しょうがない人(平 安寿子)
![]() | しょうがない人 (2011/05) 平 安寿子 商品詳細を見る |
新しいのが出ていたら、読んでしまうタイラアスコ。しばらく予約待ちをして、5月に出た『しょうがない人』がまわってきた。短編集かな?と読みはじめたら、河埜日向子を主人公とした連作短編の束だった。いつもながら、テンポがいい。
ネット通販の小さな会社「スマイル・スマイル」で働くベテランパートの日向子。そこの社長や同僚、お客様、あるいはイトコや妹、さらに両親、夫、娘などとの間で、日向子は笑い、怒り、忍耐し、もやもやし、いらだち、あきらめ、しんみりする。「しょうがない人」とは、日向子の周りで、人の感情を波立たせる人たち。ああいるいる、こんな人と思うような人物を書くのが、タイラアスコはほんまにうまい。
本の後半では、日向子の両親が古い家をゲストハウス化するという話がもちあがり、ラーメン屋を営む妹一家が「うちを担保にして共同事業にするのはどうか」と大乗り気。日向子はやたら具体化したその話をいきなり妹から聞かされて、ぽかんとし、その後にはいらだち、あせり、吠えまくる。
両親と妹が、私をないがしろにして、実家をどうにかしようとしてるなんて。
それはないでしょ!
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