沖縄の骨(岡部伊都子)
沖縄といえば…岡部伊都子もたしか沖縄のことをいろいろ書いてたよなーと、『沖縄ノート』と一緒に「沖縄」がタイトルに入った本を借りてきた。
![]() | 沖縄の骨 (1997/04) 岡部 伊都子 商品詳細を見る |
「こんな戦争で死ぬのはいやだ。天皇陛下のおん為になんか、死ぬのはいやだ」と言った婚約者を、「私なら、喜んで死ぬけど」と送り出した話は、岡部の「加害の女」という自覚として、たぶん何度も何度も何度も何度も書かれている有名な(?)話。
その岡部の婚約者だった木村邦夫さんは沖縄戦で戦死したという。
「天皇陛下のおん為に」「喜んで死ね」と教えられた時代に、虚弱で、しかも結核のため「お役に立たなくて申しわけない」と「非国民」でしかないうしろめたさにおびえていた岡部の、ふりかえって「戦争中みすみす愛する男を殺した」(p.15)という思い。
琉球放送テレビ「おきなわ大好き」録音の際のはなし。
▼「書くための取材ですか」と言われた。
ほんとうは私のような勝手な者は、沖縄へくる資格は無い。書く資格も無い。
だけど、さて来てみると、知らなかったことばかりで、撃たれつづけている。その事実を、せめて大和に伝えなくては、と書いてきた。来ると親しくなった方がたをがたを、わが家にも迎える。「取材のため」に来たことはないと、思わず言ってしまったがいい気な自分の正体である。
「沖縄人[うちなんちゅ]の闘いによって目をさませてきた大和人[やまとう]も多い。どうすれば人類の世がつづくか、ほんとうの自由とは何か、ほんとうの人権とは何か、ほんとうの平和とは何か、ほんとうの愛とは何か、その闘いを発信しつづけてくださってる沖縄人の皆さまに、感謝します」
と頭を下げたら、せつなくつらい涙になった。(pp.185-186)
佐野式にいえば、岡部が書くものも沖縄を聖地化し、沖縄人を聖者化したものだろう。
わるいことは何も書いていないが、私にはちょっと読みにくかった。「加害の女」という自分の原点をずっと掘り続けたのは、ただただスゴイと思う。一方で、聖なる沖縄、ごめんなさいのヤマトというくっきりと二分した対比が、すんなりと読めなかった。
その岡部の婚約者だった木村邦夫さんは沖縄戦で戦死したという。
「天皇陛下のおん為に」「喜んで死ね」と教えられた時代に、虚弱で、しかも結核のため「お役に立たなくて申しわけない」と「非国民」でしかないうしろめたさにおびえていた岡部の、ふりかえって「戦争中みすみす愛する男を殺した」(p.15)という思い。
琉球放送テレビ「おきなわ大好き」録音の際のはなし。
▼「書くための取材ですか」と言われた。
ほんとうは私のような勝手な者は、沖縄へくる資格は無い。書く資格も無い。
だけど、さて来てみると、知らなかったことばかりで、撃たれつづけている。その事実を、せめて大和に伝えなくては、と書いてきた。来ると親しくなった方がたをがたを、わが家にも迎える。「取材のため」に来たことはないと、思わず言ってしまったがいい気な自分の正体である。
「沖縄人[うちなんちゅ]の闘いによって目をさませてきた大和人[やまとう]も多い。どうすれば人類の世がつづくか、ほんとうの自由とは何か、ほんとうの人権とは何か、ほんとうの平和とは何か、ほんとうの愛とは何か、その闘いを発信しつづけてくださってる沖縄人の皆さまに、感謝します」
と頭を下げたら、せつなくつらい涙になった。(pp.185-186)
佐野式にいえば、岡部が書くものも沖縄を聖地化し、沖縄人を聖者化したものだろう。
わるいことは何も書いていないが、私にはちょっと読みにくかった。「加害の女」という自分の原点をずっと掘り続けたのは、ただただスゴイと思う。一方で、聖なる沖縄、ごめんなさいのヤマトというくっきりと二分した対比が、すんなりと読めなかった。
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