読んだり、書いたり、編んだり 

町かどのジム(エリノア・ファージョン)

町かどのジム町かどのジム
(1990/08)
エリノア・ファージョン

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へのへのもへじ文庫で借りてきて、一度ちらっと読みかけたときには乗らず、また積んでいて、それから再び読みはじめたら、町かどのポストのそばのミカン箱にいつもすわっているジムじいさんと、通りに住むデリーとのやりとり、そしてジムがデリーに聞かせる話に、ぐぐっとひかれて、イッキ読み。

「ことしの8月10日まで生きていたら、わしは80になる」というジム。8歳のデリー。むかしは「ゆり木馬号の第一水夫だった」ジムがこの目でみて経験したという話は、なんとも奇想天外で、読んでいてわくわくするし、心がほころぶ。このお話を読みながら、私は紙芝居劇むすびのおっちゃんたちを思い浮かべたりした。

最終話は「ジムの誕生日」。8月10日、デリーは「お誕生日おめでとう、ジム!」と大はしゃぎで、そしてパパの車で「いっしょに海岸へ行くんだよ」とジムに言う。

デリーは自分の誕生日に、ジムに「お誕生日に、なにがいちばんほしい?」ときいたとき、「海をみることだよ」「ほかのなによりも、わしは海が見たい」と言ったジムのことばをしっかりおぼえていたのだ。

エリノア・ファージョン、いいなあ。カバーと中の絵はアーディゾーニで、これもいい。

うさこちゃんときゃらめる(ディック・ブルーナ)

うさこちゃんときゃらめるうさこちゃんときゃらめる
(2009/04/15)
ディック・ブルーナ

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「うさこちゃん」というと、"口がバッテンのうさぎ"という印象として私のなかにはあって、たぶん子どもの頃に読んだやつだが、そのうさぎが赤い海パンをはいている、という絵が思い浮かぶ(たぶんこれだ)。

うさこちゃんのシリーズは、ずいぶんいろいろ出ていて、この『うさこちゃんときゃらめる』は、"4才から"というセットのうちの一冊。

うさこちゃんが、万引きするのだ。
ふわかあさん(こういうキャラクターがいることを初めて認識)と買い物にいったとき、うさこちゃんは「だれも みていないとき きゃらめるを こっそり ぽけっとに いれたのです…」。

ふしぎなオルガン(リヒャルト・レアンダー)

ふしぎなオルガンふしぎなオルガン
(2010/03/17)
リヒャルト・レアンダー

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口琴というと、アイヌの「ムックリ」くらいしか知らずにいたが、金属製もあったり、さらには、昔は日本にも金属の口琴があって「びやぼん」と呼ばれていたそうだ、などという話を、9月の初めにおしえてもらった。

それで、何か本があるかなと図書館の検索窓に「口琴」と入れて引いてみると、このリヒャルト・レアンダーの本が出てきた。この童話集のなかに「コショウ菓子の焼けないおきさきと口琴のひけない王さまの話」という一篇があるのだ(この本では「くちごと」とルビが振ってある)。

せっかくなので、借りてきて読んでみた。「口琴のひけない王さま」がひけないのが、びよよーんと鳴らすこの楽器なのかどうかは話を読むだけでは判然としないが(なにせ、ひけないのだからその描写がない)、「口笛」を吹ける王さまなので、そういうのと取り違えてる風ではない。

この本におさめられているのは美しい創作童話で、こういうのを久しぶりに読んだなと思った。昔読んだり、読んでもらったりした話を思いだすところがあり、それでいて、ふと自分の今の生活のことを考えてしまうような、読後感。

エネルギーと放射線の授業)(「現代」の授業を考える会)

エネルギーと放射線の授業エネルギーと放射線の授業
(2011/11/24)
「現代」の授業を考える会

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Weフォーラムの第3分科会で来ていただいた坂内智之さんの話を次の『We』に掲載するための編集作業中に、坂内さんの授業実践記録「福島に生きる子どもたち」を読もうと図書館で借りようとしたら、スムーズに借りることができなかった。誰も予約しておらず誰も借りていない図書館の所蔵本があるにもかかわらず、通常のようにネット予約もできず、数日待ってからやっと「一夜貸し」という非常の借り方をさせられた()。

しかたがないので、「一夜貸し」で坂内さんの授業実践をまず読んで、あとの人の授業記録も読む。「はじめに」で平林浩さんが「「わからないことはわからない」と言えるわたしたちに」と書いているのがよかった。

▼わからないことをわからないと言うことのたいせつさは、科学・技術の知識だけではない、社会のありかたについてもである。「なぜ東京電力の電気代は高いの?」と問うことで、社会の根本が問いなおされていく。
 「だまされていた」と思ったら、わたしがだまされたわけを問うことも、わからないことをわからないと言うことのひとつ。(p.4)

"Beyond Fukushima ─ 福島の彼方に"(10/2~10/28、リバティおおさか=大阪・芦原橋)

大阪府、市がともに大阪人権博物館(リバティおおさか)への補助金打ち切りの意向を発表し、部落問題にとどまらず様々な人権問題を取り上げてきたリバティが存続の危機にあります。
フェミックスもこの「リバティ応援企画」のチラシに広告出稿させていただきました。関連イベントの日には、会場で『We』を販売させていただく予定です。
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Kazuma Obara Photo Exhibition
"Beyond Fukushima─福島の彼方に"
福島第一原発作業員のポートレートとインタビューを展示した写真展




【開催日時】2012年102日(火)~28日(日)
【開催場所】リバティおおさかガイダンスルーム2 アクセス
【入館料】大人500円、大高生300円(20名以上の団体料金 大人400円、大高生200円)
      中学生以下・65歳以上、障害者(介助者含む)は無料
【休館日】10月9日、15日、22日、26日
関連イベント

【講演と対談】原発のこれまでとこれから
【日時】107日(日)13:30~16:30 【場所】リバティおおさか研修室2
【参加費】1500円(入館料込み。収益はすべてリバティおおさかに寄付します。)
敦賀原発元下請労働者の斉藤征二さんと
福島原発告訴団関西支部の佐伯昌和さんの講演と対談です

【福島取材報告】フォトジャーナリストの小原一真さんによる最新報告
【日時】1014日(日)13:30~16:00 【場所】リバティおおさか研修室2
【参加費】1500円(入館料込み。収益はすべてリバティおおさかに寄付します。)


フォトジャーナリスト小原一真さんが撮影した福島第一原発内の写真、収束作業に携わる作業員27人のポートレートと彼らへのインタビュー記事、日常を撮影したドキュメンタリー写真等、約60点を展示します。作業員は過酷な事故現場でなぜ働いているのでしょうか。そして、どのような想いを持っているのでしょうか。

からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち(マーガレット・ハンフリーズ)

からのゆりかご―大英帝国の迷い子たちからのゆりかご
―大英帝国の迷い子たち

(2012/02/10)
マーガレット・ハンフリーズ

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だいぶ前に予約して、順番待ちをしてた本。どこかの図書館からの相貸になるんやろと思って旧版をリクエストしたら、この新しい版が購入されるので、それを待つのでいいかと訊かれて、ハイハイと待っていた。後ろにもまだ予約待ちの人がいて、これも早めに読む。

さて読もうかとぱらっと開くと、けっこう小さい字の2段組で(読めるかなー)と思った。が、結局一晩で読んでしまった。読みながら、なにかに似てる、なにかに似てる…なんやったっけと思っていた。読み終わってから、『サラの鍵』に似てるんやと気づく。

この本で明らかにされていく英国からの児童移民は、英国にとっても、子どもたちの大規模な受け入れ国の一つであったオーストラリアにとっても、「恥ずべき秘密」であって、歴史的事実としては闇の中にあった。その一端を偶然に知ったソーシャルワーカーの著者が、一人また一人と児童移民として根こぎにされた子どもと出会い、そのルーツ探しに尽くしてきた中で調べたこと、知りえた事実を記録したのがこの本。

「子どもだけの移民」は、すでにできあがった大人を送りだし、受け入れるよりは容易だと考えられた。英国から送り出された子どもたちは、政府とさまざまな慈善団体によって、オーストラリアのほか、カナダ、ニュージーランド、ローデシアなどへ送られている。

電通と原発報道―巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ(本間龍)

電通と原発報道―巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ電通と原発報道
―巨大広告主と大手広告代理店による
メディア支配のしくみ

(2012/06/19)
本間龍

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なんだったか忘れたが、どこかでこの本のことを見て、図書館に予約していた。だいぶ順番待ちで、こないだ届く。うしろにまだ予約待ちの人がいるので、早めに読む。

著者はむかし博報堂にいた人だそうである。博報堂に勤めていた頃から原子力資料情報室の会員でもあったそうで、「原発問題に強い関心があり、いつか原子力発電所で重大事故が起きるのではないかと危惧」(p.3)していたと書いてある。

この本は、その筋ではデンパクといわれる電通、博報堂=大手広告代理店の「クライアントの意志を忠実に代行する」という在り方に注目し、宣伝広告費によってつながれた「巨大クライアント(東電や電事連など)」と「大手メディア」との関係を書いている。

青い絵具の匂い─松本竣介と私(中野淳)

青い絵具の匂い─松本竣介と私青い絵具の匂い─松本竣介と私
(2012/07/21)
中野淳

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新聞書評欄の隅、文庫・新書の短評でちらっと見て、むしょうに読みたくなって、中公文庫をまあまあ置いてる2駅隣の本屋へ行ってみるも、在庫なし。最寄り駅の本屋で、チェーンの他店に在庫があるというので、注文して2日後に入手。すぐ読んでしまった。

8月に仙台へ行った時、宮城県美で生誕100年の松本竣介展をやっていた。県美へは行かなかったけど、そのポスターを見て、生誕100年やったら祖母と同い年の人なんやと初めて気づく。81で死んだ祖母はまだ最近の人だが、30代半ばで死んだ松本はもうずっと前の人のようで、同世代という感じがしない。

この本は、生前の松本と親しく行き来していた中野淳が、松本との出会いから、その没後までを書いたもの。中野は、1943年、新人画会展に出品された松本の「運河風景」と出会い、この画家に会いたいと強く思い、その年のうちに知人に紹介してもらって松本を訪ねる。松本が31歳、中野は18歳の画学生だった。

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記(北原みのり)

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
(2012/04/27)
北原みのり

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ずらっと予約がつくような本かと思ったら、図書室で空いていたので借りてみた(私が借りたあとで、ぱたぱたと予約がついたようだ)。「ブックマーク」つくって発送がすんだ晩に、読む。サブタイトルにあるように、被告人・木嶋佳苗さんの100日にわたった裁判員裁判の傍聴記である。「できるだけ法廷の空気や、佳苗の様子を書いていくことを心がけた」というように、証人の言葉遣い、検事や弁護士の立ち居振る舞い、佳苗の服装や表情が、傍聴する北原自身の感想とともに記されている。

裁判を傍聴した著者の北原みのりは、「木嶋佳苗という女が、全く全く全く、分からなかったから」事件に興味をもったのだという。これまで女性の犯罪者には、どこかで(同じ状況だったら私も同じことをしたかもしれない)という想像ができたし、どこかで共感や同情がもてたけれど、木嶋佳苗に対しては、そういう感情が一切持てなかった、こんなことは初めてだった、というのだ。

▼分からないからこそ、彼女を知りたいと思った。なぜなら、時代と社会の空気と無関係な犯罪なんて、ないから。彼女の事件から見えてくるのが、女と男とセックスの問題ならば、なぜこんな事件が起きたのかを知りたい、知らなくちゃという思いになったから。(p.6)

そして北原は、裁判を傍聴しながら、「毒婦と呼ばれた女とは何か」を考えていく。毒婦、セックスを利用し男たちを陥れる女、という含みのある言葉。だが、女性の犯罪者に「毒婦」と貼り付けながらも、北原が書くように、女に対するダブルスタンダードはずっとある。「女は、毒婦のように魅力的であれ、しかし毒婦にはなるなと、言われ続けているようなものだ。」(p.198)

算法少女(遠藤寛子)

算法少女算法少女
(2006/08)
遠藤 寛子

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前に読んだ本を久しぶりに借りてきて読む。また読んでもおもしろい。実際に江戸で出された「算法少女」をもとに書かれた、数学好きの少女のはなし。

父から算法の手ほどきを受けていた町娘のあき。あきが算法の勉強に夢中になることを、母は「女が算法をやってなんになる」と言い、「いくらやったって、くらしの足しにならないのに」と嘆く。母にそう言われることは、あきにとってつらい。(おかあさんは、算法のすばらしさをすこしもわかってくださらない)とさびしい気持ちになる。

雪と珊瑚と(梨木香歩)

雪と珊瑚と雪と珊瑚と
(2012/04/28)
梨木香歩

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雨がきそうな曇り空のした、ベランダのゴーヤぼうぼうの脇で風に吹かれながら読む。やや字の小さい、なかなかつまった本だったが、半日ほどでいっきに読んでしまう。

産んだ子を一人で育てようとする珊瑚。
雪の日にうまれたその子、雪。

雪と珊瑚って何やろうと思っていたら、タイトルは二人の名だった。雪を育てながら珊瑚が暮らすそのまわりにいる人たちと、お腹にあたたかく入っていく食べもののことが印象的な物語。

プリティが多すぎる(大崎梢)

プリティが多すぎるプリティが多すぎる
(2012/01)
大崎梢

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「ブックマーク」の本のアンケートでおすすめされてた本が、図書館にあったのでつい借りてきて、ちょっとだけ…と読み始めたものの、編集作業をしばらく放り出して読みふけり、イッキ読みしてしまった。

名門の老舗出版社である千石社で「週刊千石」の編集部にいた新見佳孝は、4/1の異動で、ローティーン向け月刊誌「ピピン」編集部へ行くことになってしまった。異動の内示があってから、さすがに雑誌を数冊取り寄せて手にとったものの、表紙を眺めただけで顔が歪む。新見は「シロップまみれのケーキの上に、ソフトクリームとあんこをのせ、上からくろみつをかけたようなものを、ハイどうぞと差し出された気分」なのだ。

しかも、ピピン編集部では「新見とくれば南吉だって」と、いきなり佳孝は「南吉くん」と呼ばれてしまう。とりあえず編集部の人が撮影作業をしているのを見るが、何の興味も持てない。企画を出せといわれ、意見を求められて、何度「どうでもいいじゃないですか」と言いかけたことか。

初めて誌面の企画を提案した日、新見の企画書は全くスルーされた。会議が終わって、編集長はこう言った。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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