読んだり、書いたり、編んだり 

天の歌 小説 都はるみ


天の歌 小説 都はるみ
中上健次
\560
中公文庫
1992年

高山文彦の『エレクトラ 中上健次の生涯』を読むまえに、ウォーミングアップになにか中上の小説を読もうと思い、図書館の文庫の棚にあったこの本を借りてきた。

表紙には椿の花。

都はるみといえば「アンコ椿は恋の花」か、「北の宿から」。どちらも私はサビの部分しか分からないのだが、この小説を読んで、都はるみの歌をきいてみたい、と強く思った。

三四郎はそれから門を出た


三四郎はそれから門を出た
三浦しをん
\1,680
ポプラ社
2006年

三浦しをんのこの本、タイトルは出た頃から(本屋に並んでいた頃から)知っていたが、ぱらりと中を見たりすることもなかったので、勝手に「三四郎という主人公が出てくる小説に違いない」と思い込んでいた。なぜかそう思い込んでしまっていた。

実はこの本は主に本ネタを書いたエッセイをあれもこれもと集めたエッセイ集だったのだ。タイトルは、漱石の小説のタイトルを並べた、ということらしい。「三四郎」「それから」「門」と。しかもこれはむかし文学史の授業の時に「語呂合わせで覚えよう」と習ったものだそうだ。三浦しをんは「作品名三つぐらい、わざわざ文章にしなくても覚えられるよな…」と書いている。私自身は、こんな語呂合わせ(になっているのか、コレ?)習った覚えすらないが。

三浦しをんは、読書について「もはや好きとか嫌いとかいう範囲を超えて、読書は私の生活に密着している」と書く。

▽私が一日のうちにすることといったら、「起きる。なにか読む。食べる。なにか読む。仕事をしてみる。食べる。なにか読む。食べる。なにか読む。寝る」である。ちょっと食べすぎじゃないか。もちろん食べているときにも、なにかを読んでいる。本が手近にないときは、郵便受けに投げこまれたマンションのチラシを読みながら食べる。(p.1)

あーーー分かる分かる!
私もチラシを読みながら食べることもあるし、手近にあるモノの箱の裏に書いてある効能書きだとか、使い方だとか、そういうのを読むこともある。


そして、この本ネタの文章を読んでいると、既読の本もあるけれど、未読の本もたくさんあって、読んでみたいのぅと思ってメモを取った本もいくつか。全部メモするわけにもいかず、いくつか。

たとえば
柴田よしき『シーセッド・ヒーセッド』実業之日本社
安野モヨコ『監督不行届』祥伝社
美濃部美津子『おしまいの噺』アスペクト

三浦の、電車内での「本の探偵」話はほんとにおもしろかった。すなわち隣に座った人が読んでいる本を、横からのぞき読み、書店カバーに隠されたタイトルや著者名を推理し、本屋で確認し、購入して読む。

「すみません、横から勝手に読ませていただいてるんですが、その本おもしろいですね。なんていう本ですか?」と、ずばり訊ねた方がよかったのではないかと思ったりもしながら、断片的に読んだ内容や装幀の具合、文庫本なら天地の処理や紙の具合、活字の大きさなどもチェックして、過去の読書経験を総動員して推理する三浦。

…おかしい。ぷぷぷ

安心して絶望できる人生


安心して絶望できる人生
向谷地生良
浦河べてるの家
\777
日本放送出版協会(生活人新書)
2006年

▽べてるの家のシステムの一番大切なところは、問題探しをして、改善使用とするシステムではなく、「人を信じるシステム」「人を活かすシステム」「他者の評価からの自立のシステム」によって培われていることです。
 その場の中では、一人ひとりがいろいろやってつまずいたり失敗しても、そのことに学ぶ主体として尊重されます。必要最低限のルール以外は、支配や管理のない場だということもできます。「変わること」に対して他人が干渉したり、管理しないという仕組みをつくっただけで、人の中に入れなくて、自罰的で自虐的な生きづらさを抱えた当事者が、イキイキと活動をはじめるのです。まるでマジックみたいなものです。(pp.35-36)

これまでの“べてる本”のエッセンスをぎゅっとまとめたような印象。
ページを繰りなおしては、くりかえし読みたい箇所があちこちにある。

『「べてるの家」から吹く風』もまだ読んでないので、次はこれを読もうかな。
古い本もまた読みたくなってきた。

喜びの種をまく人たち 喜びの種をまいて、いくつもの心に花を咲かせた19人のお話


喜びの種をまく人たち 喜びの種をまいて、いくつもの心に花を咲かせた19人のお話
岡倉ゆかり
\1575
BABジャパン
1999年

クッキングハウスの松浦さんのインタビューが載っているのをみつけて借り出してみた本。

人生に喜びを“ひとつ増やす”幸せ…赤石沢由紀子
生きることは許すことそして信じること…杉原美津子
「おいしいね」から元気になる場…松浦幸子
すべてのいのちは尊い、そして素晴らしい…ウィリアム・リース、ロバータ・リース
「魂を癒す」不思議な音の世界…東儀秀樹
生命の流れを楽しむ自然生活の実践…橋本知亜季
ケニア・キテンゲラの子供たちと共に生きる…荒川勝巳
心の復興を願いながら震災の街を走り続けて…西蔵全祐
悲しみを受け入れた時、全ては財産に変わる…林貞子
みんなの愛に囲まれた幸せな暮らしに感謝して…伊田みゆき
科学を超える自然治癒力の気づき…寺山心一翁
すべてを見たい。見て感じたい。迷いながらも撮り続けたい。…大川砂由里
自分を信じ幸せに生きる…原島貞行
生きることの意味は“人と人との生かし合い”にある…関根正明
大自然から学んだ生命のすばらしさ…塚本登志枝
「理解・尊重・更正」。心をつなぐ夫婦の救援…安島敏市、安島イツ子
未来をになう子供たちのための“心のふるさと”づくり…鳥居晴美
出逢い、わかちあい-みんなが集う「紅茶の時間」…水野スウ
みんな心の中に音楽を持っている…成田文忠


19章あるが、夫婦で登場している人がいるので、正確には「21人」のお話。
エエ話であった。
惜しむらくは「父兄」があっちもこっちも出てくること…。「父兄」なぁ…

人によっては、ほかに本がある。
もうちょっとずつ、読んでみたい。


杉原美津子『生きてみたい、もう一度―新宿バス放火事件』新風舎
杉原美津子『炎のなかの絆』文藝春秋

東儀秀樹『東儀秀樹の永遠のオモチャ箱』PHP研究所
東儀秀樹『雅楽―僕の好奇心』集英社新書

橋本知亜季『自然に産みたい―5人の子供を自宅出産した記録』地湧社
橋本ちあき『自然に産み、自然に育てる』地湧社

伊田みゆき『生きられますから大丈夫ですよ』地湧社
伊田みゆき『ありがとう』新風舎

寺山心一翁『がんが消えた―ある自然治癒の記録』日本教文社

関根正明『子ども受容のすすめ』学陽書房
関根正明『「教師を辞めたい」ときに』学陽書房

鳥居晴美『ハンサムウーマン 鳥居晴美』愛育社
鳥居晴美『最初の選択―幼稚園からはじめよう』悠飛社

水野スウ『出逢いのタペストリィ』若草書房
水野スウ『雪の手みやげ―金沢からの四季の手紙』北国文化事業団

成田文忠『僕もピアノが弾けたよ―知的障害をもつ仲間と奏でる音色』とびら社

セ・シ・ボン


セ・シ・ボン
平安寿子
\1,470
筑摩書房
2008年

平安寿子の最新刊。小説よりはリクエスト数が少なかったので、予約を入れておいたら、思ったより早くまわってきた!

タイコ26歳のときの、3カ月のパリ留学物語。
これは小説…?と思いながら、読んでいくと、はたしてこれは、若き日の平安寿子の話なのだった。

ちょっとだけ、ちょっとだけ、ちょっとだけ…と思いながら、結局読んでしまった。
おもしろかった。あ~おもしろかったな~
小説とはまた違うよさがある。

プレカリアート デジタル日雇い世代の不安な生き方


プレカリアート デジタル日雇い世代の不安な生き方
雨宮処凛
\819
洋泉社新書y
2007年

雨宮処凛のテキストだけでなく、座談会、石原慎太郎との対談も入った本。

座談会は、「丸山眞男をひっぱたきたい 三一歳フリーター。希望は、戦争」というテキストで知る人ぞ知る赤木智弘に、子どもを正社員にしたという団塊世代の親、氷河期世代だが大企業に就職したという“勝ち組”、25歳フリーター、それに雨宮、編集担当、ライターが加わったもの。とくに親世代と“勝ち組”から、事情があってフリーターになっている人がいるのは分かったが、やはり大半の人は甘えているのではないか、自己責任ではないのか、もっと努力しろという発言が出てくる。

赤木智弘が、収入のある女性が収入のない男性を養うという方法もあるのではないかと提案しているところはおもしろかった。

▽赤木 男性を扶養する女性が増えていけば、職場における女性に対するイメージも変化していくじゃないですか。今も根強い「女性は腰掛けで会社にいる」というイメージが変わっていけば、女性でも責任あるポジションに抜擢されいて[ママ]いくようになるんじゃないでしょうか。(p.176)

石原慎太郎との対談はかみあっているのかいないのか…という感じだったが(構成のせいなのか、実際にそうだったのかは分からんが)、雨宮が最後に「逃げるのも勇気」「弱い者ををいじめてはいけない」「暴動を起こしてもよい」という石原のメッセージをまとめて、「今後はぜひ東京都知事公認の暴動を繰り広げていきたい(p.216)」と書いてるところで、ちょっとほっとした。

といっても、東京都知事がやってることは、どうなのよと思う部分も多いが。

理系思考 分からないから面白い


理系思考 分からないから面白い
元村有希子
\1,575
毎日新聞社
2007年

毎日新聞に「発信箱」という科学コラムがあることは、たまに読むけど、知らなかった。
この本は、そのコラムに、後日談なども加えて書籍化したもの。

毎日新聞は、ほぼすべての記事を署名記事にしていることもあってか、読者からの反響もけっこうあるらしい。自分が伝えたいと思っていたことが、思ったようには受け止めてもらえなかったり、ああそんな風に読まれることもあるのかと、短い字数でまとめる難しさも書かれていて(ついでにその後日談を読んだりすると)、ナルホドーと思うところがあった。

(2/24読了)

八月の路上に捨てる


八月の路上に捨てる
伊藤たかみ
\1,050
文藝春秋
2006年

この本を読みかけてたら、通りかかった同僚さんに「それって、なにか賞をとったやつよね?」と言われる。「知らん。」

奥付をじーっと見てみると、表題作は第135回の芥川賞を受賞したと書いてあった。芥川賞といえば、むかし田辺聖子がとったやつやったっけ?

表題作ともう一編を収録して一冊にしたこの本は、字がでかい。児童書に分類されている『となりのウチナーンシュ』よりも薄くて、字がでかい。

30歳の誕生日に離婚届を出そうとしている敦と、いっしょに自販機に缶ジュースを補充するトラックに乗っている水城さんとの会話ですすむ。
水城さんと敦と、それぞれが、いかにして結婚生活がよじれてこわれていったかを語る。

田辺聖子の受賞作「感傷旅行」も読んだことあるけど、芥川賞って、いったいどんな小説に与えられるんやったっけ???と、わからなくなる。

受賞者一覧をネットでずらずら見てみたら、読んだのをおぼえてるのは遠藤周作「白い人」、大江健三郎「飼育」、 高樹のぶ子「光抱く友よ」、李良枝「由煕」、小川洋子「妊娠カレンダー」、辺見庸「自動起床装置」、川上弘美「蛇を踏む」、長嶋有「猛スピードで母は」、青山七恵「ひとり日和」。

となりのウチナーンチュ


となりのウチナーンチュ
早見裕司
\1,575
理論社
2007年

東京から越してきた夏海とウチナーンチュの彩華の物語。

著者によると・・・

▽「沖縄に引っ越した」というと、10人中12人の人が、「それはうらやましい!」と言います。確かにいい面もたくさんあるのですが、小説やドラマなどで描かれる沖縄は、憧れで美化されすぎたり、誤解されている面もずいぶんあります。そこで、今の普通の沖縄をきちんと描いてみよう、というので、沖縄生まれ、沖縄育ちのライター、川内由紀子さんにご協力いただいて、80%は本当の、でもやっぱり幻想的な、「ゆるみ系ホラー」を書いてみました。

・・・ということらしい。

ホラーといっても、おどろおどろしいものではなく、他の人には聞こえない音や声が聞こえたり、父と離婚して別れた母の執念深い生き霊があらわれて…みたいなやつ。

夏海も彩華も父子家庭。高校へは行ってない。彩華はウチが貧乏だからで、夏海は学校の圧迫的な雰囲気になじめないから。

ゆるるーーーーと、楽しい話だった。
図書館の分類では児童書。
出版社によれば、小学生向けだそうな。

表紙の絵が、山中恒の『なんだかへんて子』を思い出させる。
著者は、自称・奇談小説家、だそうだ。

ユングフラウ


ユングフラウ
芦原すなお
\1,890
東京創元社
2008年

読んでいて、いつか読んだ林真理子の小説みたいだと思った。
でもこれは『青春デンデケデケデケ』の人の小説だ。

会話文の合間に、話者の内言ツッコミが入るところが、おもしろかった。

主人公の翠(雑誌の編集者)と、担当している作家の梨原との会話もかなりおかしい。

ちょっと長い小説ではあったが、30代のふらりふらりとする女性の心持ちがよく書けている気がした。


(2/18読了)

フラミンゴの家


フラミンゴの家
伊藤たかみ
\1,400
文藝春秋
2008年

図書館の新着リストで見たのだったか、新刊案内で見たのだったか、興味をもって借りてみた。

「南口の「さかえ通り」商店街で、実家のスナックを手伝うバツイチ男。元妻が入院したため、離婚以来会っていなかった思春期の娘を預かることに。」


元妻・翔子のガンが見つかり、手術のために翔子が入院するあいだ、ちょうど夏休みの娘の晶(あきら)を預かることになった正人。晶と会うのは6年ぶりで、別れたのは歯のはえかわる頃だったから、もう小6になる晶に会うなり正人は「歯もはえたな」などと見当違いのことを口走る。

翔子と別れた正人は、大阪からクルマをとばせば数時間の「田舎」に出戻り、母親が仕切るスナックを手伝っている。乗っているのは改造シーマ。晶に言わせれば「田舎のカラオケボックスみたい」な内装。

大阪で翔子と暮らしていたのとは、ずいぶん違う「田舎」の風景と人間関係だが、そのなかで晶は夏を過ごし、夏の終わりに母が逝ってしまうのを正人と見送る。

正人のまわりの「田舎」の登場人物たちのなかでも、正人の恋人・あや子の存在がいい。

わたしの子どもたちへ―笠木透詩集


わたしの子どもたちへ―笠木透詩集
笠木透(詩)
堀尾一郎(絵)
径書房
\1600
1985年

「クッキングハウス」の本を読んでいたら、笠木さんの歌とか笠木さんのコンサートという話がしょっちゅう出てきて、どんなんやろ?と探してみたら、詩集があったので、図書館で借りてきた。

表題作「わたしの子どもたちへ」は十年余りをかけて、北海道や沖縄まで、口から口へ、手わたし口うつしで伝わっていったという。

▽生きている鳥たちが
 生きて飛びまわる空を
 あなたに残しておいて
 やれるだろうか
 父さんは

(「わたしの子どもたちへ」第一連、p.20)


笠木自身が曲をつけた歌、各地の民謡に曲をとった歌、高石ともやが曲をつけた歌などもある。

「パパラギ」からとられたシリーズもおもしろかった。


▽お腹いっぱいすきなだけたべて
 頭の上には屋根があって
 村の広場で祭りをたのしむ
 これ以上働くことなんてないさ

 人間の仕事 それはよろこび
 人間の仕事 それはたのしみ
 人間の仕事 汗をながして
 人間の仕事 心あつめて
 人間の仕事 歌がながれて
 人間の仕事 しなやかな手足

(「サモアにあるのは人間の仕事」さいごの2連、pp.145-146)


で、詩をよむと、この人が歌ったのも聞きたくなるのだった。どこかで手に入るかな。

画像は、同じタイトルのCDジャケット写真。


笠木透作詞の「クッキングハウス」の歌は、ここで聴くことができる。
http://www.cookinghouse.jp/cd_books.html
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第41回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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