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思い出のアンネ・フランク(ミープ・ヒース)

2週間くらい前、ミープさんの訃報を新聞で見て、それでミープさんのこの本を図書館で借りてきた。アンネが還らないことを知ってから半世紀以上を生きて、ミープさんは100歳で亡くなった。

思い出のアンネ・フランクミープ・ヒース
(深町眞理子訳)

『思い出のアンネ・フランク』
文藝春秋


『アンネの日記』を"救った"といわれるミープさん。
だが、ミープさんはずっと、できればこうではなかったほうがよかったと願いつづけてきた。
▼たとえ、アンネの日記がけっしてこの世に出ることがなかったとしても、それよりはアンネやほかの人たちが、なんとか生きのびていてくれたほうが、ずっとよかったのに、と。
 あの人たちのことを悲しまずに過ぎる日は、いまも一日とてない。(p.347)

ミープさんは「わたしはヒーローなどではない」「わたしはけっして特別な人間ではない」と語り、自分たちだけがめだつことや、これが本になることをためらっていた。

▼あの暗い、おそろしい時代に、わたしと同じようなことをした、あるいは、もっと多くの─はるかに多くの─ことをした良きオランダ人たちの、長い、長い列の端につらなっているにすぎない。あれ以来、すでに多くの歳月が過ぎたが、あの時代のことは、つねに、その生き証人であるわたしたちの胸のなかに、ついきのうのことのように生きつづけている。あのころ起きたことについて思いださずに過ぎる日は、いまも一日たりとない。

 およそ二万人以上のオランダ人が、あの時代に、ナチスの目をのがれねばならなかったユダヤ人およびその他の人びとを、かくまうことに尽力した。わたしもまた、すすんでできるだけのことをした。わたしの夫もおなじことをした。それでもじゅうぶんではなかった。(p.9)

この本は、ジャーナリスト、アリスン・レスリー・ゴールドとの共著というかたちで、ゴールドによるミープ夫妻のインタビューがまとめられたもの。

翻訳された単行本はもう20年以上前、文庫が出てからも15年以上たつ。自分が前にいつこの本を読んだのか思いだせないけれど、再読していて思ったのは、当時─アンネたちが隠れ家に身を潜めた頃のミープさんは30代の前半で、今の私よりずっと若いことだ。

余裕があってのことではなく、しだいに、しだいに食糧事情がわるくなり、必要なものがなかなか手に入らなくなり、自分たち自身もぎりぎりの生活になっていく中で、「できるだけのことをした」人。それでも「じゅうぶんではなかった」。

たしかうちに『アンネの日記』があったはず…と本棚をすみずみまで見ていたら、『アンネの日記』は見当たらないが、ミープさんの文庫本が出てきた。1994年に出た文庫を私は買っているから、その頃に読んだのかもしれない。単行本も文庫も、版元では切れているらしい。ミープさんが亡くなった今、せめて本が手に入りやすくなればと思う。

ミープさんのサイト(エイゴ)
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第68回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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