読んだり、書いたり、編んだり 

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所(青砥恭)

ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所ドキュメント高校中退
―いま、貧困がうまれる場所

(2009/10)
青砥恭

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『ルポ 若者ホームレス』の、その前を読んでいるようだった。毎年、10万人近い高校生が中退しているという。そして、著者は「高校を中退した若者たちの貧困の実態を伝えること」「日本社会の低層に沈んでいる若者たちの嘆き、うめき、悲しみ、なかなか聞こえてこない助けを求める声を、彼らに代わって社会に伝えること」(p.14)がこの本の役割だという。第一部は高校中退の現実を描き、第二部ではその背景を探っている。

「中退した若者たち」の話は、読んでてきつい。「中退したら仕事がなかった」「親しい友だちがやめると、ポロポロ続けてやめていく」「夢などない」―どれが鶏でどれが卵かわからんくらい、学力の低さ、貧しさ、暴力、生活能力のなさ、大人からの期待のなさ、そういったものが絡まりあって、中退に至っている。そして、高校中退は「人生の分岐点」になってもいる。

▼子どもが教育から排除されれば、その後に続く人生の可能性が奪われる。貧困は子どもたちから、学ぶこと、働くこと、人とつながること、食べるなど日常生活に関することまでも、その意欲を失わせている。彼らから話を聞いていくと、ほとんどの若者たちが、経済的な貧困にとどまらず、関係性の貧困、文化創造の貧困など生きる希望を維持できない「生の貧困」に陥っている。それが親の世代から続いている。(p.185)

中学校からの「成績なし」や、入試の面接に欠席でも、入学できる高校。中退は、こうした"底辺校"に集中している。

絵で読む 広島の原爆(作=那須正幹、絵=西村繁男)

絵で読む 広島の原爆

土曜日の、天音堂での雨宿りの折に、この絵本も読む。作者の那須正幹は『ズッコケ三人組』シリーズの人だ。那須が、爆心より3kmの場所で3歳のときに被爆しているのだと初めて知った。

原爆投下前の広島の町の風景から始まるこの絵本は、投下後の町の状況を生存者の証言を元に文章と絵で再現する。町を描いたページの間には、核分裂の発見から原爆開発に至る話や、放射線障害や原爆症のこと、あるいは軍都・広島の歴史、戦争につっこんでいった日本という国のこと、現在に至るまでの世界の核実験と核廃絶運動のことなど、個人の体験で語るのとは違う「広島の原爆」が淡々と述べられている。

巻末には、広島の町を描いたそれぞれの絵の「絵解き」も付されていて、たとえば被爆死した膨大な遺体を焼く場面では、酒を飲んでやや意識をもうろうとさせて、それで作業にあたっていることがわかる。

爆心地ヒロシマに入る―カメラマンは何を見たか(林重男)

爆心地ヒロシマに入る―カメラマンは何を見たか爆心地ヒロシマに入る
―カメラマンは何を見たか

(1992/06/19)
林重男

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土曜日、リバティ大阪で写真展「屠場」を見たあと、天音堂へ松本国三×大江正彦「日書日描」展を見にいったら、入る前にぽつぽつと降り出していた雨がものすごい降りになって、とても出られず、そのまま3時間あまりもやまない中、「日書日描」展をぐるぐると見ては、本棚にあった本を読みつつ雨宿りさせてもらう。

雨宿りの間に、もう20年ほど前の岩波ジュニア新書『爆心地ヒロシマに入る』を読んでしまう。1945年の10月、被爆から2ヶ月後の広島に入った林さんは、これがたった一発の爆弾によるものなのか!という衝撃の光景を写真に撮った。爆心地に近いところから360度のパノラマ写真を撮った人でもある。同じ10月、林さんは長崎にも入っている。林さんらが被爆後の広島、長崎を撮った写真は、占領軍に接収された。だが、ネガは守り抜いた。

大どろぼうブラブラ氏(角野栄子/作、原ゆたか/絵)

大どろぼうブラブラ氏大どろぼうブラブラ氏
(2011/07/14)
角野栄子/作、原ゆたか/絵

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角野栄子の新しい本(といっても、これは版違いで愛蔵版、初版は30年前らしい)が図書館にあったので借りて読んでみる。絵を描いてる原ゆたかって、ゾロリの人か?

大どろぼうブラブラ氏は、代々つづく大どろぼうの一家の39代目。父ちゃんはキエキエ氏、じいちゃんはトレトレ氏、ずっとさかのぼって初代はポイポイ氏というのだそうだ。ブラブラ氏のママーは出てくるのだが、ご先祖様は父系でたどられている。

ブラブラ氏は、とあるものを求めて日本にやってくる。世界的な有名人、というより国際的に手配されてるブラブラ氏がやってきたというので、有名になりたいらしい幾人もがブラブラ氏に化けて、自分こそはブラブラ氏だ、本物だ、逮捕してくれと警察にやってくるところがおかしい。しかもその証拠だといって出してみせる盗品が「ツタンカーメン王の親知らず」とか「ナポレオンのおこづかい帳」、最近のものでは「旧ソ連の人工衛星のコンセント」なんてのもあって、笑ってしまう。

ルポ 若者ホームレス(飯島裕子、ビッグイシュー基金)

ルポ 若者ホームレスルポ 若者ホームレス
(2011/01/07)
飯島裕子、ビッグイシュー基金

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年明けにビッグイシューと一緒に、「若者ホームレス白書」をもらったこともあって、この本のことは出た頃から知っていたが、やっと借りてきて読む。

ちょっとしたことがきっかけで誰でもホームレスになりうる、ということはもうずいぶん前から言われている気がするが(金子雅臣『ホームレスになった』とか)、そのときに想定されていたのは「中高年の男性」だったと思う。

20~30代の若者がホームレスになるケースが増えていることは、ビッグイシュー販売者の平均年齢が大きく下がったことにもあらわれている。2007年に50歳だったのが2009年には41歳に下がっているという。ビッグイシューの「今月の人」に登場する人にも、私と同世代や私より若い人がいる。

図書館戦争シリーズ1~6(有川浩)

図書館戦争 図書館内乱 図書館危機 図書館革命 別冊図書館戦争I 別冊図書館戦争II

4年前に読んだシリーズが、文庫になった。4年前は、山のようにリクエストがついている本を同居人が次々に図書館で予約して、まわってきたのを横から借りて読んだ。しかし、そのとき読んだのは4巻の『革命』までで、作中作の『レインツリーの国』はその後読んだけど、別冊は(同居人は本屋でちょっと立ち読みしてたが)私は読んでいなかった。

このたび文庫になったのを、同居人が里に帰ったときに本屋で買ってきたあと、私も横から借りてまた読む。文庫化のボーナスとして、アニメ化されたときのDVD特典として書き下ろされたショートストーリーが各巻末に入り、著者の有川浩×児玉清の対談、有川浩インタビューなどが収録されている。

同居人が1冊読んでは次を買い、また次を買い、それを私も横から借りて、単行本のときには読んでなかった別冊もあわせ6冊をこの1週間ほどのあいだ読んでいた。

「被爆二世」を生きる(中村尚樹)

「被爆二世」を生きる 「被爆二世」を生きる
(2010/07)
中村尚樹

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同じ著者による『被爆者が語り始めるまで』を読んで、この本があるのを知り、図書館で借りてきて読む。

私の知り合いにも"被爆二世"は数人いる。二世に対する健康診断がおこなわれていることは私も知っていたが、そもそも被爆二世が何人いて、というところは実は曖昧なのだという。厚生省の「被爆者実態調査」をもとに、被爆者数からの推計(子どもが1~2人いるだろうという大ざっぱな計算)として30~50万人といった数字が出ているにすぎない。

この本の前半、「"被爆二世"として生きる」には、親世代の思いを受け継ぎつつも、それぞれが自分のものとして見つけたテーマに挑む"二世"の姿を描く。そして、本の後半では、"被爆二世問題とは何か"、日本が唯一の被爆国ではないことが書かれている。

最後の「こころのヒバクシャたち」の話が、私には強く印象に残った。

正しいパンツのたたみ方―新しい家庭科勉強法(南野忠晴)

正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法正しいパンツのたたみ方
―新しい家庭科勉強法

(2011/02/19)
南野忠晴

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著者の南野さんは、大阪の府立高校で、家庭科教員に初めて男性が採用されたときの一人。どんな本が出たんかなと図書館で借りてくる。タイトルにもある「パンツのたたみ方」の話は、たたみ方にこだわるとかどうでもいいとか、そういう面にもその人の人となりがあり、このたたみ方が「正しい」というよりは、こんなたたみ方もアリですかとそれぞれ受けとめられたら、人間関係もうまいこといくんちゃうかなあ、というような内容。

その話のあとに「たたみ方いろいろ」と、イラスト入りで見開きに載っているのだが、私の正直な感想は「いろいろ、っていうけど、えらいチマチマとたたむ方法ばっかりやなあ」。半分に折って、さらに二つ折りして、二つ折りとか、三つ折りにして、それを半分に折って、なんとか…みたいな。「たたまない」というのはないのか?と思うくらい、なんべん折ってるねん、折り紙か?って感じ。

ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?(遠見才希子)

ひとりじゃない 自分の心とからだを大切にするって?ひとりじゃない
自分の心とからだを大切にするって?

(2011/03/20)
遠見才希子

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知識を上から押しつける"教育"じゃなくて、いっしょに考えよう、仲間の視点で学び合おうという「ピアエデュケーション」を知って、著者のえんみちゃんは大学生の頃から、中学校や高校で話し続けてきた。「私自身が中高生のときに聴いておきたかった、きれいごとではない、本音とリアルを語っている」というその活動を、学生生活の終わりに、一冊にまとめたのがこの本。

ピアエデュケーションとかピアサポートとか、そういうのが流行りになりつつあるけど、その多くは大人がつくった台本を大人の代わりに若者に読ませる、といったもの、ただ大人の代わりに知識を説明しているだけでは、ほんとの「ピア」じゃない、とこの本の監修者でもある岩室先生とのやりとりを経て、えんみちゃんは「自分の言葉で語る」ことを始める。

親子アスペルガー―ちょっと脳のタイプが違います(兼田絢未)

親子アスペルガー―ちょっと脳のタイプが違います親子アスペルガー
―ちょっと脳のタイプが違います

(2011/03)
兼田絢未

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著者の兼田絢未(かねたあやみ)さんは、37歳のときにアスペルガー症候群と診断された。兼田さんの上の子は5歳のとき、下の子は4歳のときに、同じくアスペルガー症候群と診断された。

少数派の「脳のタイプ」をもつ自分や子どもが経験してきた出来事をとおして、この「脳のタイプ」をもつ人が生きていくうえでぶつかる"障害"を知るヒントにしてもらえればと、この本は書かれている。

たしかに日本語なのだけれど、さっぱり理解できなかった大人たちの言葉―
兼田さんの経験は、軋轢や障害の生じたその両側で、お互いがこんな風にわからなくて、こんなふうに困るんだということを知らせてくれる。

▼ある時、「何とか言え」と何度も責められ、
「ナントカ!」
と叫んでしまいました。何か言い返したいのだけど、ほかの言葉が浮かばなかったのです。
 もちろん「人をなめるんじゃない」とさらにしかられ、後はいつものように黙り込むだけでした。(P.18)

映画「中村のイヤギ」上映会と監督・張領太さんのお話(8/28、大阪・豊中)

映画「中村のイヤギ」上映会と監督・張領太さんのお話
We169号『We』169号でお話をうかがった張領太さんの監督作品「中村のイヤギ」の上映と張さんのトーク、明日(8/28)の午後、豊中です。私も行きます~

大阪国際空港(伊丹空港)の敷地内の一角に、在日朝鮮人が住む「中村地区」と呼ばれる場所がかつてありました。そこに住んでいた人たちの話を撮った「中村のイヤギ(お話)」。
Genre : 日記 日記

三人暮らし(群ようこ)

三人暮らし三人暮らし
(2009/09/25)
群ようこ

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五十嵐さんの『三人暮らし』を読み、似たようなタイトルの群ようこの小説があったっけと図書館で探してみると、まったく同じタイトルだった。出た頃にはびっちり予約がついてたのが、もうガラガラだったので借りてきて読む。

高校の同級生だった二人と、その一人の職場の同僚と、20代半ばの女三人で一軒家を借りて住む「うちの大黒柱」から始まって、さまざまな「三人暮らし」が描かれる。

母と娘とその友達、戦後タイピストとして会社に就職していたときの同僚だった女三人、姉と妹とその娘、娘と母とその友達、母と二人の娘、キッチン用品メーカーの同期入社の女三人、等々。読んでいるときには思わなかったが、ぱらぱらと見直してみると、どの話も「女三人暮らし」の話だなあ。

収録の10篇のなかで「バラの香り」がよかった。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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