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二重被爆

 『原爆神話の五〇年』のあと、岩波現代文庫に去年はいった『原爆災害』(広島市と長崎市の原爆災害誌委員会がまとめたもの)を読みながら、映画「二重被爆」を見にでかける。

 テレビでも何度か見た山口彊(つとむ)さんのほか、二重被爆をした数人の方の語りと、アメリカ、フランス、中国で「二重被爆」や「原爆」についてインタビューした内容を織り交ぜたもの。ちょうど『原爆神話の五〇年』で読んだ“神話”に似た発言が、いくつかあって(日本は原爆を受ける以前に残虐なことをたくさんしてきたのだから、原爆を受けるのは公平だ、とか)、ああこんな風に原爆は語られもするのだ、と思った。

 『原爆災害』のなかでも、広島市と長崎市が国勢調査の付帯調査としておこなった被爆者調査のなかで、両市で被爆した「重複被爆者」が10人と出てきた。

 「ピカドンに身体焼かれし 傷の跡 老いて薄れて今日広島忌」
 「うち重なり焼けて死にたる人間の 脂しみたる土は乾かず」
 「大ヒロシマ炎え亡びたる朝明けて 川流れ来るにんげんの筏」

 山口さんは自分がつくったこれらの短歌を、つかえ、つかえ、涙をこぼしながら読んでおられた。

 『原爆災害』を読みながら帰る。帰りに図書館へ寄って、『原爆災害』を最後まで読んでしまい、それから丸木俊・位里の絵本『ピカドン』(これは占領下で発禁処分を受け、原画を没収されたのだという)の“復刻新版”と、丸木俊の『ひろしまのピカ』の絵本を読んで、『はだしのゲン』の6巻と7巻を借りて帰った。

 遅い昼ご飯を食べたあと、洗濯しながら、『はだしのゲン』の続きを読む。読む自分が歳をとったせいか、ああこんなこともかいてあったのか…と思う場面がいろいろあった。
 「ピカの毒がうつる」とか、顔や腕など見えるところに大きなやけどを負い、「化け物、おばけ」と言われるなどして忌避される被爆者の姿。

 「二重被爆」に登場したある女性は、結婚にさしつかえるからと「原爆におうたことは、口をつぐんでいました」と語っていた。結婚して、流産と早産をくりかえしたとも言っておられた。
 
 日が暮れるまで『はだしのゲン』を読んでいて、それから晩ご飯の支度。キャベツとタマネギと青ネギと丸芋を刻んでタネをつくったら、粉の量が足りなかったようで、バラバラになり、また粉をたして練りなおす。
 同居人が夜介護にいくというので、急いで焼いたけど、あまりおいしくなかった。粉モノはやはりシェフ同居人にまかせることにしよう…と思う。

原爆神話

 月末の資料整理で出勤。昨日寝る前に『はだしのゲン』の1巻を読んでしまい、2巻の途中まで読んだ。久しぶりに読んだせいか、被爆当日の描写が浮かんで、寝付けなくなってしまった。それで、朝はかなり眠かった。

 晩ご飯はサンマの開きを焼いて、大根おろし&かぼす。
 豆腐の味噌のせ。キュウリとセロリと紫タマネギとワカメのサラダ。人参とタマネギと大根の味噌汁。それにご飯。大根おろしに柑橘果汁をしぼってサンマを食べるのは、かなりおいしい。

 斉藤道雄の『原爆神話の五〇年』を読んでしまう。95年にUSAのスミソニアンで原爆展(向こうでは「エノラ・ゲイ展とよばれていたらしい)が企画されたときの退役軍人らの反発、メディアでの扱われ方などをとおして、原爆は戦争を終わらせ、多くの命を救ったというmythが根強くあることが浮き彫りにされていた。それは、日本への上陸作戦が実行されていたら米兵が百万人死んだだろうという推測にもとづいている。この「百万」という数字の根拠は、あいまいなものらしい。
 スミソニアンの当初の「原爆展」企画書は、この本に書かれているのを読むかぎりは、よいものだったと思える。それが政治の介入でぐぐぐっとねじられていった。
 95年にそういうことがあったなあ…とおぼろげな記憶はあるが、その争点について十分知らずにいた。十年余りたって、この本を読んで、原爆を使用したことについて、日本で(すくなくとも広島や長崎で)うったえられていることとは、かなりすれ違った見解がUSAにある、ということがわかった。

 明日は映画「二重被爆」を見にいくつもり。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行。最新は98号

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第120回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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