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読んだり、書いたり、編んだり 

私の小裂たち(志村ふくみ)

私の小裂たち私の小裂たち
(2012/02)
志村ふくみ

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近所のおばちゃんが帰省中なので、猫の世話に数日通う。志村ふくみ好きのおばちゃんが、よかったらどうぞと、読み終わった文庫本を置いてくれていたので、借りてきて読む。

▼織物をはじめた1960年前後から織ったものの残り裂を手元の手帖に貼っていたがいつの間にかたまって、2007年に『小裂帖』として出版した。
 このたびその中から裂を選び、小裂帖刊行のときに書き下ろした文章と、今新たに書いた文章とを組合わせて、小さな文庫の形にした。(p.3)

というのが、この本。文庫カバーの裏には「草木から絶妙の加減で抽出し、絹糸に吸わせた色の鮮やかさ、織の妙味を、製版・印刷技術の粋をもって再現」と書いてある。

たしかに、この本に掲載されている小裂たちの色は、草木からこんな色が出てくるのかと驚かされる。さまざまな色が組み合わされた織のもように、目がすいよせられる。

パパの電話を待ちながら(ジャンニ・ロダーリ)

パパの電話を待ちながらパパの電話を待ちながら
(2009/04/07)
ジャンニ・ロダーリ

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なにかで紹介されてるのを見かけて、図書館で借りてきて読んでみた。

1週間のうち6日間は、イタリア中をセールスしてまわってるビアンキさんは、幼い娘に「あのねパパ、毎晩お話をひとつ、してくれる?」と請われて、それからは毎晩、出先から必ず家へ電話して、娘にひとつお話を聞かせた。この本はビアンキさんが娘に電話で聞かせたいろんなお話を集めたもの、というつくり。

▼どのお話も、少し短めでしょう? 電話代はビアンキさんが自分で払っていたので、あまり長電話ができなかったからです。でも仕事がうまくいったときには、いつもより電話代を奮発して、娘にお話を聞かせました。(pp.5-6)

実にいろいろな話があって、いろんな登場人物?(登場イキモノ?)がいて、毎晩こんなのを聞いたら楽しいだろう、と思った。

いつか陽のあたる場所で(乃南アサ)

いつか陽のあたる場所でいつか陽のあたる場所で
(2010/01/28)
乃南アサ

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前科[マエ]持ち二人のシリーズ最終巻の『いちばん長い夜に』を読んだら、二人の話をもう一度さいしょから読みたくなって、シリーズ1冊目の『いつか陽のあたる場所で』を借りてきた。

単行本のときに読んでいるのだが、読みなおしてみると、ぼんやりとおぼえている部分もあったものの、なんだか初めて読むようだった。前に読んでから6年、そのあいだに自分の「受容器」が変わったのかもと思った。

物語は、芭子と綾香が刑務所[あそこ]から出てきて1年足らずの頃から、春が来たら2年になるという頃までを4話で描く。芭子は29歳で、綾香は41歳、同じ干支のひとまわり違いの二人。

綾香がもう償いは終わったんだから、もう普通に暮らしていいじゃない、どんどん取り戻していいんじゃないと言うのに対して、「─そんな、人並みの暮らしなんか、望んだらいけないんだ」(p.27)と思う芭子。

7年の懲役をつとめて出てきた芭子は、何かの拍子に自分の過去がバレるんじゃないかと怖れ、キリキリと緊張しているのだ。最終巻の芭子の姿を読んだあとに、この出てきて間がない頃の暮らしぶりを読むと、「過去は過去」ということに容易にはならない現実に、胸がつまる。

日本国憲法の誕生(古関彰一)

日本国憲法の誕生日本国憲法の誕生
(2009/04/16)
古関彰一

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加納実紀代の『ヒロシマとフクシマのあいだ』→マーク・ゲインの『ニッポン日記』と読んだアタマで、辛淑玉さんの『悪あがきのすすめ』のなかに憲法学者の古関彰一さんがなんとかいうのを、見つけ、その古関さんの『日本国憲法の誕生』を借りてきた。

昭和が終わる頃に書き上げられ、平成の初め、1989年の5月にこの本の旧版『新憲法の誕生』は出ている。

占領下日本で、いまの憲法はどうやってできてきたのか、平成になって新たに公開された昭和の資料も多く、新版のこの本にはへえぇと思うことがいろいろとあって、最近読んだなかでは一番か二番くらいにおもしろかった。マーク・ゲインの本に出てきた登場人物もあらためてよく分かった。

平和宣言 広島原爆の日に

ふだんはめったに見ないテレビを、朝起きてつけた。昨日から広島には警報が出るくらい雨が降っていて、どんな空模様だろうと思って。広島市内はずいぶん雨が降っているようだった。出勤までの短い時間、記念式典の中継を見た。松井一實市長が、カッパを着て、原爆死没者名簿を奉納していた。

8月6日に平和公園にいたことも何度かあるけれど、いつもはテレビの中継を見る。今日は最後まで見られなかった。雨はあがっただろうかと思いながら、たくさんの方のお弔いの日を過ごした。原爆の日といえば、私の記憶のなかでも、晴れた暑い日。あの日と同じように。この日が雨になるのは40数年ぶりだという。

帰ってきて、広島市長の平和宣言を読む。

「自分だけが生き残った申し訳なさ」「子どもたちから温かい家族の愛情や未来の夢を奪い、人生を大きく歪めた「絶対悪」」「未来志向の対話ができる世界を」…
Genre : 日記 日記

しんこ細工の猿や雉(田辺聖子)

しんこ細工の猿や雉しんこ細工の猿や雉
(1987/03/10)
田辺聖子

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前々からタイトルは知っていたものの、読んだことのなかった作。女学生の頃から「本ごっこ」「著者ごっこ」をして本を書くことを夢みていた少女が、芥川賞を受賞するまでの「自伝的長編」。

文庫本でほとんど400ページの長編は、まだ何者でもない若いときの、この先自分は何かになれるのか、どうにかなるのかと思い迷うこころ模様や、ときにはどーんと大風呂敷を広げたようになる自尊心が縷々綴られていて、そこがおもしろかった。山のように作品があって、愛読者も数多く、「田辺聖子全集」が出ているような作家にも、右往左往した若いときがあったんやなーと思いながら読んだ。

自分より上の世代の人は、年の差が縮まるわけではないから、会ったときから何者かであって、非の打ちどころがないように見えたりもして、その人にも今に至るまでに若いときがあったということが見えにくい。親にしてもそうだし、さらに上の祖母の世代になると、「おばあちゃん」が女学校のときにバスケットボールをしていたなどというのが想像もつかない。

田辺聖子のこの小説は、そこのところを想像させてくれるのだった。

ろうあ者・手話・手話通訳(松本晶行)

ろうあ者・手話・手話通訳(松本晶行)ろうあ者・手話・手話通訳
(1997/08)
松本晶行

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手話や手話通訳についていろいろと書いている人のサイトを読んでいたら、この『ろうあ者・手話・手話通訳』の本をもう何度も読んでいるとあって、図書館で借りてきて読んでみた。

著者は8歳で失聴した、聞こえない弁護士である。もとは季刊『手話通訳問題研究』(全国手話通訳問題研究会の機関誌)に連載されたもので、「私個人のこと、ろうあ者のこと、手話と手話通訳のこと、文字通りその時々に思いつくまま、好き勝手に書かせてもらった」(p.225)という文章を編んである。

著者は、過去に「点字毎日(http://www.mainichi.co.jp/corporate/tenji.html)」で10年ほど連載した経験から、盲人の問題をずいぶん勉強し、同じように情報障害が問題になる「見えないこと」の問題を知ることによって、「聞こえないこと」の問題をあらためて知ることになると書いている。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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