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生きるって人とつながることだ!(福島智)

生きるって人とつながることだ!生きるって人とつながることだ!
(2010/02/20)
福島 智

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生井さんの本光成さん(妻)の本福島令子さん(母)の本と読んできて、福島さんご本人の本にたどりつく。先に『盲ろう者とノーマライゼーション』を借りてきて半分くらいまで読んでいたのだが、論文ちっくな文章が多くてちょっとカタイこともあり、あとから届いた『生きるって人とつながることだ!』を先に読み終えてしまった。そのあと、最初の本である『渡辺荘の宇宙人―指点字で交信する日々』もヨソの図書館から相貸で届いた。

『生きるって人とつながることだ!』は、盲ろう者となった福島さんが、19歳からおっさんになるまでに体験したさまざまなことをその時々に書いた記録集。『盲ろう者とノーマライゼーション』『渡辺荘の宇宙人―指点字で交信する日々』と重なる部分もあるが、時系列を意識して編集されていて、かつ前著よりさらにおっさんになった福島さんの体験が加えられているところが違う。

「生きることは人とつながることであり、つながりを持とうとする営み自体に生きる手応えがある」(p.7)という、体験にもとづいた福島さんの実感がタイトルにはこめられている。
福島さんは両目とも摘出して義眼を入れている。あるとき目の中(目を入れている穴の中)に炎症を起こして、眼科に「一ヶ月くらい義眼をはずしてみたら?」と言われて、その通りにしていると、「もとの穴に目が入らなくなってしまった」という話に、こういう体験はなかなか分からないし知る機会がないよなあと思った。

言われてみればピアスの穴のようなものなのだろうが(こっちの穴は体験者も多そう)、「義眼は体にとって異物なので、長くはずしておくと目の中の肉が盛り上がってきてしまう」(p.123)ということなのだ。悪友たちには「心配するな、春になったらが出るだろう」とノンキなことを言われたが、本人としては大慌てで、「義眼が入らなくなった人の小さな目の穴を大きくする」という治療を看板にしている」という奇妙な医者を紹介してもらって、穴を大きくしてもらい、再び義眼を入れられるようになった、という話。ここが、私にはおもしろかったし、こないだ亡くなった多田富雄の『免疫の意味論』なんかをまた読みたくもなるのだった。

それと、やはり「指点字」というコミュニケーションの通路のこと、盲ろう者にとってのコミュニケーションのことを福島さんがテレビに例えているところに、なるほどなあと思った。

▼…盲ろう者が他者と触れ合って言葉を交わしている状態が、"心のテレビ"にスイッチが入っている状態であり、コミュニケーションが断絶すれば、それはすなわち、"コンセント"が抜けてしまったことになる。そうなると、盲ろう者の"心のブラウン管"には何も映らず、何も聞こえないわけである。

 指点字の発見によって、私はコミュニケーションの確保という"第一の壁"を破った。しかし、手段は使わなければ意味をなさず、使われるためには努力が必要だ。盲ろう者が他者とともに生きていくには、周囲の人間との温かい信頼関係と相互理解を作り上げていくという、"第二の壁"を乗り越えることが不可欠である。それには、周囲の理解と同時に、盲ろう者からの働きかけも大切だろう。

 盲ろう者の心のテレビは、よく、コンセントが抜ける。盲ろう者の心の舟は、簡単に舟底に穴が開く。しかも、そうした"異常事態"は周囲からはわかりにくく、つい見過ごしてしまう。そうであれば、異常に一番敏感な盲ろう者本人が、クレームを出すしかない。
 「コンセント抜いたらあかんがな。テレビが映らんやないか(手を放したら、周りの人の言葉がわからんやないか)」、「おい、舟が沈みよるがな。早よ、助けてくれ(おい、みんな何をしてるんや、周りのことがさっぱりわからん。ワシだけ取り残されとるがな)」。…(p.51)

こういうクレームをつけるのは盲ろう者の側にも勇気がいるし、「あとで」と言われたりしたらシュンとなってしまうこともある、そこで「いいや、ワシかて、周りのことが知りたい」とがんばるかどうかで、人生は変わってくるのやと福島さんは書いている。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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