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ハメルンの笛吹き女 (岩井志麻子)

岩井志麻子といえば『ぼっけえ、きょうてえ』?たしかこのタイトルは「めっちゃコワイ」という意味の岡山弁だったと思うが、ホラーというから読んでいない。(コワイのきらいなので)

その岩井志麻子の本で最初に読んだのは、『オトコ・ウォーズ』というエッセイであった。なぜこれを読んだかというと、その前に私は『ブックストア・ウォーズ』という小説を読んでいて、さらにその前には『ワーキングガール・ウォーズ』という小説を読んでいて、その『…ウォーズ』という本を返したあとに図書館をぶらついていたら、『…ウォーズ』の本が目に留まった、というわけである。

そのときはヒマだったので、図書館の椅子に座って、どんな本かいなと読んでみたら、これがもとは「オトコジョウズ」(←お床上手、もしかして男上手?)というタイトルのどっかの連載だったそうで、そういう方面のエッセイなのであった。

私は借りて帰るまでもなく、さらさらと『オトコ・ウォーズ』を図書館で読んでしまった。
岩井志麻子って、中村うさぎと内田春菊を足して2で割ったみたいな感じ…というのが私の印象。

で、その岩井志麻子のなにやら楽しげなタイトルの文庫が出ているのをみつけて、ちょっと待って図書館で借りてきて読んだ。なんでも、「東スポ」で連載されていたものだそうである。「東スポ」いうたら、ウソかホンマかわからんけどネタやろネタ、っていうのが載ってる新聞でしょう、たしか。

私がオモロイなーと思ったのは「修正美女」という一文。週刊誌のグラビア担当の若いもんに、役得じゃろう、タダできれいな裸や乳や毛や筋が拝めて…とイワイが言うていると、若いもんが修正が大変なのだと力説する。

▼修正美女
…(前略)…
 「あと、可哀想ですが繊細というか不安定な子が結構いて、いわゆるリストカット、手首を切った跡がザクザクあったりして、これの修正が大変です」
 「うひゃー。でも修正といえば、手首の傷よりアソコでしょ」
 「いえ、グラビアアイドルは豊胸してるんで、毛より乳の周辺の傷痕隠しが大事です」
 「…ある有名AV女優は、下の筋より帝王切開の跡を隠す処理が大変と聞いたが」
 「はい。でももっとすごいのが『ヘソの差し替え』。おなかがぽっちゃりしていれば、座ったときヘソが横に広がるでしょ。それを男どもは許せないんです。すっきり縦長のヘソでなくちゃ。編集部にはあらかじめ、『グラビアアイドル×子のヘソ』『セクシー女優○美のヘソ』など各種ストックしてあります。撮影の後、コンピューター処理し、用意してあるヘソに差し替えるんですよ」
 「すっげーな、最近の画像処理というか修正技術は。そんならイワイのずどんと太い胴回りも、きゅっとくびれさせられるんかいな」
 「はいっ。某有名女優さんはスルメみたいなぺったんこのタレ乳でしたが、わが社の技術を総結集し、ツンとした美乳に仕立てました。あと、足の長さも伸ばせられますよ」
 エロいカラダにぞくぞくしている、スケベな読者諸氏よ。あなたが見ているのは、○子ちゃんの裸ではなく、編集部のコンピューター処理の成果なのですぞ。なんかコワッ!(pp.108-109)


私は、ここを読んで「メディア・リテラシー」という言葉を思いうかべた。
こないだ読んだ内田樹の『ひとりでは生きられないのも芸のうち』には、こんな箇所もあった。

▼現代におけるメディア・リテラシーとは、メディアが報道することの真偽を吟味する能力ではなく、メディアが「何を報道しないのか」を推察する能力のことなのである。(p.129、『ひとりでは生きられないのも芸のうち』)


「メディア」とは、現実とか意味が乗る「乗り物」でもあるが、自分たちが見ているものは何なのだろうかと、ときどき考える。男どもが横に広がったヘソが許せないものかどうか、それはようわからんけど。

ハメルンの笛吹き女ハメルンの笛吹き女
(2008/09)
岩井志麻子

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オトコ・ウォーズ
ブックストア・ウォーズ
ワーキングガール・ウォーズ
ひとりでは生きられないのも芸のうち
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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