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読んだり、書いたり、編んだり 

十一月殺日(垂水千賀子)

十一月殺日―詩集十一月殺日―詩集
(1990/11)
垂水千賀子

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『We』177号の「乱読大魔王日記」で、中村和恵さんの『地上の飯』のことを書き、その号をお送りしてみようと、おつとめ先の大学のサイトにあったアドレスあて、初めて中村和恵さんにメールを書いた。

もうひとつ『ヒューマンライツ』のほうの本ネタ連載「頭のフタを開けたりしめたり」のタイトルは、中村さんの『降ります』にあったイラストから、コッソリいただいていて、そのことを一度おことわりしようと思いながら、もうそっちの連載も8年くらい経ってしまった。

そうして、お返事をいただいたなかに、「あたまの蓋」について、「垂水千賀子さんの詩集『十一月殺日』の最後に出てくる詩に、あたまの蓋をしめなさい! といつもそばにいるひとに叱るところがあるんです」とあった。

古い詩集だったこともあり、図書館へリクエストしてしばらく待っていたら、ヨソの図書館からの相貸でその本がやってきた。このタイトルをいったいどう読むのか?というのが気になってしかたがないが、詩集をあっちこっちめくってみるものの、手がかりを得られず。(あとで、図書館の書誌情報を探してみてまわったなかに「ジュウイチガツ サツジツ」と書いてあるものがあった)

太陽のパスタ、豆のスープ(宮下奈都)

太陽のパスタ、豆のスープ太陽のパスタ、豆のスープ
(2010/01/26)
宮下奈都

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おもしろかったと聞いて借りてきた本。タイトルがおぼえられへんので、人に話すときには「太陽と豆がナントカっていうタイトル」と言っていたりする。こないだ妹に聞いたら、この人の別の作品を読んだことがあると言っていた。

出てくる人物の名前がおもしろい。主人公は「あすわ」(漢字では明日羽)、そのおばさんが「ロッカ」(漢字では六花)。そして、あすわの幼なじみ、美容師の「きょう」(漢字では京)。

もう式場も予約して仲人さんも頼み、友だちにも日取りを知らせちゃった、という段になって、婚約を解消したいとつげられたあすわ。2年つきあって、2ヶ月後には結婚することになっていた。

実家でどんよりとしているあすわを訪ねてきたロッカさんは、「やりたいことや、楽しそうなこと、ほしいもの、全部書き出してごらん」と言う。そして、リストしたことは「あすわが自分でそれをこれからひとつずつ叶えていくんだよ」と。

ドリフターズ・リスト(カトちゃんや志村は関係ない)、それは漂流する者たちの指針になるリスト。ロッカさんに、早く書く!と迫られて、あすわはまだ積んであったウェディングドレスのパンフレットの余白に書きつける。

わたし“前例”をつくります─気管切開をした声楽家の挑戦(青野浩美)

わたし“前例”をつくります─気管切開をした声楽家の挑戦わたし“前例”をつくります
─気管切開をした声楽家の挑戦

(2012/04/25)
青野浩美

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医療にかぎらないが、"前例がない"というのは、ときに「やる気ない」というだけちゃうんかと思うことがある。あるいは知らんだけとちゃうかと思う。病気の診断にしても、治療の選択にしても、予後がどうとかにしても、それなりの臨床例の積み重ねがあるのだとは思う。でも、やったことがないことは、わからへん。見たことがないものは、ないのと同じ。

医療の"前例"に照らすと、同居人が11年前にやった病気は「悪性」だった。「悪性のような良性」「良性のような悪性」と、どっちやねん、なんやねんと思うことばにふりまわされた数ヶ月。最終的に担当医たちは、自分たち自身が線を引き直す経験だった、というようなことを言っていた。

"前例"がなかった臨床例、それが青野さんの喉の穴。
命をつなぐため、青野さんは数年前に気管切開をした。喉に穴を開けたら、歌うどころか、話すことだって難しいと言われている。それが医療の常識だった。

喉に穴が開いて、それでも青野さんは歌っている。そこに至るまでには、タイトルにあるように「わたし"前例"をつくります!」という思いと、それに向けて可能性を探った日々があった。

重い障害を生きるということ(高谷清)

重い障害を生きるということ重い障害を生きるということ
(2011/10/21)
高谷清

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著者の高谷さんは、「はじめに」でこう書いている。
▼本書を執筆しようと思ったのは、多くの方に「重症心身障害」の状態で人生を生き、生活している人たちのことについて知っていただきたいのと、「ほんとうに、生きているのが幸せなのだろうか」という自分自身の問いでもあることに答えたいと思ったことからである。

 それは、人が「生きるということ」について、またひとの「生きる喜び」、人の「生きがい」などについて考えていくことになる。それは、人間というのはどのような存在なのか、どのような生きものなのかということ、さらに社会の在りようにも広がっていくと思うのである。(pp.ii-iii)

この本を読んで1週間ほどして、6歳未満の子の脳死臓器提供があった。ニュースではその子は「低酸素脳症による重い脳障害」と書かれていたが、どういうやりとりがあって、どういう説明と納得があって、「脳死」「臓器提供」になったのかを知りたい、と思う。

気になるのは、「尊い決断」と書かれていること。臓器提供が"尊い"と言われてしまうのは、まるで"尊厳"死と同じやと思う。それを選んだものは尊ばれ、選ばないものは尊ばれないのだとしたら? 

高谷さんが書いてゆく「心身に重い障害のある人たち」の存在のこと。身体や記憶と並んで、「意識」について書かれたところ。「意識」とは、医学においては「外からの刺激に対する反応」として捉えていることを示したうえで、高谷さんは問いかける。

「反応」がなければ「意識」はないか?

『We』178号(「当たり前」を問い直す)の特集記事についてご紹介~

『We』178号ができて半月。
特集内容についてご紹介~

*買ってくださーい!
http://femixwe.cart.fc2.com/ca19/76/p-r19-s/ 1冊800円(+送料80円)

We178号:「当たり前」を問い直す特集:「当たり前」を問い直す

特集掲載の3本はいずれも、いつのまにか疑うこともなく「当たり前」になっていることを、ほんとうにそうなのか?と問いかけます。
Genre : 日記 日記

旅情酒場をゆく(井上理津子)

旅情酒場をゆく旅情酒場をゆく
(2012/03/07)
井上理津子

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井上理津子さんの名前をおぼえたのは、もうだいぶ前の本だが、『産婆さん、50年やりました』という前田たまゑさんのことを書いた本と、『大阪おもしろ女社長』という本だった(この2冊は、そのむかし買って読んだ)。

この本は、2008年から2011年にかけてPR誌「ちくま」に連載されたものをまとめた文庫オリジナル。あっちの町こっちの町で入った酒場のルポ。図書館で空いてたので借りてみた。

24の話のなかのひとつ、宮城県気仙沼の「ぴんぽん」は、大震災後の4月、天井まで泥まみれになっていたという。その後8月に「小さくだけど、再開した」という報がなければ、この本の出版はあり得なかったと思う、と井上さんはあとがきに書く。

見えない誰かと(瀬尾まいこ)

見えない誰かと見えない誰かと
(2006/12)
瀬尾まいこ

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久々の瀬尾まいこ本、『おしまいのデート』と一緒に、あまり記憶にないタイトル『見えない誰かと』も読んでへん気がして借りてくる。

こっちは、もとはモバイル連載「誰かとつながる。それは幸せなことだ」をまとめたエッセイ集だった。

冒頭に、瀬尾まいこがこれまで出会った校長さんの話が3つ。この3本がよかった。卒業式でウタエウタエと人の口元を点検してるような校長とはちゃうなあ。

「形式にこだわらず、素直に素敵な気持ちを伝える」人、「単純に明快に大事なことを平然と通して生きている」人、「いつかまた、一緒に働きたい」と思える校長さんがいることは、たぶん、かなりありがたいことだろう。

おしまいのデート(瀬尾まいこ)

おしまいのデートおしまいのデート
(2011/01/26)
瀬尾まいこ

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「ブックマーク」77号を読んだ人が、瀬尾まいこに興味をもって読んでみましたとハガキをくださった。それで、私も久しぶりに「瀬尾まいこ」本を図書館で検索。去年はけっこうな数の予約待ちだった本がガラガラに空いていて、借りてきた。

いろんな「おしまいのデート」が書かれている。「デート」というと、女と男が行くヤツと思ってる人は、ブーである。2人で行くヤツと思ってるのも、ブーである。

収録作のひとつ「ファーストラブ」は男同士のデートの話。同級生の宝田から、一緒に遊びに行こうと誘われた広田は、「なんでお前とデートしなくちゃいけないんだよ。気持ち悪い。いやだよ、俺」などと言う。うっ、これはヘンケンありあり話になるのか?と、ちょっと身構えて読む。

子どもとゆく

子どもとゆく 222号あまりにも部屋の中と机のまわりが紙やらなんやかやでぐちゃぐちゃなので、こないだ1日かかって、できるところまで片づけた。すっかり忘れていたモノや、探していたモノにもいろいろと再会。

『子どもとゆく』が終刊になった頃、たしかWeフォーラムのときに、バックナンバーをごそっと買っていたのが、ぞろぞろ出てきた。

ブタが表紙のちいさな月刊誌は、2007年に終刊した。それなりの時間つづいてきた雑誌が閉じていく1年とその前の号を何冊か、私はごそっと買っていた。

その中に、こないだ「チョコラ!」上映のときに話を聞いた小林茂さんのインタビューが載ってる号があった。「最後から3号目」と書かれた222号(2007.1.1)で、「特集 輝くいのちを撮る」。ちょうど、撮影を終えてケニアから帰ってきて間もないときのインタビュー。

こないだ読んだ小林さんの『チョコラ!』は映画ができてからの本で、もう一冊の『ぼくたちは生きているのだ』はチョコラ以前の話だったから、時間的にも、そのあいだで小林さんが語ったこと。

らくだこぶ書房21世紀古書目録(クラフト・エヴィング商會、坂本真典・写真)

らくだこぶ書房21世紀古書目録らくだこぶ書房21世紀古書目録
(2012/04/10)
クラフト・エヴィング商會、坂本真典・写真

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ヘンな本である。もとの単行本は、20世紀が暮れなんとする2000年12月に出ている。20世紀の終わりには、同居人が足がイタイと整形外科へ行ってみたら腫瘍がみつかって、安静にという正月を迎えようとしていた。21世紀は病人と共に明けたなアと思いだす。

そんな頃に出た単行本が、11年現役を張って、絶版となった。まもなく文庫にという話があったというが、さていったいどう文庫化できるのかと考え込み、一度は文庫化を断念したと「まえがき」に綴られているのは、この本がヘンなためである。

そもそもこの本は、20世紀の終わりに近いころ、クラフト・エヴィング商會の職場に、砂にまみれて「21世紀の古書目録」が届いた、という話から始まる。

イエスの言葉 ケセン語訳(山浦玄嗣)

イエスの言葉 ケセン語訳イエスの言葉 ケセン語訳
(2011/12/15)
山浦玄嗣

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山浦玄嗣さんの書いたものを初めて読んだのは、たまたま借りてきた『海が呑む』に特別寄稿として収められていた「3.11 巨大地震津波体験記」である。この人のケセン語訳を読んでみたくて、図書館で順番がまわってくるのを待っていた。図書館の本をしまいまで読んだ日に、じっくり読みたくて本屋で買って帰ってきた。

人の幸せとは何かと問う福音書の心を、イエスの言葉を、ふるさとの仲間にふるさとのことばで伝えたい。独特の翻訳用語で理解しにくい聖書を、ふるさとの仲間がするすると理解できることばで伝えたい。その思いで、山浦さんは聖書をそれが書かれた古代ギリシャ語から、ふるさとのケセン語に訳してきた。

私には、岩手のケセン語は必ずしもわからないけれど、それでも新共同訳による聖書のことばよりは、ケセン語によるイエスの言葉は、おなかに落ちてくるようだった。血が通うことばは、こういうものかと思った。聖書は訳語が何だかよく分からないまま遠く感じていたが、「人の幸せとは何か」を問うたイエスの言葉は、信仰がどうとかはおいても、魅力があった。

巻頭でケセン語訳される「神さまの思い」

「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題(6/12、豊中)

西田さんは、『児童養護施設と社会的排除』の編者で、新しい本『排除する社会・排除に抗する学校』が4月に出てるらしい(まだこれは現物みてない)。その西田さんが講師をつとめる講座のチラシをこないだ図書館の外のチラシ置き場でみつける。聞きにいくつもり。

●「逆差別」意識の構造と教育・啓発の課題
~人権問題に関する府民意識調査の結果から~

講師:西田芳正さん
6/12(火)3時~4時半@豊中人権まちづくりセンター
http://www.tcct.zaq.ne.jp/jinken/2012/2012.6.12nishida.pdf

このところ生活保護バッシングとか何とか、子育てにしても何でも、"自分で何とかしろ"、そうやなかったら"身内にみてもらえ"という圧力をものすごく感じる。なんでこんなに「困ってる人」がいっぱいいるのに、そういう風になってしまうのか。
Genre : 日記 日記
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在92号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第69回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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