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本日もビンボーなり(松下竜一)

『憶ひ続けむ』から、たまたま図書館にあったビンボー本を読んだことで続く松下竜一本の行脚。もう一冊のビンボー本をまた借りてきて、ちょっとだけと思いながらついしまいまで読んでしまう。

本日もビンボーなり本日も
ビンボーなり

(1998/05)
松下 竜一

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父の三回忌で姉弟たちが集まった旅行で、六人のきょうだいのうち、一番のビンボーである長兄・松下センセの暮らしぶりを、姉ちゃんがこんな風にバクロする。きょうだいみんな爆笑の場面。

▼「だいたいね、ふつうだったら生活に追い詰められたら、眼の色変えて必死に働こうとするはずでしょ。ところが竜一ちゃんも洋子さんも、全然そんな気がないんよ。それはもうおっとりしたもんよ。昼間っから五匹の犬を散歩させたり、野の花を摘みに行ったり、夕方の忙しいときに夕日を見に出て行ったり、もう全然世間ばなれした二人なんだから。お金なんかどこかから降ってくるとでも思ってるみたいよ」(p.16)

松下センセも、ビンボーがくやしいと思う。細君と、結婚記念日に小倉まで映画を見にゆこうとでかけた折り、駅前の映画館で、二週間待てばその映画がかかるのを知ったとき、二人は考えこむのである。特急で二人が往復すれば七千三百二十円。つい先日も旧婚旅行でお金をつかったばかり。細君は「むだづかいはできんなあ…小倉はやめて二週間待つことにするわ」と言う。
しかし、引き返しながら、細君が気落ちしているのが松下センセには感じられる。
「なに、小倉行きを節約したぐらいでどうなるもんでもないさ」松下センセはこう言って、二人は駅へ戻り、小倉へむかう。
▼貧しいということは、とかく人の生きる幅を萎縮させてしまう。それが松下センセにはくやしい。窮したら窮したときのことではないか。(p.44)

松下センセだってこう思う。
▼そんなに極端に怠けているつもりはないのだが、松下センセのやることはどういうわけか収入に結びつかないのだから致し方ない。よほど金を稼ぐ能力に欠けているのだと観念するしかない。(p.78)


伊藤ルイさんが亡くなった際の話のなかで、松下センセが『ルイズ 父に貰いし名は』で講談社ノンフィクション賞を受賞したとき、同時受賞したのが徳永進の『死の中の笑み』だった、と書いてある。徳永さんの本を読んだルイさんが、初めて鳥取へ徳永さんを訪ねていく美しい文章が、ルイさんの『必然の出会い』に書かれているそうである。

そんなところを読んでいたら、久しぶりに徳永進の本も読みたくなってきた。失ってしまったと思っていた『医療と言葉』(徳永進、浜田晋、谷川俊太郎、ゆみる出版)がこないだ見つかったことでもあるし。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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