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読んだり、書いたり、編んだり 

くちぶえ番長(重松清)

ほんのミニコミ「ブックマーク」の読者さんから、「娘が学級文庫からこの本を借りてきて、面白かったといっていた」と聞いて、イマドキの(?)子ども(娘さんは中学生だったかなあ)が「面白かった」という本に興味をもって、私も借りてきて読んでみた。

くちぶえ番長 (新潮文庫)くちぶえ番長
(2007/06)
重松 清

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重松清って、読んだことがあるようなないような…なんか読んだことあったっけなーと思い出していたら、よりみちパン!セの『みんなのなやみ』のを読んだことがあった、そういえば。小説を読むのは初めてかも。
ツヨシの学校に転校生がやってきた。
名前はマコト。
マコトは、ツヨシの父の「古ーい友だちの子ども」で、なんとツヨシと同じクラスになった。

髪をちょんまげみたいにくくってて、一輪車乗りがめちゃめちゃ上手で、六年生でも登れる子がほとんどいない神社のカシの木の高い枝に登れて、自己紹介では「夢は、この学校の番長になること」と言ったマコト。

マコトのお父さんは病気でもう亡くなっていて、年をとったおばあちゃん(お父さんのお母さん)の世話をするためにマコトはお母さんと引っ越してきた。お母さんの仕事は駅前の英語教室の先生で、仕事は夕方から。だから、おばあちゃんの世話を手伝ったり、ご飯の支度や買い物をしたり、マコトの放課後はけっこう忙しいらしい。

運動神経バツグンのマコトに「少年団に入ればいいのに」と言ったツヨシは、「夕方は忙しいもん」とマコトに言われて、ドキッとする。同じ小4でも、放課後に遊べないのか…と、マコトのことを思ってツヨシはしょんぼりする。

ツヨシは、マコトに歌うように軽く言われる。

「同情するなーっ」
「そーゆーの、おせっかいって言うんだぞーっ。関係ないくせに、ツヨシ、生意気ーっ」
「悪いけど、わたし、自分のことがかわいそうだとか、ちっとも思ってないからね」 (p.77)

『海街diary』を思い出す。両親をなくしたすずと、父をなくした裕也が、あまりにも言われまくった「かわいそう」発言に怒る場面。サッカー選手の裕也は、腫瘍のために片足を失ったことで、またまた「かわいそう」の合唱にさらされているのだ。

「かわいそう」といえば、私も子どもの頃に言われたことがある。親が共稼ぎで"鍵っ子"であることを、近所のおばちゃんに「かわいそう」と言われたことがあるのだ。「私は"かわいそう"な子どもなのか?」と思った。
それは、保育所に預けられる子どもが"保育に欠ける子ども"とされることに対する、「私たちは何かが"欠けている"のか?」と問いつめたくなる気もちに似ていた。

『くちぶえ番長』に戻って、お盆の話。
マコトのうちで、お盆の迎え火をたくから、一緒に晩ご飯でもと誘われて、ツヨシとお父さんとお母さんはマコトのうちをたずねる。

迎え火や送り火のことや、野菜(キュウリや茄子)でつくった乗り物を供えるというくらいのことは私も知っていた。ただ、それは知識として「そうするらしい」と知ってるだけで、迎え火や送り火をたいたこともないし、野菜で乗り物をつくったこともなかった。

ツヨシもそんなのは初めてで、マコトのおばあちゃんの手作りのお供えもの、キュウリの馬(ご先祖さまが来てくれるときに乗る)とナスの牛(ご先祖さまが帰っていくときに乗る)を見せてもらって質問する。それにマコトのおばあちゃんが答えてくれる。

「なんで行きと帰りで乗るものが違うの?」
「ウチに帰ってくるときは、ご先祖さまも少しでも早く帰ってきたいはずだから、お馬さん。向こうに帰っていくときは、ゆっくり、ゆっくり、別れを惜しみながら帰ってほしいから、牛さんに乗ってもらうの」 (pp.122-123)

「ヒロカズは、もう向こうを出たかなあ…」
「あの子はのんきだから、まだぐずぐずしてるのかねえ」 (p.123)

マコトのおばあちゃんとツヨシのお父さんは、亡くなったマコトのお父さん・ヒロカズさんの思い出話をする。その話に入らず、ずっと黙ってマンガを読んでいるマコトの気持ちがツヨシにはわからないが、ツヨシのお父さんは「マコトくん、今日はおばあちゃん孝行したんだな」と語りかける。

こんなだった、あんなだったと、ヒロカズさんと仲良しコンビだったツヨシのお父さん(ケンスケ)は、マコトのおばあちゃんと日が暮れるまで思い出話をとぎれることなく続けていた。

マコトやマコトのお母さんは、大人になってからのお父さん(ヒロカズさん)のことしか知らない。だから、お母さんとおばあちゃんと三人で話すときは、大人になってからのお父さんの話しかできない。お父さんの子どもの頃の話を聞きたがってたおばあちゃんにたまには懐かしい思いをさせてあげたい、だからツヨシのおじさんに来てもらうことにしたんだとマコトは言う。

誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったマコト。
お父さんどうしがヒロカズ・ケンスケという仲良しコンビだったように、ツヨシとマコトもサイコーの相棒になった。

マコトが同じクラスになって、それからまた病院をかわるおばあちゃんのために転校していくまでの一年間の話。小学校の4年生は、こんなんやったかなあ、どうやったっけと思いながら読む。

一輪車とくちぶえが上手なマコトが女の子だってところも、なかなかいい話だった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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