての説明が入る。

▼もともと女のコロボックルは、めったに小山からは出ないのだ。男は、一人まえになれば、それぞれ仕事がわりあてられ、"狩り"にも出る。むかしとちがって、ほしいものはせいたかさんにたのめば、なんでも手にはいるが、世話役の考えで、なるべくいまでも、自分たちで手に入れるようにしている。そのために小山の外に出るのが、狩りだ。
 女は狩りに出ない。…(p.19)

こんなあたりを読みながら、「人間のつくった神さまは人間のかたちをしてる」というんだったか、そういうのを思い出した。人間の社会はこういうもんでっせー、というのをなぞるように、物語も書かれるんかな~と思ったりした。

その、おちび先生=ママ先生の世話役になったおチビは、コロボックルの印刷工場(ここも男のコロボックルばっかり)で、工場長になる。そこに、こんなコメントが入る。

「…この工場長は、女のくせに、機械をいじらせると、サクランボにまけない、いいうでをもっているのがわかって、ぼくたちをますますびっくりさせた。」(p.243)

「女のくせに」というのはここではきっとホメ言葉なのだろう(サクランボは、男のコロボックルである)。だが、女はこんなことはできないものなのだという前提がうかがえるだけに、ビミョーな気持ちになる。第2巻には、いろいろとこんなところがある。

あるときママ先生が、自分も「やとってもらえないでしょうか」と、夫のせいたかさんに言うと、せいたかさんは「どうしよう。給仕にでも使うことにしようか」とコロボックルと相談する。

「給仕の仕事って、どんなことがあるかしら」とママ先生が訊くと、「まず、お茶くみとそうじ。それから、えんぴつけずり、手紙の整理もあるね」と答えが返る。

「給仕(きゅうじ)」というと、父の父、私からすると祖父にあたる人が、「給仕」として働いていたことがあるという話を思い出す。

男と女の仕事がずいぶんきっぱり分かれていたと見えるコロボックルの国にも、時代の変化はある。5巻では、図書館でつとめるヘンな人・杉岡正子と、その正子とトモダチになる「ツクシンボ」という女のコロボックルが出てくる。このツクシンボは、それまで女のコロボックルがしなかったようなことをやっていく存在として書かれている。コロボックル通信社の通信員をしているツクシンボは、2巻に出てきたおチビや、天才少女として知られたオハナ(この5巻で、せいたかさんとママ先生の娘・おチャメさんの連絡係に選ばれている)のような性質をもっていて、またニュースの目のつけどころがおもしろいと言われる存在である。

▼もともと、女のコロボックルは、おとなになってもコロボックルの領地である小山から、あまり外へは出たがらない。長いあいだ、女は狩りにでることを禁じられていたので、そんな気風がまだ尾をひいているのである。しかし、この古い考えも、ツクシンボのようなわかいむすめたちによって、少しずつあらためられはじめていた。(pp.60-61)

もちろんツクシンボにしても、その母親から「おまえ、いったい外でなにをしているの。すこしはおちついて、女らしい仕事もおぼえなくちゃ、お嫁のもらい手がありませんよ。」(p.61)と言われたりはするのだが。

2巻を読んだときには、コロボックルの世界の「女の役割/男の役割」が気になったりはしたけれど、続けて読んで、やっぱりこの物語はおもしろいなあと思った。まだ少しだけ番外編のような本があるようなので、近いうちに読んでみたい。それと、この夏の映画になった原作、洋モノの小人の話も、久しぶりに読んでみるつもり(こっちのノートンのシリーズは、寝る前に読んでもらった本だった)。
 
Comment
 
 
2010.09.08 Wed 11:05 やぶいぬ  #xVJSKgY2
『だれも知らない小さな国』はほんとうに好きで、高校生になっても繰り返し読んでいました。散歩、等高線入りの図が今でも好きなのはその影響か? 1950年代に書かれたものだったんですね。戦争の影があったけど、むしろ淡々と(やってきて、去って行ったものとして)描かれていたのがかえって印象的でした。続編は一応読んだけどあまり覚えていません。性役割、私も当時は何も思わなかったなあ。
なつかしい  [URL][Edit]






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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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