読んだり、書いたり、編んだり 

月下花伝/花天新選組(越水利江子)

越水さんの本は去年かなり読んだが、表紙絵にまどわされて、これや他のファンタジーものは読んでいなかった(こういうアニメ絵はあまり好きじゃないので)。

越水さんのブログや本のあとがきを読むと、執筆でものすごくお忙しいようだというのが分かる。分かっていながら、職場での講座企画のなかで越水さんに講師をお願いできないかとダメモトで依頼してみた。私が去年「ヒューマンライツ」に書いた紹介原稿のコピーも同封して資料をお送りし、お返事を待つ。

やはり引き受けていただくのは難しかった。あまりにもお忙しくて、ほとんどすべての講師依頼の類を断っておられるとのこと。そして、お詫びにと、春に出た『花天新選組』が同封されていた。昨春出た『月下花伝』の続編である。お詫びというなら、ダメモトの講師依頼でかえって越水さんに心苦しい思いをさせたこちらの方なのに、ありがたかった。

私は、どちらも読んでいなかったが、同僚さんが先に読んでいて「なかなかよかった」という評は聞いていた。

それで、まず『月下花伝』を、そして『花天新選組』を読む。

この表紙絵にまどわされていたけれど、『月下花伝』は、ひょんなところで沖田総司は出てくるものの、現代の話。秋飛(あきひ)という年若い女性が主人公の物語だった。

どちらかというと、私がすきな『竜神七子の冒険』や『風のラヴソング』に似た物語。すっかり表紙絵にだまされていた。

『花天新選組』は、冒頭こそ『月下花伝』の続きだが、秋飛が沖田総司が生きた時代へ入り込んでしまう。いや、沖田総司が生きた時代というより、秋飛は新選組に入り込んでしまうのである。おそらく、命を落とした隊士の身体に。

だから、秋飛は時間を超えただけでなく、性も超えたわけである。男の身体になり、沖田総司らのもとで、数年を生きる。それがこの本に書かれた物語。性の超越話のところは、なにか話のネタになるのかと思いきや、そうでもなかった。

新選組好きには『花天新選組』、いわゆる児童文学好きには『月下花伝』かなあ。
一気読みできる。

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月下花伝―時の橋を駆けて

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花天新選組―君よいつの日か会おう

誤字:恋愛のフツーがわかりません!!(ROS)

ROS(Rockdom of sexuality)というサークルによる、この夏に出た2冊目の本。1冊目は『トランスがわかりません ゆらぎのセクシュアリティ考』だった。

8月15日発行の(書いてないけど)たぶん第1刷。

まず
p.103
るぱん4性による「コラムるパンツ」の3行目
▽…最近話題だった台湾ゲイ映画『僕の恋彼の秘密』(2004)の監督も若干25歳(女子)というではないか。…

正しくは

▼弱冠25歳

これはよく見かける誤字で、2~3カ月前にも別の本(しかも9刷くらいまでいってたやつ)に、この「若干○○歳」があった。いわゆる児童書で、ルビまで付いてて、それで誤字はあかんやろと思い、気になるので、著者のサイトから、誤字だと思いますが…とメールを送ったら、編集も著者もまったく見落としていました、次で直しますと返事があった。

「若干」とは、それほど多くないとか、多少とか、なんぼかという意味。
「弱冠」とは、年若いこと、もしくは男子20歳の異称。これは、古代中国で男子20歳を「弱」といって、元服し冠をかぶったことによるもの。

もう一箇所は人名のミス
p.144
脚注の「コシ・ハラ文化」
▽教育学者の斉藤孝によると、…斉藤孝『身体意識を取り戻す』NHKブックス、2002を参照。

正しくは
▼齋藤孝
この人の名は「斉」ではなくて「齋」である。
略字を使うとしても「斎」だろう。

本を読んでいて、ついこんなのを目の端で見つけてしまうのであった。

ROS.jpg

恋愛のフツーがわかりません!!―ゆらぎのセクシュアリティ考2

誤字脱字:大人のいない国(鷲田清一、内田樹)

同居人が買った本を、横から読む。

10月10日発行の第1刷。
新聞広告にはもう重版がかかったようなことが書いてあったけど、この誤字は直ってるかな…

奥付から1枚戻ったページ(ページ番号なし)の「初出一覧」のなかにこうある。

▽「大人の『愛国論』(内田樹)--「不愉快な他社を受け容れること」『論座』2007年10月号

なんと1行に脱字と誤字である。

正しくはこうでしょう。

▼「大人の『愛国論』」(内田樹)--「不愉快な他者を受け容れること」『論座』2007年10月号

『愛国論』の後ろに一重の閉じカッコ(」)、それから他社でなく「他者」


※『論座』当該号の目次

大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた
(2008/10)
鷲田 清一、内田 樹

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御一新の嵐 日本の百年1 (鶴見俊輔)

去年、ちくま学芸文庫で順に出た「日本の百年」シリーズの1冊目。
ゆっくり読みたいなーと思いながら、各巻を図書館でときどきぴらぴらと見ていた。

何度も図書館で各巻をさわって一年がたち、ようやく1巻を借りてきた。

これがおもしろい。
漂流者の話から始まる。

「移動」の話、「うごく」話だ。
もちろん、漂流とは、意志に反して流されるということだけれど、そうして流され、もといた場所からうごいた先で見聞きしたものごとは、どこかから伝わっていくものらしい。

漂流が、自由とつながっていると鶴見は書き出す。

▽…漂流者は自然の力によって国の外におびき出されると、それからはいやおうなしに、鎖国下に育てられた日本のこまごました習慣や礼儀作法から自由になり、あるいは海上で自分たちの社会をつくり、あるいは海外の人たちと国を離れたはだかの人間として接触せざるをえなかった。

 漂流民と生活と思想は、日本における民衆の自由の歴史の起源とふかいかかわりがある。幕府は漂民の存在を国内の民衆に知らせたがらなかった。外国の政府がつれてくる日本の漂民を受け入れまいとしたことさえある。しかし漂民の存在は幕府がかくしてもやはり知れていった。そしてそれらは、広く海外の世界に推理をめぐらしていた日本の自由思想家たちに、当時の日本政府を批判する書物を書かせる現実の動機となった。…(p.11)

漂流民というのはけっこう多かったらしい。

「日本近海を吹く季節風が、幕府が鎖国政策をとると否とにかかわらず、日本から相当数の漂流民を規則的につくり出していた。(p.12)」というのだ。

宮本常一が、旅する人たちが相当数いたと書いていたことを思い出させる。みずから旅に出る人たちもいた。そして、流される人たちもいた。

そうした移動が自由とつながっている、という話に心ひかれる。
私のすきな鶴見の筆だというのもあるが、この本、やはり買うかなー と思いながら読む。

石井研堂が「漂流研究者」と書いてあるので、そんな本もあるのか!と初めて知る。
石井研堂には、同じちくま学芸文庫に『明治事物起源』というのがある。いろいろな巻があって、私もどの巻だったか、1冊か2冊持っている。
とにかく、いろいろ調べるのがすきだった人らしい。

日本の百年〈1〉御一新の嵐日本の百年〈1〉御一新の嵐
(2007/05)
鶴見 俊輔

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安心して絶望できる人生

We156号
『くらしと教育をつなぐWe』2008年10-11月号(156号)

10月に出た『We』の特集は「安心して絶望できる人生」。
7月の終わりに横浜であったWeフォーラムで、大入り満員だった「べてる」メンバー、里香さんと加代さんと川村さんの話。

里香さんは(私と同い年なんやー)と初めて知る。

私は「乱読大魔王日記」で、片倉もとこさんの『ゆとろぎ』から、宮本常一『民俗学の旅』につながる、「動く」話を書いた。


★『We』の購入はこちら

Genre : 本・雑誌 雑誌

風のラヴソング(越水利江子)

越水利江子の本を初めて読んだのは去年。
『竜神七子の冒険』が最初だった。

それから何冊かまとめて読んで、『ヒューマンライツ』の6月号で「越水利江子の本」を書いた。


★『ヒューマンライツ』はこんな雑誌


『風のラヴソング』は越水のデビュー作で、ことし、1篇を追加して〈完全版〉として文庫化された。
講談社の青い鳥文庫である。

1篇加わった『風のラヴソング』を再読。
名作だなア。

風のラヴソング 完全版風のラヴソング 完全版
(2008/05)
越水 利江子

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めまいのその後

めまいはだいぶ収まってきていますが、まだ時々くるくるすることがあります。
月曜に耳鼻科の診察でそう言ったら、あと2週間運動療法を続けて様子を見ましょうということになりました。

それで11月初めにめまいがゼロになってたらそれでよし、めまいがまだ残る場合は、「脳からきてるめまいではないと否定するために」MRIを撮りましょうかと言われています。

フツーならめまいが収まってくればそれでMRIは撮らないけれど、私の場合は母親が「脊髄小脳変性症」だったので、それがやはりちょっと気になるとのことです。

「良性発作性頭位めまい症」でも、1年近くめまいが続いたケースもあるというのですが、そういう場合も「脳からきてるめまいではない」とMRIを撮って確認したうえで治療を続けるのだそうです。

はじめのうちは、上を向いても下を向いても、とにかく頭をうごかすとぐらぐらして、パソコンの前に座っているのもしんどかったのですが、それは気にならなくなりました。

もちろんこまめに頭を動かしたり、首をまわしたりするようにと言われていますが。

このかん読んだ本については、後日アップします。

以上報告でした。

めまい

10/3から回転性めまいにおそわれ、治療中。
「良性発作性頭位めまい」であろうということで、安静にせず、むしろめまいが起こるように頭を動かすのがいいそうなので、指示された運動をしています。
(同じ姿勢をとりつづけるのがよくないらしい)

本は読んでますが、パソコンを長いこと見るのがつらいので、後日まとめて。

晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ・出張編/サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ
成風堂書店事件メモ
出張編

(2006/09/30)
大崎 梢

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サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)サイン会はいかが?
成風堂書店事件メモ

(2007/04)
大崎 梢

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『配達あかずきん』に続く、成風堂書店シリーズの二冊目と三冊目。
これも、一度読んだ本だが、また読みたくて借りてきた。
謎解きものだが、話のあらすじはおぼえているものの、読んでいて、結末がどうだったかを自分が忘れていることに気づく。
もう一度楽しめてたいへんお得。

いや~また読んでもオモロイな~
本屋で働いてみたくなるのであった。

吉野北高校図書委員会

吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)吉野北高校図書委員会
(2008/08/21)
山本 渚

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図書館の新着リストから、「図書委員会」というのに引っかかって借りてきた本。
ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞、というのをとった作品に書き下ろしを加えた一冊。

青春ものである。
本の話で高校生がもりあがっているところが、よかった。

(10月1日読了)

日本人を考える 歴史・民俗・文化

日本人を考える日本人を考える
(2006/03/16)
宮本 常一

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宮本常一の60年代、70年代の対談や鼎談を集めた本。

私はこんな旅をしてきた(向井潤吉)
“夜這い”こそ最高の結婚教育(大宅壮一)
地方人意識の変貌(浦山桐郎)
日本人(草柳大蔵;臼井吉見)
庶民の生活と文化―歴史のなかの江戸時代(速水融)
逃げ場のない差別のひだ(野間宏;安岡章太郎)
日本の子育ての知恵を訪ねて(青木一)
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第43回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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