読んだり、書いたり、編んだり 

1月に読みおわった本

1月に、てっぺんから最後まで読んだ本のリスト。編集部として関わるのは最後になる『We』の編集できゅうきゅうとしていた合間に、けっこう本を読んだ気がする。ほかに読みかけが数冊。

今月は久しぶりに映画館で映画をみた(「旅する映写機」「小さな町の小さな映画館」)。今はあまり頻繁に映画をみにいくことがないため、行くときには「これ」と決めて映画館へ向かっているが、図書館や本屋でふらりと本にめぐりあうように、時間の空いたときにぶらっと映画館へ行って、そのときにかかっている映画をみる、というのもありかもと思う。

11月の健診後、暮れに受けた精査のけっか、イシュク性胃炎といわれる。もしや消化器からの出血がないかという精査でもあったが、さいわいにして胃からの出血はなかった。胃の調子はいまいちながら、貧血もひどいので、様子をみながら鉄剤をのんでみることになった(鉄剤は胃に負担をかけやすいのだそうで)。これで貧血が改善して、身体がラクになるといいなぁ。

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木と青空

1月24日の木と青空

こないだよく晴れた日に、この木の姿をみて、小野竹喬の裸木の写生を思い出した。芽吹く春や繁る夏の木もきらいではないけれど、裸の枝ぶりがよくわかる冬の木、その寒空に立つ姿には目をうばわれる。カメラがあったので、写真を撮ってみた。
Genre : 日記 日記

カツオとかつお節の同時代史―ヒトは南へ、モノは北へ(藤林泰、宮内泰介/編著)

カツオとかつお節の同時代史―ヒトは南へ、モノは北へカツオとかつお節の同時代史
―ヒトは南へ、モノは北へ

(2004/11)
藤林泰、宮内泰介/編著

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『かつお節と日本人』を先に買って読み、コンパクトな岩波新書には書いてない話もたくさんあるということだったので、この10年前の本を借りてきた(近所の図書館にはなくて、ヨソからの相互貸借であった)。

カツオ・かつお節研究会(通称/自称は「カツカツ研」)は、「これはおもしろそうだ」から始まった。最初の顔合わせは1997年3月だという(私が長ーーい学生生活を終わった頃である)。そこから、呼びかけに応じて旧ヤシ研のメンバーを中心に、20代前半から50代まで、年齢も仕事も多彩なメンバーが20名近く参加したという「カツカツ研」は、5年かけて、国内や海外をたずね、調査研究をすすめていった。

そもそもは『バナナと日本人』の鶴見良行さんに感化された人たちが、バナナの次にエビ研をやり、その次にヤシ研となり、そしてカツオ研へと展開している。

この"共同作業によるモノ研究"は、「単なる知識の蓄積をめざすのではなく、市民による調査研究運動の一手法であり、戦略であった」(p.300)という。

そのことを、編者のひとり、藤林泰はこう書く。

かつお節と日本人(宮内泰介、藤林泰)

かつお節と日本人かつお節と日本人
(2013/10/19)
宮内泰介、藤林泰

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たしかこの本が出た頃だったか、新聞かなにかの書評でちらっと見たのだったか、(あ、藤林さんの本だ)と思っていたのに、秋はあれこれ忙しくて、そのまま忘れてしまっていた。ミニコミ「ブックマーク」を元々送っていた住民図書館が閉館し、その資料を引き継いだのが埼玉大学の共生センターで、いちどセンターを訪ねたときに、藤林さんにもお目にかかる機会があった。
(その後、市民資料は、埼玉大学から立教大学へ移管されて、「ブックマーク」も今は立教大学の共生センターへ送っている。)

年明け、共生センターのスタッフだった方からいただいた年賀状にこの本のことが書かれていて、あ!と思い出した私は、図書館が開く前に、本屋で買ってきて読んだ。

『かつお節と日本人』のタイトルは、『バナナと日本人』や、『エビと日本人』を意識してつけられている。"カツオ・かつお節研究会"という市井の研究会メンバーの多くは、直接・間接に鶴見良行さんの薫陶を受けた顔ぶれだった。"かつお節から世界を見てみよう"と始まった研究会は、帯にあるように、かつお節を追いかけて「300年、4000キロの物語」になったのである。かつお節をたどっていくと、日本と東南アジア・太平洋海域との関係の歴史がみえてくるのだ。

今週末から1週間:ドキュメンタリー映画「旅する映写機」と「小さな町の小さな映画館」上映(1/25~31)

今週末(1/25)から1週間、森田惠子監督のドキュメンタリーが大阪で上映されます。

映画「旅する映写機」上映(10:20~、1/25~31、大阪・七藝)
& 「小さな町の小さな映画館」も同時上映(12:50~、1/25~31、大阪・シアターセブン)

(七藝とシアターセブンは、同じサンボードシティの6階と5階です)
↓詳しくは
http://femixwe.blog10.fc2.com/blog-entry-566.html

ドキュメンタリー映画「旅する映写機」

Because I am a Girl―わたしは女の子だから(ティム・ブッチャー、グオ・シャオルー、ジョアン・ハリス、キャシー・レット、デボラ・モガー、マリー・フィリップス、アーヴィン・ウェルシュ(角田光代訳))

Because I am a Girl―わたしは女の子だからBecause I am a Girl
―わたしは女の子だから

(2012/11/20)
ティム・ブッチャー、グオ・シャオルー、ジョアン・ハリス、キャシー・レット、デボラ・モガー、マリー・フィリップス、アーヴィン・ウェルシュ(角田光代訳)

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収録されている各作品もよかったが、冒頭の角田光代による「私も女(の子)だからこそ――まえがきにかえて」がよかった。
プランというNGOから依頼をうけて、角田は「Because I am a Girl」キャンペーンの一環として、2009年、アフリカのマリへ向かった。女性が性的快楽を感じることのないよう、切除することで結婚まで純潔が守られると見なされているために、女性性器切除という習慣がいまも続いているというマリ。それがもとで女の子はいのちを落とすこともある。

長い伝統をもつ女性性器切除の習慣を変えることは無理だろうと、角田は絶望的に感じていた。伝統であるならば、外国人がとやかく言えることではないのではないかとも。角田はいろんな村をみる。習慣をかたくなにやめないと女性たち自身が主張する村があり、数年前に完全にその習慣をやめた村があった。そのやめた村は、近隣の4つの村を説得して、切除の習慣をやめさせたという。

習慣を変えるのは絶対に無理だと思っていた角田は、そうした変化に驚く。それは、地元のプランと地域スタッフの活動によるものだった。角田と同行した女性職員は「二、三カ月に一度、八時間かけてこの地域を訪れ、廃止をした人たち、廃止を検討している村の人たち、廃止しないと言っている村の人たちと、対話を続けている」(p.4)という。衛生プロジェクトのスタッフは、この地域に家を借りて、もっと頻繁に村々を訪れているそうだ。

絲的サバイバル(絲山秋子)

絲的サバイバル絲的サバイバル
(2012/11/15)
絲山秋子

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これは『小説現代』誌での、表題どおりの連載だったそうである。
▼略して絲サバ、連載の記念すべき第一回の発売日はなんと私の誕生日。嬉しくもない四十歳。子供や若者に「お姉さんと呼びなさい」とも言えない四十歳。じゃあ、四十にして今までやっていないことに挑戦しようと協議していて、思わず自分から言い出してしまった「一月一回一人キャンプ」。そんなアホなこと誰もやってないですよね。(p.9)

設備ばっちりのキャンプ場や人里離れた山の中、あるいは友人の家の庭や講談社の敷地でテントを張って「一人キャンプ」。読んでいると、まったく一人の行程の場合もあれば、山菜採りやら飲み食いのところは同行者がいる場合もあるが、「寝るのは一人」というかんじ。

そして、焚き火の火をみながらすごす時間。

わたしのブックストア あたらしい「小さな本屋」のかたち(北條一浩)

わたしのブックストア あたらしい「小さな本屋」のかたちわたしのブックストア
あたらしい「小さな本屋」のかたち

(2012/12/12)
北條一浩

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この本が出たころに、なんどか本屋でちらっと見た。
こないだ読んだ『冬の本』の編集にあたった人が、この本をつくった人でもあった。奥付によると、この北條さんという方は、メールマガジン「高円寺電子書林」の編集人でもあるらしい。(このメールマガジンは終刊し、アーカイブがここに http://sv4.mgzn.jp/pub/mailList.php?cid=Q110257

「はじめに」には、こんなふうに書いてある。
▼お店を営んでいる人の顔が見える、小さな本屋。その魅力を追いかけた本です。本が売れない、読書をしなくなった、といわれるこの時代に、どんな思いで本屋をつづけ、どんなアイデアと工夫で空間を作っているのか、店主の皆さんに「わたしのブックストア」を語っていただきました。…(p.3)

お話が載ってる店で、行ったことがあるのは4軒。行ったことはないけど、店主さんが本を書いてるのを読んだことがある、という店もある。

きわきわ―「痛み」をめぐる物語(藤本由香里)

きわきわ―「痛み」をめぐる物語きわきわ
「痛み」をめぐる物語

(2013/06/26)
藤本由香里

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「あとがき」で、著者がこの本をコンパクトに紹介している。
▼本書は、ご覧いただければわかる通り、自傷・リストカット、スプリットタンや刺青などのボディ・モディフィケーション、美容整形、美醜の問題、顔の傷痕、婚外の性愛、セックスワーカー、障害者の性…など、いわゆるコントラバーシャル(=議論を呼ぶ)類の、だからこそ人々が話題にするのを避ける「きわきわ」な問題だけを追いかけて綴った「ゼロ年代(+α)の日本」論である。(p.225)

「きわきわ」の問題を追う理由を、著者は続けてこう書く。
▼…霧の向こうにある崖の存在を誰もが感じながら、崖は、ないことにされている。ここは、安全な地面。霧の向こうの崖に落ちてしまうのは「運の悪い人」。そんなはずはないのに。福島の原発事故だって、霧の向こうにある崖は「ないことにしていた」からこそ起きたのではなかったか。
 だからこの本では「きわきわ」の問題だけを書いた。社会のキワで人は深く深く考えざるを得ない。深いものとなるためには、私たちは〈世界〉を回復しなければならない。
 「きわきわ」のところから、この十数年の社会を振り返るこの作業は、思いがけなく私を、30年以上前に大学で学んだことの中に連れ戻しもした。ずっと私の底に沈んで問題意識であり続けたもの。私はずっと「社会」と〈世界〉の間にあって、「社会」と〈世界〉を繋ごうとし続けてきたのだと思う。…
 「社会」と〈世界〉を繋ぐこと――それは、祈りでもある。
 この祈りが、あなたに伝われば、嬉しい。(p.226)

捨てる女(内澤旬子)

捨てる女捨てる女
(2013/11/20)
内澤旬子

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『身体のいいなり』に書かれたような身体の変化のせいなのか、著者は気持ちまでが変わって、"なんでも貰う拾う集める貯める暮らし"から、捨て暮らしに一転する。捨てて、捨てて、捨てまくる日々が綴られる。とくに私が気を引かれるのは、紙と本の捨てぐあい。うちも紙だらけなので。

製本の趣味のため「…素敵だからいつか何かに使えそう」と買った紙が、うんざりするくらい溜まっていたのも、ごっそり人にあげたり手放したり、紙を捨てまくった著者。

▼で、いざ紙ががっさりとなくなってみても、すでに別居したときに紙と離れてることもあるし、今現在本を作っているわけでもないので、特に困るわけでもないんだな。
 これが、妙にじわじわと、ボディブローのように、こたえた。いざなくしてみて、ああやっぱり困る!!と嘆くほうが、まだ良かったようだ。どうやら資料本以外、何を捨てても特に困らない。ってことは、もう自分はこれまで積み上げた過去にも、これからの現世にも以前ほど興味や執着がないんじゃなかろうか。…なんだ、このがらんどう感は。なぜだろう、自分の中のみっともない執着や我欲と対峙するほうが、よっぽどましだ。
 このうつろな思いは、処分が進んでいくごとにしんしんと深まってゆくのである。(p.186)

冬の本(北條一浩/編集)

冬の本冬の本
(2012/12/12)
北條一浩/編集

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"冬の本"縛りのアンソロジー。84人のそれぞれのエッセイは、小ぶりな本を開いた2ページずつ、約1000字だという。社名に夏が入っている会社が出したところもおもしろい。『本屋図鑑』を出した版元である。

冬の経験を書く人、冬ということから思い出す本を書く人、冬といって浮かぶよしなしごとを書く人…収録が執筆者名の五十音順というのもおもしろかった。

いろんな人の"冬の本"を読みながら、私だったら、このテーマで、どんなことを書くかな?と考えた。

戦争のつくりかた(りぼん・ぷろじぇくと)

戦争のつくりかた戦争のつくりかた
(2004/07/27)
りぼん・ぷろじぇくと

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いまから10年前の2004年、有事法案を読みこむ勉強会を続けてきた人たちがつながって、「成立を止めよう」とよびかけるネットワークをつくった。ちょうど衆議院で有事7法案と関連3条約※が審議されていたころ。そのネットワークのメーリングリスト内で話し合いを重ね、ちらしや解説を載せたウェブサイトの準備をするなかで、ある人のあたまに突然浮かんだのが、この「戦争のつくりかた」の絵本だったという。

1日100通を越すメールを交わして一字一句を確かめあって本文ができ、ウェブ絵本というかたちでサイトに発表された。そして、井上ヤスミチさんの絵がついて、冊子版『戦争のつくりかた』が出版された。その冊子は、有事法案審議中の国会議員全員にもくばられたという。

冊子版のことは多くのメディアでとりあげられ、発売から2ヶ月で3万3千部が売れたそうだ。もっと多くの人に読んでもらいたい、条文などの資料をつけて、本文の根拠と出自を示したいと、あらたにマガジンハウスから出版されたのが、この本だ。

英訳されたタイトルは"What Happens Before War?"で、そういう内容が書かれている。戦争が始まってしまうまでに、何が起こるのか。テレビや新聞が何を伝えるか、学校でどんなことが教えられるか、政府が何を推奨するか、決まりをどう変えていくか…そういうことが書かれている。

たぶん、いい本。
だけど、読んでて、ひっかかったところもある。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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