読んだり、書いたり、編んだり 

昭和二十年夏、子供たちが見た日本(梯久美子)

昭和二十年夏、子供たちが見た日本昭和二十年夏、子供たちが見た日本
(2011/07/09)
梯久美子

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8月に読んだ『昭和二十年夏、女たちの戦争』、9月に読んだ『昭和二十年夏、僕は兵士だった』に続き、この本を読む。

前二作は、大正の後半から昭和の最初にうまれ、昭和20年夏に10代半ば~20代だった若者にインタビューしていた。この本は、その少し下、子供として敗戦を迎えた世代に話を聞いている。生まれ年は1935(昭和10年)前後、ちょうど私の父と同い年の人たちである。

昨日、やはりこの本で話している人と同世代の降旗康男(映画監督)の話を新聞で読んだ(2012年10月26日、日経3版夕刊「学びのふるさと」)。

昭和19年、「日本軍のサイパン島玉砕でいよいよ本土爆撃かという雰囲気が広がっていた頃」、国民学校の4年生で10歳だった降旗は放課後、代用教員として来ていたM先生に一人呼び出された。「おまえはおっちょこちょいだから、少年兵なんかに志願したらいかんよ」と先生に言われ、「この戦争は負けだよ」とも聞く。

「日本が負けるなんて考えもしなかったし、そんなことを言えば投獄の危険があることも分かっていたので、誰にも言えませんでした。」と降旗は語る。そのM先生の話を聞いた半年後、自宅の隣の旅館に訓練中の特攻隊員がやってきて、遊んでいた子供らにこう言った。「日本は負ける。次の日本をつくってくれよ」。友だちは面食らっていたけれど、M先生の言葉を聞いていたので降旗は驚かなかった。

「対話」がクラスにあふれる! 国語授業・言語活動アイデア42(石川晋)

「対話」がクラスにあふれる!  国語授業・言語活動アイデア42「対話」がクラスにあふれる!
国語授業・言語活動アイデア42

(2012/06/07)
石川晋

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『We』178号から新しく連載「公立中学校でしなやかに生きること」を書いてもらっている石川晋さんの本。図書館にリクエストしたものの、どうもまた図書館はこの本を「教員向け」に囲い込んで、一般貸しをしない本にしてしまうつもりらしく、「他市からの相貸になりますが、他市で予約待ちがあるので、借りられるのはその後です」などと言われて、えらい長いこと待っていた(しかし、現在のところ、この本は「教員向け」にさえ購入されていないもようで、謎)。

字詰めや行数などのページデザインが私のアタマに合わないのか(私にはかなり詰まり気味に感じられた)、なんだか読みにくい本だった。

この本のキモは「対話」。石川さんは、例えばこんな風に書いている。

▼生徒同士が親しく「対話」できるためには、「安心」も必要だ。無論「安心」して話せる「手立て」や「仕組み」や「内容」が、授業に用意されているか。これが重要なのはもちろんである。しかし、発言して「安心」な場になっていること、これが大前提なのである。(p.32)

(石川さんの文章には、なんでかわからないが、ものすごくカッコ使いが多い。本文は、だいたいこういう頻度でカッコが使われている。)

野蛮な読書(平松洋子)

野蛮な読書野蛮な読書
(2011/10/05)
平松洋子

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この本は、9月のはじめだったか、いつも行く図書館の下の本屋で見かけて、ぱらぱらっと見ては戻すというのを3度くらいやっていた。ちょうど『We』編集もぐぐっと忙しくなって、読みたいなーと思いながら、通りすがりに眺めていた。

その本が、しばらくして、図書館の面出し棚をぶら~っと見ているとあった!のだった。自分のカードはもう10冊いっぱい借りている。幸いにしてカードに空きのある同居人が一緒だったので、これ借りてくれ~と頼んで借りてもらう。帰っていそいそと読む。『We』入稿もすんだところだった。

いっとうおもしろかったのは、第一章のいちばんはじめの「「能登とハンバーガーと風呂上がり」。著者がどんなふうに本を発見し、それを手にし、盛りあがった読みたい気持ちのなかで実際どこでどう読んでるか、の描写がたまらなくそそった。その本は、開高健の『戦場の博物誌』

舟越保武全随筆集―巨岩と花びら ほか

舟越保武全随筆集―巨岩と花びら ほか舟越保武全随筆集
―巨岩と花びら ほか

(2012/05)
舟越保武

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たしか9月に、新聞の書評欄の短評でみて、あーこの人は松本竣介と同郷で同い年の人やなあと思い、全随筆集には「松本竣介」という章もあるというので、読んでみたくて図書館へリクエストした。そしたら隣の市の図書館から、思いのほか早く本が届いた。

1912年、松本竣介は明治45年うまれで、舟越保武は大正元年うまれ(私の祖母も同年うまれ)。36歳で死んだ竣介と、89歳で死んだ舟越(そして81歳で死んだ祖母)とは、あいだに時間がありすぎて、同年うまれの人とは思えない。

二人は盛岡中学で同期だったというが、クラスが違って、ほとんど口をきいたことはなかったという。竣介は中3で中退して(旧制中学なので当時の修業年限は5年のはず)、太平洋美術学校へ入り、舟越は中学を出てから3年浪人して東京美術学校へ入り、東京で再会している。

既刊の随筆集と、あとは今年が二人の生誕100年にあたるという記念で竣介について舟越が書いたものと、新聞や雑誌に書いたものが編まれている。

400ページ近くあって、読めるかな~と思ったが、読み始めると、この人の見たもの、感じたこと、作品制作の模様、あるいは生活のひとこまなどが書かれた文章にひきこまれ、2日ほどで読み終えた。

舟越保武は彫刻家なので、彫刻作品をつくったときの文章はそれはそれで(こんな風につくるのか)というおもしろさがあったが、デッサンの話がそれ以上に私にはおもしろかった。釣りの話や、犬の散歩の話もじつにおもしろかった。

らいとぴあ連続セミナー「学校"って何やろう?~ぼくの・わたしの学校モンダイ~」(10/25、箕面・大阪)

今週の木曜(10/25)、久しぶりに箕面のらいとぴあへ行商にいきます!

大阪・箕面のらいとぴあ21の連続セミナー会場で、昨年に続き、『We』やフェミックスの本を販売させていただく予定です! 今年のテーマは「アタリマエを疑う」。
"「当たり前」を問いなおす"を特集した『We』178号はじめ、セミナー会場に並べたいと思います。ぜひ手にとってごらんください。
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"学校"って何やろう? ぼくの・わたしの学校モンダイ

学校今年のテーマ「アタリマエを疑う」
日時:2012年1025日(木)
    19:00~21:00
 ※当日参加OK!
場所:らいとぴあ21・視聴覚室 アクセス
参加費: 無料
問合せ:072-722-7400(らいとぴあ21)
主催:らいとぴあ21
・パネリスト
1)木脇嶺さん(不登校経験、高認で大学受験)
2)田渕浩昭さん(箕面市立中学校 教諭)
3)藤田美保さん(箕面こどもの森学園 校長)
4)田辺克之さん(神戸フリースクール 代表)
5)前田直也さん(保育士志望・大学生)
Genre : 日記 日記

ぼくは、おんなのこ(志村貴子)

ぼくは、おんなのこぼくは、おんなのこ
(2003/12/25)
志村貴子

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こないだ京都の本屋で、念入りにうろうろしていたときに見かけて、(たしかこのマンガはうちにあったような…)と思い、帰ってきてたしかめたら、やはりこのマンガだった。

いつ頃買ったのか記憶がはっきりしなかったが、過去ログを検索したところ、私はこのマンガを2008年に古本屋で求めたらしい。どんな話やったっけ~と思いながら、だいぶ黄ばんだマンガを読みなおす。

表題作は、ある日突然に世界中が一転し「男が女に」「女が男に」なってしまった世界を描いている。そういえば、そんなマンガだった。案外すんなり慣れたという人もいれば、ショックで失踪した人もいる。せっかく手術して性別を変えたのに、またそれが戻ってしまって、こんなことなら待っていればよかったという人もいる。

ず・ぼん 16 図書館とメディアの本(ず・ぼん編集委員会)

ず・ぼん 16 図書館とメディアの本ず・ぼん 16
図書館とメディアの本

(2011/01/18)
ず・ぼん編集委員会

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ほぼ年に一度出てる『ず・ぼん』は、時々思い出して借りてくる。しばらく忘れていたら、16と17が出ていたので、「非常勤職員がNPOを立ち上げた」というのが気になって、まず16を借りてきた。

この号では「ただいまiPad貸出中?」という電子書籍と図書館についての座談会や、「出版社も図書館も消えるのか? デジタル時代、図書館員は何を目指すのか?」という沢辺均の講演録が入っていて、デジタルとかネットとか電子書籍という流れのなかで、じゃあ図書館はどうすんの、何をすんの、という話がとくにおもしろかった。

図書館のレファレンスという機能は、これまでのところ、どこか"学校のセンセイ"に似ていて、「知識や情報やいろんなことを知ってる人」が子羊を導いてしんぜようという雰囲気があった。

ず・ぼんの座談会は「いま図書館員の中だけで情報を提供するのは限界が来ている」と話している。本という形の資料以外のものが、わんさかある今、「こういう本がありますよ」にとどまらず、例えば「ネット上にはこんなデータベースがありますよ」「必要だったらこういう人もいますよ」というところまで、ガイドできるのが図書館員であってほしい、てなことも語られる。

松本竣介 線と言葉(コロナ・ブックス編集部)

松本 竣介 線と言葉松本 竣介 線と言葉
(2012/06/08)
コロナ・ブックス編集部

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『青い絵具の匂い』を読み、『求道の画家 松本竣介』を読んで、今年の生誕100年展にあわせて編まれたらしいこの本を借りてみた。竣介の作品と言葉が、いくつも収められている。

表紙カバーの絵や、たくさんのカラー図版をみて、『青い絵具の匂い』の「青」に、あらためて気づく。

1940年の10月に開いた個展にあたり、「個展に際して」という案内文で、28歳の竣介はこんなことを書いている。

▼絵を描くことが好きでありながら、画家になる望みを一度も持たなかった僕が、十四の時に聴覚を失ひ、此路に踏迷ひ十五年の迂路を経た今日、やうやく、絵画を愛し、それに生死を託することの喜びを知り得たといふこと、それが、今、言ひ得る唯一の僕の言葉です。(p.67)

聴覚を失ったために、竣介は徴兵をまぬがれた。聴覚を失ったために、画家になることを決めたともいう。聴覚を失ったことは、松本竣介の生を、ある方向へ向かわせたともいえる。

「僕のお父さんは東電の社員です」小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味(毎日小学生新聞/編+森達也)

「僕のお父さんは東電の社員です」小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味「僕のお父さんは東電の社員です」
小中学生たちの白熱議論!3.11と働くことの意味

(2011/11/25)
毎日小学生新聞/編+森達也

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2011年3月11日に起きた震災から3週間が過ぎようとしていた頃、「突然ですが、僕のお父さんは東電の社員です。」に始まる手紙が、毎日小学生新聞の編集部に届いた。毎小が2011年の3月27日に掲載した北村龍行さんの「NEWSの窓」に対する反論である。《ゆうだい君の手紙》として、私もいつ頃だったか、その断片を読んだおぼえがある(ゆうだい君というのは仮名)。

この本は、その《ゆうだい君の手紙》、北村龍行さんの「NEWSの窓」のテキスト全文とともに、ゆうだい君の手紙をうけて、多くの読者が寄せた投稿(小学生のみならず、中高生や大学生、大人からの手紙もある)を編み、巻末に森達也による「僕たちのあやまちを知ったあなたたちへのお願い」という文章を収めて、本にしたものである。

この本を読んでみようかなと思ったのは、『We』180号で分科会報告を掲載した坂内智之さん(郡山市の小学校の先生で、『放射線になんか、まけないぞ!』の著者)が、担任の小4クラスで、この《ゆうだい君の手紙》に対する意見文を書き、毎小に投稿、全員の作文がこの本に載っているとおっしゃっていたからだ。

わが故郷アントゥリ 西表・網取村の民俗と古謡(山田武男/著、安渓貴子、安渓遊地/編)

わが故郷アントゥリ 西表・網取村の民俗と古謡(山田武男/著、安渓貴子、安渓遊地/編)▼山田武男/著
(安渓貴子、安渓遊地/編)
わが故郷アントゥリ
西表・網取村の民俗と古謡

おきなわ文庫(ひるぎ社) 1986年

※2012年9月に電子書籍として復刊
わが故郷アントゥリ
西表・網取村の民俗と古謡



この本の編者であるアンケイさんの『調査されるという迷惑』に出てきたこの本を読んでみたくて、図書館へリクエスト。古い本でもあって、相貸でヨソからやってきた。アンケイさんの書いていた「フィールドでの濃いかかわり」の一つが、この山田さんとの本でもあるのだろう。

この本は、著者の山田武男さんが、「なんらかの形で村落の一生を掘り起こし、力の及ぶ限り書き綴り、子孫への贈り物にしたい」(p.19)と、「小さい時から父に聞かされてきた網取村の民俗や神行事・祭りのことを中心に記憶をたどりながら書きつづったもの」(p.23)である。山田さんの父・満慶(みつけい)さんは、明治16(1883)年生まれで昭和45(1970)年に移住した石垣島で亡くなる。武男さんは1919(大正8)年生まれ、1986年に石垣島で亡くなる。

名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集(レオポルド・ショヴォー)

名医ポポタムの話―ショヴォー氏とルノー君のお話集名医ポポタムの話
―ショヴォー氏とルノー君のお話集

(1995/11)
レオポルド・ショヴォー

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ショヴォー氏の話、訳は福音館と同じ出口裕弘(この本は、福音館の5冊から、10篇を選んで編んだという本)、絵は本家のショヴォー氏にかわって、土橋とし子。こないだ福音館の5冊を読んだところではあるが、またまた読んで、またまたニヤニヤとしてしまう。巻頭の「ヘビの子の話」も、表題作の「名医ポポタムの話」も。

土橋とし子の絵も、これはまたおかしい(私はこの人の絵がけっこうスキで、むかし買った本もいくつかある)。「動物園へ行く」では、"ルノー君とわたしは、動物園へ出かけた"とキャプションのついた土橋の絵が入っているが、その親子の姿は、めちゃめちゃニッポンのおっさんとコドモ風。

「訳者あとがき」によると、「日本では、戦前から、少数ながら熱烈なファンがついている」のだから、当然フランスでも相当な人気を得ているのだろうと思いきや、どうもそうではないらしい。「レオポルド・ショヴォー? 知らないな。いつごろの人?」というのが現状で、「人名辞典にも、文学史にも、ちょっと探してみたぐらいでは名前が出てこない」のだそうである。そんなこともあるのか!

求道の画家 松本竣介―ひたむきの三十六年(宇佐美承)

求道の画家 松本竣介―ひたむきの三十六年(宇佐美承)求道の画家 松本竣介
―ひたむきの三十六年

(1992/12)
宇佐美承

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『青い絵具の匂い』のあとで、図書館で借りて読んだ本。

ことしが生誕100年の松本竣介は、画家の道を歩みはじめたのちも、画家だけではない顔をもっていた。自らのアトリエを「綜合工房」と名づけて、1936年に妻の禎子さんと共に「雑記帳」という雑誌を創刊している。24歳の頃である。"随筆(エッセエ)雑誌"と付したこの「雑記帳」が出たのは、宮澤賢治が37歳で死んで3年というとき。まだ賢治を知る人は少なかったが、同郷だった竣介は知っていて紹介を書いている。1年あまり続いた雑誌は、1937年の12月号、通巻14号で廃刊となる。

雑誌を出し続けることは当時もたやすいことではなかったと思うが、「綜合」と名づけた工房の名に通じるように、この雑誌に書いた人たちの幅広さに驚く。この本には表紙の写真があるくらいだが、どんな雑誌だったのか、どこかで見られる機会があれば、見てみたいと思う。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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