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読んだ本はどこへいったか(鶴見俊輔)

図書館をぶらっとしていると、最近どなたかが返した本を置いてあるブックトラックに、この本があった。鶴見俊輔はけっこう好きなので、鶴見俊輔の本だというのも気になるが、何よりタイトルに心ひかれる。

読んだ本はどこへいったか

読んだ本はどこへいったか読んだ本はどこへいったか
(2002/09)
鶴見 俊輔

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プロローグで、鶴見俊輔は、友人の折原脩三のことを書いている。折原さんは大変な努力家で、世間的に出世もしたが、「家で食事をする時も本を読んでいるような人」だったので、オクさんはそれ以上出世してとは言えなかったそうだ。その折原さんから鶴見が聞いたこんな話が書いてある。

▼銀行の同期の仲間は、何年かすると、大学の新卒を相手に「そんなことを言っても現実はね」とお説教する。その人たちは定年が近づくとすごく動揺して、再就職のこと以外は頭に入らなくなる。そして昔は高等学校でゲーテの『ファウスト』をドイツ語で読んだ人も、今更ゲーテの本の中に入っていけなくなっている。もはや鏡の中に入れなくなったアリスみたいになっている。三十年も銀行に行っているとそうなるんですね。
 折原さんから聞いたその話はとても頭に入った。よく「ぼくもマルクスを読んだときがあったよ」と若い人に言ったり、「若い時に西田哲学を読んだよ」とか言う人がいる。だけど、その読んだ本は、どこに行ったのかと問い返したい。…(中略)…もうろくの中にある今、私の読んだ本はどこにあるのか、それを探ってみたいという思いが今、自分の中にある。(pp.13-14)

生活語の話、プラグマティズムの話、いろはかるたの話、大衆小説の話…この本を読んでいると、ちょっと書き抜いておきたいようなところがあちこちにあり、この本は今度読んでみようと思う本がこれまたあちこちに書いてあり、読み終わったら付箋だらけになってしまった。

たくさん付箋をつけた中から、もう一箇所、この本の「もと」になった鶴見の聞き書きの相手をした、京都新聞の山中英之記者による「あとがき」の一部を引く。

▼印象深かったのは、プラグマティズムの成立過程に話が及んだ時である。鶴見さんは突然、「一、二、三…」と数えながら、手のひらを尺とり虫のようにして目の前の机を測り始めた。何が始まったのかと目を丸くしていると、「こうやると、机の大きさが具体的な体の感覚で分かるでしょ。これがプラグマティズムの考え方の中心なんですよ」と言った。プラグマティズムと測量の深い関係については、この本の中でも何回か言及されているが、ものごとや状況を自分の身体を単位(目安)にして「測る」、すなわち日常の生活実感から考えることだという鶴見さんの身ぶりを交えた解説は、とても分かりやすく、新鮮だった。(p.207)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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