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街場の大阪論(江弘毅)

こないだ酒盛りの場で、この本の話がちょっと出た。
食うところ、あそぶところ、飲みにいくところ─いろんなとこが“消費”の場になって、お客さんとして行く場になってしまってること、消費者としての遊びの参考書は店や食いものやウマい酒というの大量のデータになったカタログ情報誌で、そういうのを見てあそびにいく、というのが拡がって、それが「まち」を変えたんかもなあ…というような話をした気がするが、飲みながらだったので、やや不正確かもしれぬ。

街場の大阪論街場の大阪論
(2009/03/04)
江弘毅

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この本は、出たときに「お、」と思っていながら読みそびれていたので、ちょうど図書館で空いてたし借りてくる。ついでに、こっちもまた読もかなと、前著の『「街的」ということ――お好み焼き屋は街の学校だ』も一緒に借りてきた。
似たようなタイトルの本に内田樹の『街場の中国論』『街場の教育論』があるが、江弘毅はその名づけ親でもある。

で、『街場の大阪論』を読む。
オモロかったなぁ。

膝を叩くかわりに、本が付箋でビラビラになってしまった。とりあえず、街にかんするあたりを書き抜いておく。

▼「街的」とは代替不可能な「いま─ここ」で「私」というパーソナリティがつくられていくプロセスそのもののことであり、だからこそ今なお、そういう街でしか生きていけない大阪の人がいる。(p.22)

▼街には店や食べ物やお酒などなどの情報やデータを頭にたたき込むようにして、それを「街のルールや遊び方」にする人間と、そうじゃない人間がいる。そうじゃない人間は、筋肉を鍛えるように街で実地訓練を繰り返し、街力をつけ、反復し増強する。そういう意味で彼ら彼女たちは、街のリアルな生活者[プレイヤー]であり、賢い消費者などという人種じゃない。(p.43)

▼…「地元」というのは、まさに自分が立っている地面そのものの範疇の場所で、いつも「自分」に含まれている(拙著『「街的」ということ』二四頁)。
 だから、休みの日は必ず食べに行く洋食屋がある近所の商店街も、仕事帰りに寄る立ち呑みの串カツ屋がある駅前緒、わたしにとっては地元で、あるおっさんにとっては夜ごと夜ごとのクラブ遊びの北新地も地元になるわけだ(これは、うらやましい)。こういったことから誰にも複数の地元がある、というのが妥当である。
 そしてその「地元」は「うさぎ追いしかの山」的な「郷土」のようなものとしてとらえることはできない。たまたま異国に住み着いて、異郷の街が地元になることだってよくあることだ。
 わたしは地元とは「なぜここは他所ではないここ」であるかということと、「ここにいる私はなぜあなたではなくほかならぬ私」であるのかの関係性の網の目みたいなものであると考えているのだが、その網の目にひっかかる「誰によっても代替されない私が依って立つ場所」が、わたしにとっての地元である。だから地元の食べ物は大変うまいし、誠にいとおしいと感じる。(pp.48-49)

▼…例えは悪いが、隣から火が出たとして、真っ先にバケツや消火器を持って駆けつける人が多いところが街であって、緊急時のマニュアルで火災報知器を鳴らし管理会社に通報するのがショッピングモールなのだと思う。(p.187)

▼旅を愛する人にとって、観光スポットやブティックやレストランを羅列した旅行本はつまらないように、街についてのガイドブックたる情報誌は、どこにどんな店があって、どこに行けば何が買え、何が食べられ、それがいくらなのか、だけではダメなのである。そういうことはインターネットで事足りる。あらまほしきはその国や街での自分にとっての「旅行の仕方」のヒントがわかる本だ。(pp.196-197)


「地元」は、郷土や出身地では必ずしもないのだという話は、地域と学校の協働とか地域で生きるとか、その「地域」ってどこやねんとよく思っていた私には、ナルホドーと思えた。

そういうことはインターネットで事足りる、というのを読み、ミシマガジンの大越さんが書いていた「人はなぜ本を読むのだろうか?」のことをまた考えてみたりした。ネットで事足りることと、本でしかできないこと、そういう仕分けができるとしたら、どこでどう分けられるんやろう?

そして、近所にあった、休みの日には必ず食べに行っていたような店を、この10年ほどの間にいくつか失ったさびしさも思い出す。たまには「新しい食いもの屋の開拓」も楽しいけれど、いつ行ってもうまいと思える、友だちが来て外で食べるなら「ほなあそこ行こか」と言えるような、自分になじんだ店が、ある日閉店する。(あそこのアレが、もっかい食べたいなあ)と思っても、もうあかんのだ。ほんまにさびしい。

と、ちょっとしんみりしてしまった。
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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