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読んだり、書いたり、編んだり 

読む少女(岸本葉子)

『We』の入稿がなんとかなりそうだと確認して、遅番の出勤。
図書館を経由し、さらら~と読めそうな、軽い本を借りる。今日は各地の営業のためにメール便を送ったり、本を20冊運んだりで荷物がめちゃくちゃ重かったので、軽い文庫を1冊借りて職場へむかう。

それで、さらさらと読んだのが岸本葉子の『読む少女』。
この表紙絵を、どっかで見たことあるような気がするのだが、このタイトルにはおぼえがなく、ちらっと中を見ても、読んだおぼえがなかった。

「とにかく本が好きで、いつも読んでいる」という、同級生のアラカワさんの話がさいしょに書かれている。
アラカワさんの母上が、岸本葉子の母親に「本が好きで、困ったもんだ」と言うので、本が好きだなんて羨ましいくらいだと岸本母が述べると、「とんでもない!」とアラカワ母は首を振ったのだという。

▽「学校の勉強もそっちのけ。ご飯のときも、本を開いたまま、箸をうごかしているんですからね。親が何を話しかけても、上の空。わが家はほとんど親子断絶状態です」
 「目もどんどん悪くなるし、困ったもんだって、溜め息をついていらしたわ」(p.7)

アラカワさんは、とにかくいつでもわが道を行く本読みだったそうだ。
授業中も先生の話をろくに聞かずに、机の下で本ばかり読みふけっていて、しょっちゅう注意されていたというアラカワさん。

「まえがき」と「あとがき」がアラカワさんの話で、その間に収められているのは岸本自身の「読んできた」話。

林芙美子の『放浪記』と、『風琴と魚の町』の話がある。
『放浪記』の出だしは「私は宿命的に放浪者である」、だそうである。
むかし何度か読んだ本だが、そんなフレーズがあったことは記憶にのこっていない。

でも、町から町へと流れ歩く芙美子の話を、ひさしぶりに読みたくなった。

岸本が父親について書いた章も、印象に残った。

▽近頃は、父に関する記憶の中でも、父の神経質さにふれたできごとを、ことさらに数え挙げ、
 (そうだ、昔からああいう人だった)
 (だから、こうなった)
 と、家族は至るべくして今に至ったと、自分に思い込ませることばかりしていたが、それは偏っていた。
 少なくともはじまりは、そうではなかった。
 父は私たちが生まれたことを、心から喜んだだろうし、だいじに育てようと思ったはずだ。でなければ、勤めで疲れきっているのに、誰がわざわざ、赤ん坊を風呂に入れようか。
 そのように慈しんだつもりの娘が、面と向かって口答えこそしないけれど、心の中で父に背き、なるべく家にいない方がいいとまで思っているのだから、親というのもかわいそうなものである。(pp.97-98)


本をしまいまで読んでみると、この文庫は、もとはポプラ社から出た単行本『本だから、できること』を改題したものだそうである。このタイトルにはおぼえがある。表紙くらいはどこかで見ていたのだろう。

読む少女 (角川文庫)読む少女 (角川文庫)
(2006/11)
岸本 葉子

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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在91号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第65回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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