戦友の恋(大島真寿美)
![]() | 戦友の恋 (2009/11/27) 大島真寿美 商品詳細を見る |
『それでも彼女は歩きつづける』を読んで、久しぶりに大島真寿美を読みたい欲が昂進して、図書館にあった本を借りてくる。
むかしは漫画を描いていた佐紀は、同い年で新人編集者だった玖美子に、こんなへたくそな絵じゃアシスタントにもなれないとくさされて、でもストーリーは面白いから原作者としてやってみない?と誘われて、うだうだと悩んだあげくに、原作者として書いていくことになる。山本あかねという本名よりも、山本佐紀というペンネームがなじむほどに。
お互いがお互いの「生みの親でもあるし、育ての親でもある」玖美子と佐紀は、長く一緒に仕事をし、一緒に飲み、共に遊んできた。楽しげな女二人に、「どういう関係の友達?」と質問が向けられると、「あたし達、友達じゃないから」と即答する玖美子。自分たちはもっと特別な関係だと言いたいのだと、友達という言葉には当てはまらないと、佐紀も思う。
あるとき半分酔っ払った勢いで、玖美子が「戦友」だと言った。たしか、亡くなる1年くらい前。このごろ頭が痛いのだとこぼす玖美子に、病院へ行った方がいいと佐紀は忠告した。でも、結局玖美子は病院に行かず、死んでしまった。
不意にいなくなってしまった玖美子。玖美子がここにいないというところから始めるしかない。佐紀は、長い長い喪中のように、玖美子を失った日を送っていく。その日々が、穏やかに書かれていく。佐紀が、携帯もってないところに、みょうに親近感がわいた。
[続きを読む]
22:31 | Comment:0 | Trackback:0 | Top