読んだり、書いたり、編んだり 

武田百合子『日日雑記』中公文庫 より

…もう一人、セールスマン風の陽にやけた男が入ってきて、おいなりさん四つ、おかかのおにぎり二つ、それとゆで卵二つ、包んで貰って出て行った。
 いれちがいに、また別の男が入ってきて、今度は腰かけ、おいなりさん五つにゆで卵二つ、生姜たくさんつけてね、と頼んだ。
 よく神社の境内などで、大木の根元や石段に腰をおろし、鞄抱えた背広の男がバナナを食べている。バナナも面倒臭くない滋養物だけれど、猛暑の日には、この方がいいかもしれない。ゆで卵はどうも胸につかえて食べられないなどというようになったら、男はおしまいね、きっと。

(218ページ)

折り梅

 映画「折り梅」をテレビで放映することを、数日前にテレビガイドで見ていた。あ、もう始まってると思い出してテレビをつけたら、たまたまバレーボールの試合中継が延びていて、数分しててっぺんから見ることができた。

 http://www.oriume.com/

 あの「ユキエ」を撮った同じ監督の映画だった。松井久子。頭では分かっていても、気持ちがついていくのはむずかしい、というようなことを思う。

 

 朝はゆっくり寝て、昼過ぎに長居へ向かう。自然史博物館でやっている「牧野四子吉展」を見物に。天気はわるくなると言っていたが、とりあえず晴れている(朝のうちに洗濯して干した)。風がやや強い。
 長居公園は高校の陸上部やら子どもやら親子連れやら、人がうじゃうじゃいた。こんなに人がいたっけなと思うほど人が多かった。自然史博物館のネイチャーホールはそう込んでおらず、図鑑や教科書、事典などの精密な挿し絵の原画やその動物の標本などが細々と並んでいた。かっちょよかった。よくこんなこまかい絵を描けるなあとつくづく感心する。

 長居公園を出たあたりでぱらぱらと小雨が降ってくる。天王寺の美術館もハシゴしようかと思っていたが、雨降ってきたしなーとスキップして帰宅。晩ご飯はソラマメ(同居人の実家産)を焼いて、ビール。チヂミを焼いてビール。

父ちゃんの話

・尾道商業は校名が数度変わっている。父ちゃんが入学したときは広島県尾道西高校(県「立」ではない)、卒業したときは広島県尾道商業高校(やはり県「立」ではない)
→県「立」という名称でないことは西高時代の自治会誌や卒業アルバムで分かる
・父ちゃんが卒業したのは1954年。当時も水泳部は褌姿である。
・高校で珠算部にいた父ちゃんは2年で部を辞めたそうだ。それは「珠算がどれだけできるようになっても仕方ないと思ったから」だという。「行けるなら大学へ行きたかったから」とも言う。

・父ちゃんの父(私からすると祖父)も尾商の出。大正12年卒。当時は旧制の商業学校で男子のみ。卒業アルバムも残っている。

・父ちゃんの母(祖母)はひじょうに器用な人だった。反故紙を丁寧に綴じた手製のスクラップブックを父ちゃんが田舎から持って帰ってきた。当時は、こんなのも出来る人はみんな自分でつくったものだという。スクラップブックの出来をみても、じつに器用な人だったことが偲ばれる。あまり何も残っていないが、形見のようなものだという。

・父ちゃんの父(祖父)は、字が上手な人で、書道を教えるくらいだったそうだ。祖父が使っていた英和の辞書(祖父の名がサインしてある)も父ちゃんは田舎から持ち帰ってきた。形見のようなものだという。

・父ちゃんの母(あるいは祖母?←記憶不確か)の旧姓は「オダワラ」で、高校の同級生にオダワラ君というのがいて、遠い親戚だと言っていた。

・御調郡向島 ←本家があるところ

以上、04-5-30に聞いた話のメモ。

5月に読んだ本

5月に読んだ(読み終わった)本のリスト:
○ハロルド作石『BECK』(18)講談社
○川上弘美『なんとなくな日々』岩波書店
○川上弘美『センセイの鞄』平凡社
○川上弘美『蛇を踏む』文春文庫
○溝口敦『食肉の帝王 巨富をつかんだ男 浅田満』講談社
○川上弘美『ゆっくりさよならをとなえる』新潮社
○川上弘美『おめでとう』新潮文庫
○ハロルド作石『BECK』(17)講談社
○橋本治『上司は思いつきでものを言う』集英社新書
○川上弘美『あるようなないような』中央公論新社
○鷺沢萠『コマのおかあさん』講談社文庫
○徳永進『人あかり 死のそばで』ゆみる出版
○川上弘美『パレード』平凡社
○鷺沢萠『海の鳥・空の魚』角川文庫
○川上弘美『いとしい』幻冬舎
○川上弘美『竜宮』文藝春秋
○川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』新潮社
○『田崎真也のサービスの極意 お客様にお楽しみいただくヒント』大和書房
○干刈あがた『ホーム・パーティー』新潮文庫
○干刈あがた『野菊とバイエル』集英社文庫
○干刈あがた『しずかにわたすこがねのゆびわ』福武文庫
○宝島編集部編『VOW王国 ニッポンの誤植』宝島社
○野村雅一『しぐさの人間学』河出書房新社
○村松友視『百合子さんは何色 武田百合子への旅』ちくま文庫
○川上弘美『椰子・椰子』新潮文庫
○武田百合子『日日雑記』中公文庫
○姫野カオルコ『ひと呼んでミツコ』講談社文庫
○『長新太のチチンプイプイ旅行』平凡社
○糸井重里『ほぼ日刊イトイ新聞の本』講談社
○武井麻子、鈴木純一『レトリートとしての精神病院』ゆみる出版
○小倉昌男『福祉を変える経営 障害者の月給一万円からの脱出』日経BP社

あーつーいー

 だらだらと汗が流れてくる。天気予報によるとこの夏はじめての真夏日だという。昨日も今日も雨が降るという予報だったけれど、昨日はお湿り程度、今日も朝から陰ができている。洗濯して、干せて、それがほぼ乾いたのだからよいのだが、それにしてもこの蒸し暑さ。夕立でもほしいところである。暑い。
 汗をふきふき、ごろんと横になって、本を読みながらウツラウツラと昼寝。ぺったりと汗をかく。

 『ほぼ日刊イトイ新聞の本』で、こういう標語を読む。「多忙は怠惰の隠れ蓑である」。当面の“座右の銘”にしようかしら。

 夕刻、誘ってみたもののお留守番と主張する同居人を放置して父ちゃんちへ行く。外はべっとり暑く、それに合わせるように乗り物内の冷房温度はかなり低い。暑くて、さむくて、体調管理がむずかしい季節になってきた。

久しぶりに会う父ちゃんは、ランニングに短パンとすっかり夏の装い。相変わらず摂生に努める日々を送っているようだが、新しいモノ買いは健在でまたまた新しいジューサーミキサーを買ったらしい。今度のは「豆乳がつくれる」やつだそうである。パン焼き機も新しいのが欲しそうなことを口にしていたので、次に行ったら新しいパン焼き機があるのではないか…とも思う。

 5月中旬に福山(父ちゃんの姉宅)へ行ってきた父ちゃんは、古い卒業アルバムやら何やらを多少持って帰ってきたらしい。もう捨てるしかない状態のものも多いらしいが、卒業アルバムのほかに父母(私からすると祖父母)の形見のような品(古い辞書や手製のスクラップブックなど)も持って帰っていた。それをちょっと見せてもらう。大正12年卒のじいちゃんの学年のほうが、1954年卒の父ちゃんの学年よりも眼鏡をかけた人が多いようだ。「教室も暗かったし」と父ちゃんは理由を推測する。そうなのかもしれない。

 雨が降るという天気予報だったが結局降らず。ただ蒸し蒸しと暑い。

とまらぬもの

「ひきとめてとまらぬものは日と月と流るる水と人のいのちよ」

ものもらい

 目の上のたんこぶ、ならぬ ものもらい。右目のまぶたがカユイ。

 晩ご飯。ニラとモヤシとかしわの炒め物、海草サラダ(海老とキュウリとモズク入り)、ご飯。小夏。

 村松友視の『百合子さんは何色 武田百合子への旅』を読む。武田百合子といえば、ずっと『ことばの食卓』しか知らなかった。あの本の表紙をかいていたのが、なんとかユリという人だったか。武田泰淳の文章は、どんなだったか全く思い出せないが、教科書に載っていたと思う。

日曜出勤

 日曜出勤につき、しゃーないので出勤。ねむい。天気はまあよいようだが、雲はわりと多い。今日は野村雅一の『しぐさの人間学』というのを読んでみる。日経で3年間連載していたコラムをまとめたものだという。このところ新聞(紙媒体のもの)はほとんど読んでないので、知らなかった。そういえば川上弘美もいま(?)日経で連載をしているらしい。チェックしなければ。

 時間がたつのがおそろしくゆっくりに感じられる仕事時間中。時計の針がなかなかすすまない。はやく終わって帰りたい、と思いながら受付に座る。
 
 帰りに有頭エビを買って、駅前で同居人と落ち合って買い物して、帰る。空腹感が募り、ハヨ晩ご飯にしてくれーと要望。シェフ同居人が餃子を焼いて、手抜きサラダをつくって、とりあえずビール。それで落ち着いて、洗濯物を干し、そのあいだにできあがったトムヤムクンでまたビール。今日のペーストはずいぶん辛くて、口がヒリヒリして、ちょっとむせてしまった。あーからいからい。

 朝みられなかった「日曜美術館」の再放送をウトウトしながら見る。ヘンリームーアの特集。箱根の彫刻の森美術館にムーアがわんさかきているらしい。ここの彫刻の森もいちど行ってみたいところ。札幌の芸術の森美術館もまた行きたい。

白隠(II)

 白隠の画や書の絵はがきがあれば欲しいなあと思っていたが、残念ながら売っていなかった。図録も買わずに帰ったが、ちょっと欲しかったような気も。くたびれたので、常設展はスキップ。ぶらぶら歩いて河原町まで戻り、特急に乗ってぐうぐう寝ながら梅田へ出る。有頭エビを入手して晩はトムヤムクン!という計画があったのだが、見当たらなかったので予定を変更して、沖縄居酒屋へ行くことにした。電車に乗って最寄り駅のひとつ向こうまで。

 本屋で居酒屋の開店時間まで立ち読みをしてから、いちばんのりで入る。この店にくるのも久々である。島らっきょ、海ぶどう、ふーちゃんぷるー、とうふよう、ジーマミ豆腐、スヌイサラダ、ラフテー、アシティビチ、ナーベラ含め煮…こういうのをアテに私は久米仙のお湯割り、同居人は生ビールをくいくいやって、最後はスヌイ雑炊。まんぞく。

 隣の駅までぷらぷら歩いて、ちょこっと買い物して帰宅。
 テレビでは、ほとんどどこのチャンネルも北朝鮮から“帰国”した拉致被害者の家族の映像をくりかえしくりかえし流していた。石川でみた、あの長い海岸線を思い出す。

白隠(I)

 この週末も休みは一日。2週続けてこのシフト、かなりうんざり。
 今朝も休みの日でも早起きの同居人が先に起きてごそごそと急に部屋の掃除。ゴミ袋にあれもこれもつっこみまくっている。見たらぜったい「えーそれ捨てんの」と思ってしまうので、布団のなかでまたウトウトする。捨ててくれ。

 10時ごろまでウトウトして、起きて掃除をちょっと手伝い、洗濯物を干して、それからやっとパンと牛乳。めっちゃ空腹。このまま片づけモードに突入か?と思ったが、京都博物館の白隠みにいこやーと提案すると、あっさり出かけることになり、コーヒー飲んでから電車ででかける。
 ウチの中はややムッとしていたものの、外は爽やかな風が吹き、陽差しはほとんどなく、上着があってもよかったかもと思うくらい。電車の冷房はそれなりにキツかったので、上着もってくればよかったとちょっと後悔。

 河原町へついて、「おめん」で鯖ずしセットを食べて(いつもどおりウマかった)、ぶらぶら歩いて錦市場を抜けて、京都文化博物館へゆく。「白隠 禅と書画」展は、同居人の障害者手帳により2人ともタダで入れた。
 展示会場は思ったより込んでいて、最初のほうだけ人がたまっているのかと思ったら、会場全体まんべんなく人がいた。

 白隠という禅宗の坊さんが、禅のおしえをわかりやすく伝えるために絵や書にしたというアレコレが、「未曾有の規模で」並んでいるのだ。さいしょは達磨ばっかり並んでいる。靴だけ書いて達磨を示すというような絵もあった。その向こうには妖怪シリーズのような人物画、デッサンがくるったとしか思えない(オモロイけど)絵、自画像もある。猿や観音や菩薩、布袋、寿老人などをかいたのは、笑いたくなるほどオモシロかった。チラシで見て、実物をみてみたいと思っていた「すたすた坊主」はナンバ歩きをしていた。やはり昔の人はナンバ歩きをしていたのだろうかなあ…。蛤観音(はまぐりかんのん)の周りには、蛸や海老や巻き貝などをかぶった人(?)が学芸会よろしく集っているし、布袋さんと福禄寿が蹴鞠をしてる図もあるし、あまりにおもしろいので、会場を2周。そうすると、最後にあった「白隠の像」が、自画像ともよく似ていることがわかった。

やっと週末

 雨が多く、わりと冷やーっとした一週間であったが、今日は陽もさして、やや暑かった。心身ともくたびれて、やっと週末。しかしまた一日休みで、日曜から出勤。どないかならんのか、このシフト…

 晩ご飯 ウイスキーを飲もうと同居人が氷とチーズを買ってきたので、ウチにあったスモークチーズも切って、キュウリとモズク酢、昨日の残りの鰯やらゴーヤとモヤシやら、割干し大根と厚揚げの煮物やらを在庫一掃。

 『しずかにわたすこがねのゆびわ』はあと少し。借りてきた『VOW王国 ニッポンの誤植』をよんで、笑いながら寝る。

冷える日

 台風一過、天気はよいとはいえないが、雨もたいして降らず。しかし冷えてさむい日であった。職場イヤイヤ病がじわじわと染みてくる。午後は長い会議もあって、くたびれる。ベルサッサでとっとと帰る。

 干刈あがたの『しずかにわたすこがねのゆびわ』をまた読んでみる。読み返すたびに、いろんなことを考える。この小説を初めて読んだのは10年くらい前のことだが、25歳の頃に読んだときとは、いまはまた違う感じがする。

 晩ご飯は鰯の生姜煮、モヤシとゴーヤのサラダ、モズク酢、ワカメと長ネギの味噌汁、ご飯。

 寝付けない日が続いたこともあり、10時頃から布団に入って、すこし本を読んでいたらこてんと寝てしまった。
 
 
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乱読ぴょん

Author:乱読ぴょん
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本ネタのミニコミ誌『ブックマーク』を編集発行しています(1990年9月創刊~ 昔は隔月発行でしたが、今は年2回発行で、現在87号)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2014年4月(313号)より「本の道草」を連載中(現在、第37回)。

月刊誌『ヒューマンライツ』で、2004年3月(192号)より2014年3月(312号)まで、本ネタ「頭のフタを開けたりしめたり」を連載(全119回、連載終了)。

『くらしと教育をつなぐWe』誌で、1999年4月(71号)より2014年2月(188号)まで、本ネタ「乱読大魔王日記」を連載(全118回、連載終了)。

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