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すりばちの底にあるというボタン(大島真寿美)

さいきん本屋で「三人ナントカ」という小説があったなあ(←ちょっと読んでみたいかなと思ったやつ)と、図書館の蔵書検索をぱかぱかとしてみると、大島真寿美の『三人姉妹』が出てきて、これやったっけな?と思いつつ、しかしほんの数人待ちだったので予約してみた。

ついでに、大島真寿美って、どんなん書いてたっけなーと人名で検索して、ああ『ちなつのハワイ』の人かあと思い(それ以外の本はたぶん読んでいないが、これもどんな話やったかおぼえていない)、今年出た『すりばちの底にあるというボタン』が書架ありだったので、借りてみた。

すりばちの底にあるというボタンすりばちの底にあるというボタン
(2009/02/18)
大島 真寿美

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「すりばちの底にあるというボタン」とは、何のこっちゃわからんタイトル。胡麻擂りの「すりばち」の底と、服のボタンが浮かんだとしたら、想像力の方向性は合っているが、この話のなかみとはズレている。

「すりばち」とは、すりばち団地。すりばち状の地形に建てられた団地のなかは、いつの間にか坂、というようなゆるい坂や階段が多い。そのせいで、歩いていたはずがいつの間にか、たかたかと走っていたりする。しぜんに背をおされるように、足の回転がはやくなって、たかたかと走っていたりする。それはけっこうきもちがいいらしい。

まず出てくるのは薫子。これからは「歩くときには歩くし、走るときには走る」と決めた、むじかくにははしらないんだ、と幼なじみの雪乃に宣言してみせる。がんばり屋のママが一人で育ててくれている。パパは、薫子が小さい頃に病気で死んだ。

雪乃の家は、パパもいてママもいてお兄ちゃんもいる、ふっつーの家。

晴人(はると)は、昔は金持ちのお父さんとばかみたいに広いマンションに住んでいた。お母さんは最初からいない。なんでいないかもわからない。今はすりばち団地におばあさんとおじさん(お父さんの弟)と住んでいる。お父さんがいなくなったからだ。ある日お父さんが消えてしまった。お父さんがいなくなって、施設にしばらく預けられたあと、おじさんが迎えにきた。

邦彦は、雪乃の二つ上の兄。(しかし、私は話を読んでいて、ずっと邦彦は薫子の兄だと勘違いしたままだった)

「すりばちの底にあるというボタン」
これは、子どもの噂のような、都市伝説のような、誰もあるのを見たことはないが、ある、あるらしいという話が出ては広がり、消えてはまたよみがえる、あるらしいというボタン。ボタンの話が広がると、こっそりそのボタンを探す子どもや大人があらわれる。

すりばち団地に住むようになった晴人がおじさんから聞いたのは、押したら願いがかなう、幸せになれる、という話。お前のお父さんは、そのボタンを押して、夢をかなえ、金持ちになった、という話。そんな話は信じなかったし、押したいとも思わなかった晴人。でもある日、ボタンのことが気になりだし、ほんとにあるのか、お父さんが押したかもしれないというボタンに興味をもって、晴人は探してみようとうろうろするようになっていた。

あんた、なにか探してるやろ、と薫子に言われて、ボタンの話をすることになる。ところが、「すりばちの底にあるというボタン」は、晴人が聞いたようなものではないと薫子も雪乃も言うのだ。そのボタンを押すと、すりばち団地がずぶずぶと沈み、消えてしまうというのだ。

どっちがほんまなのか?
そのことを確かめようと、この4人の子どもがうろうろする話。

昔は子どもがたくさんいたが、今では年寄りが多くなったという団地の話、そこを活性化しようという団体で活動する晴人のばあちゃんの話が、千里ニュータウンの団地群(いまや"オールドタウン"ともいわれる)で育った私にはおもしろかった。

昨日、図書館でこれを借りたあとに、階下の本屋をぶらぶらしていたら群ようこの『三人暮らし』があって、あれ、私が読んでみたかった「三人ナントカ」はもしかしてこれかなと思ったが、奥付を見ると「出たばっかり」だったので、やはり私は大島真寿美の『三人姉妹』が気になったのだったかな、と思ったのだった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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