読んだり、書いたり、編んだり 

さくら(西加奈子)

さくらさくら
(2005/02)
西 加奈子

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こないだ社納さんが借りて読んでみたとブログに書いてはったので、私も図書館で借りてきてみた。私は図書館で借りたので帯などは当然なく、ペカッと光るブッカーにつつまれた単行本だったが、社納さんは人から借りたそうで、えらいうっとうしいような惹句がテンコモリの帯がついていたらしい。

これがけっこうな長さの小説で、布団で本を読んでいてついつい夜更かしする、というようなことが最近とんとなくなっている私は、途中まで読んでは寝てしまい、途中まで読んではまた寝てしまい…何日かかかって読んだ。一日でイッキ読みしたらまた違う印象になるような気もしたが、たらたらと長い小説やなあという印象が残った(単行本で400ぺージ近くある)。

じつに不思議な話。ある家族の、長い長い長い話。タイトルが何で「さくら」なのか、話に出てくる犬の名は「サクラ」なのだが、ひらがなとカタカナの違いは何やろうかと、そんなことが気になるのだった。

佳作だと思った。

ロボットのおへそ(稲邑哲也)

ロボットのおへそ (丸善ライブラリー)ロボットのおへそ
(2009/01/24)
稲邑哲也・瀬名秀明・池谷瑠絵

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こないだ同居人が購読してる『日経サイエンス』の古いのをもういらんというので、古雑誌の本の紹介ページだけぴらぴらと見た。ちょうど1年くらい前の号で、新人さん向けの本、というようなラインナップで本がばーっと紹介されていた中にこの『ロボットのおへそ』も載っていた。たまたまフェミックスのシャチョーと姓が同じ人が著者なので、そこのところがちょっと印象に残った。でもチェックしておいて借りてみようとまでは思わなかった。

その日、図書館へ行ったら、比較的新しい本が面出しされているところに、この本があった。お、あの『日経サイエンス』に載ってた本やんかと思い、めずらしく貸出カードに空きもあったので、これも何かの縁だろうと思い借りてみた。晩ご飯のあとに、ちょっと読みはじめてみたら、これがなかなかおもしろくて、その日のうちにしまいまで読んでしまう。

コーダの世界(澁谷智子)

コーダの世界―手話の文化と声の文化 (シリーズケアをひらく)コーダの世界
―手話の文化と声の文化

(2009/10)
澁谷智子

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医学書院の「シリーズ ケアをひらく」はどこまで入ってるかなと近所の図書館の蔵書検索をしたら、これも入っていたので借りてきた。

「コーダ」とは、CODA(=Children of Deaf Adults)、聞こえない親のもとに生まれた聞こえる子どものことをさす。聞こえない親に育てられることによって、聞こえない人の文化「ろう文化 Deaf Culture」を受け継いでいる一方で、聞こえる文化「聴の文化」にも交わっているというバイカルチュラルな存在であることが多い(育てられ方の違いや個人差も大きいが)。

そんな「手話の文化と声の文化」に両の足をおくコーダから聞き取った語りをもとにしたのがこの本。おもしろくて、ぐいぐいと読んでしまった。手話をほそぼそと続け、ろう者とつきあってきた中で、手話を始めた頃には「えっ」と思っていたことや違和感があったことが、今の私はあまり気にならなくなっていたりする(たとえば指差し、見た目への言及)。

コーダの世界は、私がろう者とのつきあいの中で知るようになったことを見せてもくれる。聞こえない親と暮らすことでコーダが身につけてきた言動(ろう文化)が聴の文化とズレている例をいろいろ読んでいると、聴の世界でアタリマエのことはろうの世界では必ずしもアタリマエではないという文化の違いがわかるなあと思う。

高橋潔と大阪市立聾唖学校(川渕依子)

高橋潔と大阪市立聾唖学校―手話を守り抜いた教育者たち高橋潔と大阪市立聾唖学校
―手話を守り抜いた教育者たち

(2010/03)
川渕 依子

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高橋潔は、ろう教育に生涯をささげた人である。その高橋の若い日から亡くなるまでを、山本おさむのマンガ『わが指のオーケストラ』が描いている。

「口話法」こそが聾者にとってスバラシイものなのだと、「手話法」を押しのけ、禁止し、聾学校から排除して、日本中で口話法のろう教育へと変わっていったとき、その流れの中で、消されようとする手話を守ったのが大阪市立聾唖学校であり、校長の高橋潔だった。

父である高橋のことやその周りにいた大阪市立聾唖学校の教師たちのこと、大阪市立聾唖学校の教育がどのようなものだったかを、著者の思い出や、それぞれの人の著作などからの引用によってまとめた本。

ふらふら日記(やまざき たけし)

ふらふら日記―いまんとこ不治の病ふらふら日記
―いまんとこ不治の病

(2007/10)
やまざき たけし

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この本をいつどこで知ったかは忘れてしまったが、そのうち読んでみたいと思っていた。こないだ『逝かない身体』を読んだいきおいでリクエストしたら、近所の図書館に所蔵のないこの本はヨソからの相貸できた。

母が診断されていたSCDと同病(型はちがうが)の人のブログ「リハビリ日記」をもとにした本。母はSCDの中でもOPCAという型だったが、このやまざきさんはマシャド=ジョセフ病という型。やまざきさんは、母が死んだ年に発症されている。なので、それからのリハビリ日記は、母の死後の医療助成や難病治療の変化がすこし分かるものでもあった。

むすびのおっちゃん、そしてはなげばあちゃん

むすび昨日は紙芝居劇「むすび」の事務所におじゃました。おっちゃんたちがバナナをかけて(!)トランプをしていた。聞くと、もう2時間もずっとトランプをやってると。おっちゃんたちはトランプをしながら、「これ食べ」「これも食べ」「コーヒー飲むか」とこまめに気を配ってくれて、私はすすめられるままに、イチゴを食べ、バナナを食べ、コーヒーを飲んで、おっちゃんたちやマネージャーの石橋さんの話を聞いていた。妙に居心地がよかった。こういう、あれこれかまわれる経験が、実はふだんほとんどないからか??と思ったりした。

おっちゃんたちに注目されたのは私がリュックにいろいろつけていたバッジ。おっちゃんたちがバッジに興味があるのは、自分たちで売りものをつくっているからだった。おっちゃんたちが一つひとつ絵を描いてつくるバッジを一つ買った。「ええねんええねん」とまけてもらった。
Genre : 日記 日記

講演「寝た子を起こして、仲良くごはん」と写真展「対岸の肖像」(新潟)

『We』165号でお話をうかがった川崎那恵さんが、新潟で講演されます。あわせて、川崎さんも被写体となった写真展「対岸の肖像~BURAKUとのかけ橋~」も開催中です。
お近くの方はぜひお運びください!

「福島みずほさんとガールズの語る会」のTwitter中継まとめ

『We』を応援する「Weの会」と(財)横浜市男女共同参画推進協会がともに企画・主催したイベント「福島みずほさんとガールズの語る会」は、4月24日(土)の当日、ツイッター中継をおこないましたが、投稿数が非常に多くなったため途中でブロックがかかってしまって2度の中断をはさみ、リアルタイムですべてフォローしていただくことができませんでした。

ブロックがかかってしまった間のログをもとに時間をおいて配信したものの「まとめ」ができました。
「福島みずほさんとガールズの語る会」Twitter中継まとめ
http://togetter.com/li/16533

当日すべてをご覧になっていない方、後からこのイベントを知った方、みなさまどうぞご覧ください!(インターネットにつながる環境があれば、どなたでもご覧になれます)

逝かない身体(川口有美子)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズケアをひらく)逝かない身体
―ALS的日常を生きる

(2009/12)
川口 有美子

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医学書院の「シリーズケアをひらく」の一冊。このシリーズはこれまでかなり読んでいるが、なぜか近所の図書館ではバラバラにしか入ってなくて、相貸で読んだり、買ったりも多い。この『逝かない身体』も、年明けに蔵書検索したときには入ってなくて、入るんかな入らへんかなと思っていたら、気づくと入っていたので借りてきて読む。

『日本の路地を旅する』とともに、ことしの大宅賞をとったそうだ。

この本の「ALS的日常を生きる」というサブタイトルを見て、読んでみたいと思っていた。ALSは神経難病の一つで、漢字で書けば「筋萎縮性側索硬化症」という。私の母が罹った病気も神経難病の一つ、SCDだった。本になっているのでいえば、ALSは『モリー先生との火曜日』のモリー先生が罹った病気であり、SCDは『1リットルの涙』の木藤亜也さんが罹った病気である。難病というのは、原因が分かっておらず、治療法が確立されていない、といったことを指す。

生きるって人とつながることだ!(福島智)

生きるって人とつながることだ!生きるって人とつながることだ!
(2010/02/20)
福島 智

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生井さんの本光成さん(妻)の本福島令子さん(母)の本と読んできて、福島さんご本人の本にたどりつく。先に『盲ろう者とノーマライゼーション』を借りてきて半分くらいまで読んでいたのだが、論文ちっくな文章が多くてちょっとカタイこともあり、あとから届いた『生きるって人とつながることだ!』を先に読み終えてしまった。そのあと、最初の本である『渡辺荘の宇宙人―指点字で交信する日々』もヨソの図書館から相貸で届いた。

『生きるって人とつながることだ!』は、盲ろう者となった福島さんが、19歳からおっさんになるまでに体験したさまざまなことをその時々に書いた記録集。『盲ろう者とノーマライゼーション』『渡辺荘の宇宙人―指点字で交信する日々』と重なる部分もあるが、時系列を意識して編集されていて、かつ前著よりさらにおっさんになった福島さんの体験が加えられているところが違う。

「生きることは人とつながることであり、つながりを持とうとする営み自体に生きる手応えがある」(p.7)という、体験にもとづいた福島さんの実感がタイトルにはこめられている。

品切だった『We』を限定販売!

品切になっていた『We』のうち、143号(06年8/9月号)151号(07年12/1月号)が、年度末の精算により、ごく少部数ですが委託先から戻りました(143号が6冊、151号が8冊)。
売り切れ次第、完全に在庫切れとなりますので、ご希望の方はこの機会にお求めください。
★表紙クリックで、web通販ページへ飛びます

We143号143号 特集:悪いのは私ではない
*「生きるために思想はいる」上野千鶴子さん
*「子どもたちにたくさんの選択肢を」宮川正文さん
*「「男女共同参画」と「日の丸」フェミニズムとの危うい関係」久場嬉子さん・竹信三恵子さん・堀田 碧さん

We151号151号 特集:つながるために扉をひらく
*「団子を売るように保健室にいました」山田泉さん
*「それでもつながりはつづく―長居公園テント村の残したもの」ビー・カミムーラさん
*「みんなで子育ての時代 家族をひらく、家族をつくる」花崎みさをさん
*「共感を得るために扉を開く」明石洋子さん
竹信三恵子さん「ミボージン日記」第1回掲載号です

生きなおす、ことば(大沢敏郎)

生きなおす、ことば―書くことのちから 横浜寿町から生きなおす、ことば
―書くことのちから 横浜寿町から

(2003/10)
大沢 敏郎

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『パウロ・フレイレ「被抑圧者の教育学」を読む』の巻末に、関連本がいくつか載っていたうちの一冊。そこに載っていた数冊のうち、里見さんの『学校でこそできることとは、なんだろうか』にも興味があるのだが、あいにく近所の図書館にはなく、所蔵のあった『生きなおす、ことば』を先に借りてきて読んだ。

大沢さんが、梅沢小一さんとのことを書いているところ。ここがいちばん心に残った。大沢さんの識字に対する姿勢を根底からくつがえし、ただしてくれたのが梅沢さんだという。

識字の時間のさいごには、書いた文章をそれぞれが読む。梅沢さんが書いたなかで、読みかたのわからなかった言葉があった。梅沢さんがその文章を読むのを聞いて、大沢さんは「おかさん」の読みかたを知る。

▼梅沢さんの涙声が、ピンとはりつめた部屋にひびき、十七枚目のその場面になった。大きく息をすいこんだ梅沢さんは、今、亡くなっていったお母さんを呼びもどそうとするかのように、机から身をのりだしてのぞきこみ、部屋が割れんばかりの大きな声で「おっかさーん」と叫んだ。全身のちからをふりしぼった長い余韻の叫び声だった。(p.29)

その梅沢さんの語りを聞いたあと、大沢さんは胸がどきどきして、「ああ、どう読むのかを聞かなくてよかった」と思った、と書いている。そして自分が受けた学校教育とはこういうものだったのだ、と書く。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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