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指先で紡ぐ愛(光成沢美)

指先で紡ぐ愛指先で紡ぐ愛
(2003/07/14)
光成 沢美

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福島智さんの妻・光成沢美さんによる、福島智と出会うまで、出会った頃、その後をいろいろ書いた本。生井さんの『ゆびさきの宇宙』がよかったので、続けて読んでみた。

これがゲラゲラ笑える。福島さんがパジャマで授業した話とか、福島さんがどんどんデブになっていくところとか。笑える中に、愚痴があり、喧嘩があり、ときめきがある。

福島さんがスポーツジムで入会できへん話は、実にわかりやすいサベツ。福島さん本人と会っている現場のジムでは受け入れますと言っているのに、東京の本部が「アカン」と言うてきたという。どうやったら安全に使ってもらえるか現場は考えようとしてるのに。
5章の「障害者の妻ってなんだろう」で、光成さんが「グチが言えないつらさ」を書いている。福島さんが金沢へ赴任したとき、指点字の通訳ができる人が金沢にはまったくいなかったので、当面のあいだ光成さんが一人で通訳一切を担っていた。休む間もなく、疲れがたまっていき…

▼「夫の通訳が大変で」
 と言っても、
「そんなこと、分かった上で結婚したんだろ」
 と、取り合ってくれない男性もいた。
「あなたは奥さんなんだから、それがあなたの仕事でしょ」
 と、年輩の奥様に言われた時が一番つらかった。逆に、
「何にもお手伝いできなくて申し訳ないですねえ」
 などと言われても居心地が悪いので、
「大丈夫です」
 と、笑って見せるしかなかった。
 そんな時、ポロッとグチの言える相手は、夫しかいなかった。しかし夫に、
「あー疲れた!」
 と言っても、グチのつもりがグチにならない。
「オレにどうしろと言うのだ?! 何か具体的な提案があるなら言え!」
 と、とたんに怒りをかう結果になる。…私に夫を責めるつもりはなくても、そこに利害関係が存在すれば、夫としては責められた気になる。夫が怒るのも当然だ。
〈やらなければいけないことは、やる。けれども、ちょっと、グチを言ってもいいじゃない〉
 と思うようになった。障害をもった人と結婚したら、気軽にグチも言えないのだろうか。(PP.216-217)

「障害者を夫にもつ妻」というのは、知らず知らずのうちに、「女性の役割=女性は男に尽くして当然だ」という役割と、「家族の役割=家族こそが障害をもつ家族に尽くすのが当たり前だ」という役割、この二つを担わせられているのではないか、と光成さんは書く。分かる気がする。しかも、共感してくれるのは、障害をもつとかどうとかではなく「妻」の立場の人たちだったという。そうやろうなーと思う。

「障害者を夫にもつ妻」の生糸の会

光成さんは同い年だった。広島の福山方面の出身ということにも親近感。私も広島に3年住んでたことがあるし、福山にはイトコもいるし。

いま、NHKの連ドラで「ゲゲゲの女房」が始まっているが、片腕のない男に嫁ぐ、背高のっぽの女は、「障害者を夫にもつ妻」というやつでもあるのだろう。片腕のない男も背高のっぽの女も、当時は(今もか)「男らしさ/女らしさ」からはずれた存在で、なんとかめあわせるのに周りは苦心したように描かれている。このあと、どういう展開なんかなーと思う。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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