FC2ブログ
 
読んだり、書いたり、編んだり 

三人姉妹(大島真寿美)

タイトルだけで借りてきた小説(私も三人姉妹だからである)。2週間くらい前にちょろっとだけ読みはじめてみたが、そのまま寝るのを惜しんで読むほどにはならず、ちょっと積んでいて、あ~そろそろ返却期限やともう一度読んでみる。

三人姉妹三人姉妹
(2009/04)
大島 真寿美

商品詳細を見る

どうも一話目があわんというか、不思議な文章なのであった。第一段落(3行)が一文なのはまだいいとして、第二段落(7行)もほとんど一文、さいごの行で13字だけの二文目があるという、やたら長い長い文章で綴られている。そのあとも時折やたらと長い文がぶちこまれて、どうもこれが私の息継ぎに合わないようであった。
その文体がさいしょは気になって、うー、読むのやめようかと思ったが、しばらく読んでいると、大島真寿美も書き慣れてきたのか(七つの話は、初出の小説誌で2年かけて発表されている)、私も読み慣れてきたのか、気にならなくなり、結局つるつると最後まで読む。

主人公は三人姉妹の末っ子・水絵。ふたりの姉は亜矢、真矢というまるで双子かと思う名だが、水絵が似たような名でないのは、もう生まれやしないと油断したあとにできたから、らしい。姉ふたりは双子ではなく、学年でひとつ、生まれ年でふたつ違いである。

上の姉の、小姑にあたる雪子さん(姉の夫の妹)がクルマについて語るところがおもしろい。
この雪子さんはふだんは、田舎の町で、家業の自動車教習所で取締役としてつとめていて、ふだんは事務服を着込んで愛想もなく色気もなく「いかず後家」などと教習所のおっさん指導員たちに言われていたりするのだが、じつは、夜中にポルシェでずばーーーんとぶっ飛ばすタマなのだ。

▼夜中に一人で車で走ってると、あたしは自由だ、どこまでも自由だ、って気がしてくるの。これって不思議よ。どんなにへこまされている時だって、絶体絶命の時だって、あたしは壊されない、壊れてなんかやるもんか、って強く思えるの。このままどこまでだって行ける。好きな場所へ行ける。攻めて行くことだってできるし、逃げていくことだってできる。なんだってできるんだ、って。それから、あたしはあたしだ、って強く感じる。誰がなんと言おうとあたしはあたしだ、誰にも文句は言わせない、って。とにかく、あたしはあたしなんだ、あたしは平気だ、って強い気持ちが蘇るの。…

 …役員室の窓から、とろとろ運転して怒鳴られている男の子や女の子を見ながら、がんばれ、って応援してる。がんばって、途中で諦めないで免許取りなさいよー、って。そうして早くこの道具を手に入れて、遠くまで走っていきなさい、ってこっそりささやいてる。…

 …車持ってないなら、レンタカーだっていい。たとえば追いつめられた人が家出する時、専業主婦が離婚する時。もちろん、経済問題や他にも重要な問題はいくらでもあるだろうけど、それよりうんと手前に、なにか強い意志のようなものが要るよね。何が何でも出ていく、っていう。そういう力ってどこから出てくるんだろう? そういう時、試しに夜中に車を飛ばしてみたらいいの。よし、出ていこう、って気になるから。もしくは、よし、ここで踏ん張ってやろう、って気になるから。どっちも同じ。自分で自分が確認できるなら、どっちだって同じでしょう? (pp.53-54)

で、読みはじめはちょっとつっかかったのだが、読み終わってみると、おもしろかったな~

水絵と友だちのびびちゃんが雪子さんにポルシェに乗せてもらってドライヴするところなんかは、読んでいて、すごーく昔みた「テルマ&ルイーズ」を思い出して、あの映画また見たいなあと思ったのだった。
 
Comment
 
 






(編集・削除用)


管理者にだけ表示を許可
 
Trackback
 
 
http://we23randoku.blog.fc2.com/tb.php/1141-caac5498
 
 
プロフィール
 
 

乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
    乱読ブログバナー
本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

amazonへリンク

 
 
最新記事
 
 
 
 
最新コメント
 
 
 
 
カテゴリ
 
 
 
 
Google検索
 
 


WWW検索
ブログ内検索
Google
 
 
本棚
 
 
 
 
リンク
 
 
 
 
カウンター
 
 
 
 
RSSリンク
 
 
 
 
月別アーカイブ