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読んだり、書いたり、編んだり 

もうすぐ(橋本紡)

図書館で本を返したら、だいたい引き換えにリクエストしていた本を借りて帰ることが多いが、なんも届いてなかった日に、図書館をぶらぶらとして、橋本紡のこれを書架に見つけて借りる。

もうすぐもうすぐ
(2009/03)
橋本 紡

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これも、出たころに(ちょっと読んでみたいかな)と思っていたやつ。
橋本紡は、よく本を融通してもらった(要は又貸ししてもらっていた)元同僚さんに「おもしろかった」と聞いて読んだのが最初。たしか初めて読んだのは『猫泥棒と木曜日のキッチン』で、それが、ちょっと平安寿子の『グッドラックららばい』風で(つまりはお母さんの家出から始まる物語で)おもしろかったので、そのあともいくつか読んだ。

この『もうすぐ』は、たしか"産むこと"ネタというか、「まだ?」と言われるような話だとかってに思っていたら、読んでみるとちょっと違った。

業界紙から、ネット新聞の記者に移った由佳子は、かつて一緒に仕事をした長門君から頼まれた「産婦人科医が逮捕された」事件を、どんな切り口でならやれるかと思案する。

医療事故という切り口では、由佳子がいま所属するネット新聞でやるのは難しい。妊婦のたらいまわしや産婦人科医の不足の構図を書くだけでは読者には伝わらないだろう。自分たちの媒体でやれることは何か、どう切り込めるか。

「N病院事件に限らず、現代において女性が子供を産むということが、求めるということがどういうことなのか、そこに触れてみたいと思います。現代の、女性の生き方を探ると言っていいかもしれません。N病院事件も当然書きますが、まずは当事者である女性たちの視点から捉えてみる。興味を持ってくれる読者が必ずいるはずです」(p.28)

これまでも一般投稿を受け付け、それを掲載してきたこと、女性読者が多いこと、読者との近さ、簡単に投稿できるシステムをつくっていること。予算も人も、取材力の面でも大手紙のようなことはできないが、そこがうちのような小さな会社の武器になるのではと由佳子は考える。

しばらく前に(去年か)、妊婦のたらいまわし、産婦人科医の不足、産む場所がない、お産難民、産婦人科医の逮捕…など、毎日のように新聞にあれやこれやとキャンペーンのような記事が載り、(たいへんなんやなあ)と思ったことがあったが、このところそういう記事はほとんど見なくなった。

この小説は、そういう(しばらく前にたくさん見たなあ)と思い出すような話と、妊婦や妊娠したいと思う夫婦や流産した女性の話、それに30代後半になっても「子ども」をもつのかどうかと迷う由佳子自身やその付近の似たような女性たちの話で書かれている。うまい。

選挙が近いので、あっちの党でもこっちの党でもエエようなことをバシッと言うているが、ほんまかいなと思うことが多い。少子化担当とか子育て支援がどうのという議員(候補)や役人は、いっそこういう小説を読んでみろと思う。自公がやった定額給付金と民主が言うてる子ども手当と、ほんま目くそ鼻くそのバラマキやんけと思う。
 
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お子さん、まだ?焦りと戸惑い、嫉妬、胸の中からあふれだす願望。結婚しても、競争は終わらない。妊娠と出産をめぐる現実を書ききった渾身の長編。 由佳子がネット新聞に掲載した女性たちの体験記と、刑事事...
2011.07.15 16:18
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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