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アフリカのいまを知ろう(山田肖子編著)

近所の図書館では、リクエストの用紙が置いてあるカウンターの近くに、テーマを決めて本や資料が並べてある。こないだリクエストを書いたときに、ひょいと見たら、アフリカ特集で、この『アフリカのいまを知ろう』があった。

アフリカのいまを知ろう (岩波ジュニア新書)アフリカのいまを知ろう
(2008/03)
山田 肖子編著

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あ、これってカメさんがアフリカの手話のことを書いたのが入ってるやつよねと思って、借りてきた。ちょうど『山口昌男の手紙』を読んで、そこでもフィールドとしてアフリカの話が出てきたし、それでアフリカに目がいったのだと思う。
読んでみると、この本は、アフリカにかかわる研究をするいろんな人へのインタビュー集だった。これがものすごくおもしろかった(買おっかな~と思うくらい)。そして、私はアフリカのことを全然知らんなあと思った。

「はじめに」のてっぺんにこう書いてある。
▼皆さんは、「アフリカ」と聞いて、何を思いうかべますか? 広大なサバンナに住むライオンや象、キリンなどの野性動物? それともチョコレートや珈琲などの農産物や、ダイヤモンド、金といった鉱物資源? あるいは、やせて食べるものもなく、病気になったり、学校に行けない子どもたちでしょうか? これらは皆、アフリカの姿であることは確かですが、驚くほど多様でダイナミックなアフリカ社会の一部でしかありません。(p.iii)

私が「アフリカ」と聞いて思い浮かべるのも、似たようなものだった。あと、国境がやたら直線で、それは植民地支配の名残だ、とか。

いきなり知らんことばっかりである。
・アフリカ大陸には53の国がある。(そんなにあるのか!)
・サハラ以南のアフリカ(=サブサハラ・アフリカ)と、アフリカ全体では、人口や産業、教育、保健など統計にあらわれてくる数値がかなり違う場合がある。
→エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコの北アフリカ5カ国と、サブサハラ・アフリカ48カ国とは分けて考えることが多い(この本でもアフリカというときに指すのは基本的にサブサハラ・アフリカのこと)
→北アフリカ5カ国は、社会・経済開発が進んでいるだけでなく、歴史的にアラブやヨーロッパの影響を受けてきて、文化的にもサブサハラ・アフリカとは違いが多くみられる


私がもともと読もうと思ったカメさんこと亀井伸孝さんの「ろう者と手話」も、もちろんおもしろかったけど、とくにおもしろかったのが杉村和彦さんの「農業と人々のくらし」の話。

農業の発想が違うねんなあということとともに、ヨソの国、ヨソの文化を見て「なにか」を思い、良かれ悪しかれ「なにか」を感じるときに、「自分のモノサシが、ヨソとは違うこと」を忘れたらあかんなと思った。

▼アフリカの農村では、農業技術を革新して富を蓄積する依りも、農業はそこそこ食べられるものを生産できたらいい、むしろ、あるものを分け合う人間関係に投資することで非常時のリスクを分散することに意義を見出す社会だと言えます。たとえばタンザニアでは、一昔前までは、タンザニア人同士のあいさつは30分から40分かけて行なわれていました。「ご機嫌いかがですか?」から始まって、「飼い犬は? その子犬は?」といった具合に、第三者から見れば意味のないあいさつを繰り返すのですが、実はここから学べることがあるのです。というのも、アフリカではアジアの灌漑農業と違い、収穫が雨量に左右される、運任せの天水農業が主流で、特に乾燥アフリカでは、数年間に一回訪れる雨が降らない渇水期に、人々がその危機をどう乗り越えられるかは、最終的にはどれだけ深い人間関係を日頃から築いているかにかかっているのです。

 アフリカ人は働かないと言われることが多いですが、それは時と場合によります。実際に私がタンザニアに滞在したサガラの人たちは昼頃まで働いたらもう十分という感じで仕事をやめて、昼からは酒盛りです。確かに農業労働だけ見ていると働かないという印象なのですが、そうした労働の後、時には20キロ近く離れた家に遊びに行って帰ってくることがあります。20キロの往復はあまりにも大変な「労働」なのですが、こうしたことはいともたやすくやってのけます。これは、さしあたり最近会っていない友だちや親戚を訪ねるという程度のことで、一つ一つにそんな大きな意味を持たせているものではありません。しかし、見方を変えれば、リスクを回避するための人間関係を築いているとも言え、彼らにとっては農作・労働よりも人間関係のほうが重要で経済的だという論理があるのです。

 そのように見ると、一見理解し難いと思っていたアフリカ人の行動も、少しはわかってきました。また、こうした側面に、定住し、土地に投資し、物を作って生産性を向上するアジアの共同体とは異なる、土地と人間の関係よりも人間同士の関係を重視するアフリカの共同体の特色を見ることができると思います。(pp.85-87)


アフリカ…アフリカ…と考えていて思い出した。
去年のWeフォーラムではアフリカンダンスの分科会に出た。
そういえば、ひげのおばさん・中畝常雄さんはアフリカの太鼓・ジンベをたたいてご機嫌だと、『ひげおば』にも書いてあったし、楽しそうな常雄さんのイラストもあったなあ。

鈴木裕之さんの「アフリカ音楽と若者たち」の話にはこんなところがあった。
日本にもアフリカンダンスやジンベの教室が増えてきたという話のあと、
▼人の生は瞬間の連続ですが、リズムはその瞬間の質を変えるものなので、そいれを求めて妻(ギニア人、ダンス講師)のところにダンスを習いにきている生徒さんはいるようです。ただ、一部の人たちを別にすれば、アフリカのダンス音楽が日本の社会に根づくのは難しいと思います。それはメディアによるアフリカ報道が、野生動物を紹介するテレビ番組のような未知を楽しむような内容や、貧しい子ども、特に栄養が行き渡らずお腹が膨らんでしまった子ども写真などを提示してしまうので、そうしたステレオタイプが壁となり、アフリカ社会の真の姿はまだ映し出されてきていないからです。

 私たちが「こういうアフリカを伝えよう」という型をつくってしまうと、アフリカのよいところが見えなくなる危険があります。貧困削減を訴えよう、などと下手な使命感を持ってしまうと伝わらないことのほうが多いと思います。アフリカというのは、伝える情報以上に大きい存在であるわけですから。(pp.183-184)

この本では人文系の研究者の話だけで、理系の人の話がなかったので、昨日は図書館で『アフリカ大陸から地球がわかる』を借りてきてみた。杉村和彦さんの『アフリカ農民の経済』も読んでみたいなーと思っているのである。

※この本に載ってるインタビューの詳しいのがここに載っているそうだ。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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