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読んだり、書いたり、編んだり 

桃仙人―小説深沢七郎(嵐山光三郎)

桃仙人―小説深沢七郎桃仙人―小説深沢七郎
(1997/12)
嵐山光三郎

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ごっつい文庫で6分冊の『ソロモンの偽証』を、通勤電車で月曜からぐいぐい読んで、金曜までに4冊読んだところで、頭がのめりこみすぎる気がして、そこの週末は、頭にインターバルってことで、嵐山光三郎のゆるーい本『桃仙人 小説・深沢七郎』を読んだ。文庫の字組みも、他の本に比べると、みょうに行間が空いている感じで、ゆるーっとして見える。

あとがきによれば、「この小説は、1987年、深沢七郎さんが亡くなられたときに書いたもの」(p.160)で、深沢さんを追悼するつもりで『小説新潮』誌に書いたそうだが、「なにぶん、ぼくはとり乱していたので、思いこみがさきばしって、冷静に書けませんでした」(p.160)という。

それを安原顕に単行本にしましょうと言われて、「大はばに書きなおしたのがこの小説」(p.160)である。嵐山は続けてこう書く。
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からくさ図書館来客簿 第三集 冥官・小野篁と短夜の昔語り(仲町六絵)

からくさ図書館来客簿 第三集 冥官・小野篁と短夜の昔語りからくさ図書館来客簿 第三集
冥官・小野篁と短夜の昔語り

(2014/11/21)
仲町六絵

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第一集第二集を読んだあと、しばらく図書館で予約待ちをしていた。

小野篁が、平成の世で私立図書館の館長として、そこいらの大学生か大学院生のようなナリをしているのは、この現世でさまよう"道なし"を、きちんと天道へ送ってやるため。

第三集は、「馬琴の謎かけ」前後編で、さまよう馬琴が出てくるし、「わたの原」の前後編では、かつて筆禍により篁が流された地・隠岐が舞台となって、篁のこれまでの身過ぎ世過ぎがさらに分かってくるようだった。

「南総里見八犬伝」が絡む馬琴の話は、当時の読者は物語を朗読していたのだというところにつながる。はるか下った今の世では黙読がすっかり普通のこととなって、「八犬伝」が声に出して読まれることは滅多になく、それが馬琴の心残りになっていたのだ。作者は馬琴にこう語らせている。

陸軍落語兵―涙と笑いの続与太郎戦記(春風亭柳昇)

陸軍落語兵―涙と笑いの続与太郎戦記(春風亭柳昇)陸軍落語兵
―涙と笑いの続与太郎戦記

(1971/10)
春風亭柳昇

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『与太郎戦記』の続き。装幀やカットはこの本でもおおば比呂司(この人は柳昇さんと一つ違いで、陸軍で航空隊につとめた経験があるそうだ)。前著で書き足らなかったことを書いたとある。

柳昇さんが入隊したのは、昭和16年の2月、その年の暮れには日本は大東亜戦争に突っ込んでいく。初年兵として教育訓練を3ヶ月受けたあとは戦地に送られ、次の初年兵がまた入ってくる。だが、柳昇さんは、初年兵教育掛りの助手を命ぜられて、しまいには「また初年兵教育か」とうんざりするほど、兵隊を育てては戦地へ送り出す役目を担っていた。

その教育掛りからみた初年兵のようすから、当時の戦況が(いまでは)わかる。

与太郎戦記―ああ落語家兵士、生と死の泣き笑い(春風亭柳昇)

与太郎戦記―ああ落語家兵士、生と死の泣き笑い(春風亭柳昇)与太郎戦記
―ああ落語家兵士、生と死の泣き笑い

新装版(1987/08)
春風亭柳昇

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三作目の『与太郎戦記ああ戦友』を先に読んだあと、図書館で単行本を借りてきて、最初の『与太郎戦記』を読む。装画・挿絵はおおば比呂司。最初は1969年に出た本らしいが、図書館にあったのは1987年刊の新装版。

のちに落語家となった春風亭柳昇こと秋本安雄が徴兵検査を受けて入隊する「初年兵はツラいの巻」から始まり、からくも玉砕を免れて終戦を迎え除隊するまでを書いた「玉砕未遂で終戦の巻」にいたる7つの章で、兵隊生活を描く。『きけ わだつみのこえ』を遺したような、大学まで行って出征した人たちが書いたものとは、まったく趣の違う戦記である(ダジャレ混じりだったりするし)。

柳昇さんは「まえがき」をこう書き始めている。

与太郎戦記ああ戦友(春風亭柳昇)

与太郎戦記ああ戦友与太郎戦記ああ戦友
(2011/02/08)
春風亭柳昇

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『南の島に雪が降る』をフトamazonで見たら、これを買った人はこんな本も買ってますというところに、春風亭柳昇の『与太郎戦記』が出ていた。

加東大介が「兵隊ってのは世の中の縮図だから、たいていの職業がある」(『南の島に雪が降る』、pp.9-10)と書いていたように、兵隊に行った落語家もいるんやろうと思っていたら、これが逆で、春風亭柳昇は陸軍の歩兵として出征、傷痍軍人となって帰り、兵隊になる前の職には戻れなくて、落語家になろうと決意したのである。六代目春風亭柳橋の長男と戦友だった縁で、という。

巻頭の「開口一番」にこんなことが書いてある。

▼私(秋本安雄)の兵隊生活は五年でしたが、何だかとても長かったように思えます。
 毎日、今日は死ぬか、明日が最期かと追われて生きた一日、そんな生活が、長く感じさせるのでしょう。
 さて先日、落語家になって何年になるだろう、そんなことをふと考えてみましたら、何と三十年経っていました。
 とてもそんなに長いとは思えません。兵隊生活が三十年で、落語家生活が五年くらいと反対に思えてなりません。(pp.3-4)

パリの皇族モダニズム―領収書が明かす生活と経済感覚(青木淳子)

パリの皇族モダニズム―領収書が明かす生活と経済感覚パリの皇族モダニズム
―領収書が明かす生活と経済感覚

(2014/12/23)
青木淳子

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庭園美術館を一緒に見にいったJちゃんから、こんな本が去年の暮れに出てるよーと教えてもらっていたのを、図書館でしばらく予約待ちして借りてきた。『アール・デコの館―旧朝香宮邸』とはまた違う写真がいろいろ入っていて、家具調度が置かれた(おそらく住んでいた当時の)居間などの写真は、そういうのがない「美術館」になったあとの写真と見比べると、へぇーという感じ。

朝香宮の鳩彦(やすひこ)王が軍人として(見聞を広めるため?)フランス留学、やはりフランスに留学中だった義兄の北白川宮成久王の運転するクルマでドライブに出かけたら、事故を起こして、運転していた義兄は亡くなり、鳩彦王は重傷。夫の看病のために妻の允子(のぶこ)さんがフランスへ渡り、夫妻は"朝伯爵"と偽名を名乗って(あちらの国に警備などの負担をかけすぎないようにという意味もあるらしい)、3年近くをパリで生活。

この本では、朝香宮夫妻のパリ滞在中の買い物にからむ領収証の綴りを分析して、夫妻がどんなものを着ていたか、どんな暮らしをしていたかを明らかにしている。

アール・デコの館―旧朝香宮邸(増田彰久・写真、藤森照信・文)

アール・デコの館―旧朝香宮邸アール・デコの館―旧朝香宮邸
(1993/04)
増田彰久・写真、藤森照信・文

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3月に東京へ行ったとき、ちょうど1週間前にも見にきた!というJちゃんの案内で庭園美術館を見物した。元の朝香宮(あさかのみや)邸で…というくらいは知っていたが、入るのは初めてだった。

なんでも3年ほどかけて改修工事をしてリニューアルしたとか※。庭園美術館といいながら庭園はまだ工事中で入れなかったが、建物のなかのあれこれが「お芸術」で、ふぅ~ん、へぇ~と思いながら見物。新館がつくられたところといい、大山崎の山荘美術館を思わせるものがある。

建物に入ったところには、この文庫のカバーにも使われているガラス細工のでっかい玄関扉がある。これが、モリモリっと鳩胸のような盛りあがりのある女性像で、ラリック作という。こんなモリモリのガラスを、どないしてつくって、どないして運んできてここに付けたんやろ?と思うほど。

現代免疫物語―花粉症や移植が教える生命の不思議(岸本忠三、中嶋彰)

現代免疫物語―花粉症や移植が教える生命の不思議現代免疫物語
―花粉症や移植が教える生命の不思議

(2007/04/20)
岸本忠三、中嶋彰

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『新しい免疫入門』の参考文献にあがっていたなかで、借りてきて読んだ本。著者のひとり、岸本忠三が医学部出身で阪大の学長を務めた人でもあることは知っていたが、こういう研究をしていた人だとは知らずにいた。

▼結核菌の感染はきっかけに過ぎない、発熱などの大半の症状は実は免疫のせいである。人間の免疫の営みが肺の組織に空洞を作るのだ、といったら信じてもらえるだろうか。でもそれは事実なのである。(pp.57-58)

この「結核もアレルギー」という話に、へぇぇぇとびっくりした。父の父(私からすると祖父にあたる人だが、早くに亡くなってこの世で会ったことがない)は、まだ父が子どもの頃に結核で死んだ。「時代がよかったら…」と父からは何度か聞いた。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第70回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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