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読んだり、書いたり、編んだり 

さくら(西加奈子)

さくらさくら
(2005/02)
西 加奈子

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こないだ社納さんが借りて読んでみたとブログに書いてはったので、私も図書館で借りてきてみた。私は図書館で借りたので帯などは当然なく、ペカッと光るブッカーにつつまれた単行本だったが、社納さんは人から借りたそうで、えらいうっとうしいような惹句がテンコモリの帯がついていたらしい。

これがけっこうな長さの小説で、布団で本を読んでいてついつい夜更かしする、というようなことが最近とんとなくなっている私は、途中まで読んでは寝てしまい、途中まで読んではまた寝てしまい…何日かかかって読んだ。一日でイッキ読みしたらまた違う印象になるような気もしたが、たらたらと長い小説やなあという印象が残った(単行本で400ぺージ近くある)。

じつに不思議な話。ある家族の、長い長い長い話。タイトルが何で「さくら」なのか、話に出てくる犬の名は「サクラ」なのだが、ひらがなとカタカナの違いは何やろうかと、そんなことが気になるのだった。

佳作だと思った。
しかし、ここは、そうかあ?と思った。ミキの同級生、薫さんの母上のこと。

▼「うちの母親、目が見えないんです。」
 薫さんは、サクラに言うみたいにそう言った。
 「だから家に誰がいて、誰がおらんのか分からへん。」
 …(中略)…
 「でも、いつも安心してて、それって、匂いやったり空気やったり、何か変われへんもんがあるからやって。ちっちゃい頃、うちが怪我して帰ってきても、大怪我か擦り傷かがすぐ分かる。泣き声の大きさとかそんなんやなしに、分かるんやって。」(p.275)

ここより前に、薫さんは女ばっかりの8人きょうだいの8番目で、人数が多いから、誰がおって誰がおらんのか親は把握してない、というような話も出てくるのだが、こんど高校に入ろうという薫さんが「ちっちゃい頃」から母上は目が見えないようだから、盲としてもう長いこと生活してるんやろうと推測できる。ちっちゃい頃が小学校前と考えても、少なくとも10年以上は母上の盲人歴はあり(中途失明なのか、もともと盲なのかは不明)しかも「泣き声の大きさとかそんなんやなしに」子どもの傷の具合が分かるというような人が、8人はかなり多いとは思うものの、「誰がいて、誰がおらんのか分からへん」て、そうかあ?と思ったのだった。

こないだ福島智さんの本では、ある小説で義眼を入れてない、目のない人のその「穴」がぽっかりと空いてるというような表現は、実体験に照らしてもウソである(取材が足りない)というのを読んだが、この薫さんの母上の例はどうなんやろうか、と。

この長い長い話のなかに、「僕」の母さんが、セックスの説明をするところがある。親のセックスの声をきいた「僕」と兄ちゃんとミキの中で、ミキが「昨日は、何やってたん?」と翌朝の食卓で聞いたとき、父さんは「ぎょっとした」が、母さんはひとしきり笑ったあとに、「ミキの目ぇは、誰に似てる?」(p.108)から始まる話をする。そこもなかなかよかった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第67回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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